開発の経緯と算出方法

CDSTはなぜ必要なのか？

近年､ IBDの治療選択肢が増えてきているため､ 個々の治療法に反応しやすい患者さんを特定することが期待されています｡ そこで､ 本ツールはクローン病患者におけるベドリズマブの治療効果を予測することを目的に開発されました｡

どのようなデータから開発された？

中等症又は重症のクローン病患者を対象にベドリズマブの有効性と安全性を評価した海外第Ⅲ相 導入･維持検証試験GEMINI2から､ 臨床的寛解､ ステロイドフリー寛解､ 持続的寛解を達成した患者さんの予測因子を導き出し､ 米国の多施設共同研究VICTORYコンソーシアムのデータを用いて効果予測モデルの妥当性が検討され､ CDSTが開発されました¹⁾｡

1) Dulai PS, et al.: Gastroenterology 2018; 155: 687-695.e10

詳細については末尾の研究概要と検討結果を参照ください

どのように算出し予測する？

CDSTスコア*¹の算出には以下の5つの変数が用いられ､ その合計点によってベドリズマブの奏効の可能性を予測します｡

ベドリズマブの奏効の可能性*²

計算方法の具体例は？

参考としてCDST算出の具体例を提示します｡

25歳男性 (2年前の23歳時に診断)

32歳男性 (7年前の25歳時に診断)

*¹ : ベドリズマブ治療を26週受けた活動性クローン患者814例を対象としたGEMINI 2試験のデータを収集し､ ロジスティック回帰分析を行い､ 臨床的寛解､ ステロイドフリー寛解､ 持続的寛解に関連する因子を特定した｡ これらのデータを用いて臨床的意思決定支援ツール (CDST) を開発し､ VICTORYコホートの参加者366例のデータより検討した｡ 受信者動作特性曲線下面積 (AUC) 解析を用いて､ ベドリズマブ投与後の臨床的寛解またはステロイドフリー寛解､ 粘膜治癒 ､ 粘膜治癒を伴う臨床的寛解または粘膜治癒を伴うステロイドフリー寛解の患者を特定するツールの有用性を評価した｡

*² : ベドリズマブの奏効の可能性 : GEMINI 2試験の奏効の程度で層別化し､ 上位25%を可能性が ｢高い｣､ 下位25%を可能性が ｢低い｣､ その他を ｢中間｣ とした｡

本スコアリングシステムの結果は､ 治療選択の一助としてお役立ていただける可能性のある情報ですが､ 治療方法の選択については､ 追加の患者情報やその他の臨床データを考慮のうえ､ ご判断ください｡ 本スコアリングシステムの結果は､ 有効性を保証するものではなく､ 特定のデータに基づいた効果予測であることをご理解くださいますようお願いします｡

CDSTの有用性を評価した研究

研究概要 [海外データ]

本研究では承認用法･用量外 (GEMINI 2試験ではQ4W､VICTORY試験ではQ4W及び10W) のデータを用いておりますが､ CDSTスコア効果予測因子を特定することを目的にデータを使用しています｡

GETAIDコホートの患者背景

解析に使用したコホートの概要

GETAIDコホートにおけるCDSTの奏効確率別HBIスコアの変化

国内 第Ⅲ相 導入検証･維持小規模比較試験 (CCT-001) ｜クローン病

試験概要

導入期の有効性

10週目CDAI-100改善率 (主要評価項目)､ 10週目寛解率 (副次評価項目)

維持期の有効性

60週目寛解率 (主要評価項目)､ 60週目CDAI-100改善率 (副次評価項目)

導入期の安全性

維持期の安全性

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