提供:武田薬品工業株式会社
監修:埼友草加病院 院長 大澤 勲先生
提供:武田薬品工業株式会社
以下1つでも当てはまる場合は、 HAE以外の疾患である可能性を考慮する必要があります。
【解説】血管性浮腫は、 真皮深層から皮下組織または粘膜組織に発症する限局性の浮腫性変化です。 突然、 浮腫が現れて跡形なく消える点は、 蕁麻疹と似ています。 蕁麻疹は主として皮膚の真皮上層に起こるのに対して、 血管性浮腫ではもっと深い真皮中層〜深層で起こります。 蕁麻疹は、 赤みや痒みが強いのに対して、 血管性浮腫では概して赤みや痒みはなく、 隆起性の境界明瞭な膨疹形成はありません。 腫れがひくまでの時間は、 蕁麻疹では通常、 数時間以内であるのに対して、 血管性浮腫では1~3日ぐらいかかります。 ここでは、 蕁麻疹の可能性を除外します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 ここでは、 薬剤性血管性浮腫の可能性を除外します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 ここでは、 食物アレルギーや薬物アレルギーによるアレルギー性の血管性浮腫の可能性を除外します。
以下は「浮腫の特徴」について
【解説】HAEは皮下や粘膜に血管性浮腫を繰り返す疾患で、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。
そのため、 浮腫が起きたことがある部位や、 過去の浮腫の病歴を確認することは、 HAEの診断において重要です。
【解説】HAEは皮下や粘膜に血管性浮腫を繰り返す疾患です。 そのため、 診断においては、 患者さんが過去に同様の症状で治療を受けたことがあるか確認しておくことが重要です。
過去にこれらの症状で治療を受けたことがある場合、 HAEの可能性があると考えられます。
【解説】HAEでは、 腫脹前に前駆徴候または症状が現れます。 前駆症状として出現する環状紅斑は小児の患者さんに多く、 症例の42〜58%で観察され、 しばしば蕁麻疹と間違われます¹⁾。 また、 腹部発作の70%では、 疲労感、 聴覚過敏、 飢餓感などの前駆症状を伴うことが報告されています²⁾。 ここでは、 HAEの発作が起こる際にみられる前駆症状の有無を確認します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 アレルギー性血管性浮腫の治療で効果が認められなかった場合には、 HAEの可能性があると考えられます。
【解説】HAEは疾患を知っていれば診断は比較的容易であり、 診断がつけば有効な治療を受けることができます。 しかし、 実臨床で診断・治療する機会は少ないことや、 一見すると一連の症状に関連性が乏しいため、 診断に難渋することが多く、 長年診断がつかず苦しまれている患者さんが多いのが現状です。 そのため、 過去に原因不明の症状により複数の診療科・医療機関にかかったことがあるか確認することは、 判断材料として重要です。
以下は「皮膚の浮腫」について
【解説】HAEの診断のポイントの1つに、 圧痕性か非圧痕性か?というのがあります。 慢性に経過する左右対称性の浮腫、 指圧痕を残す浮腫は、 心臓、 肝臓、 腎臓などの基礎疾患が疑われ、 血管性浮腫とは異なる病態です。 非圧痕性浮腫の場合には、 甲状腺機能低下症やリンパ浮腫などを考慮する必要があります。 HAEは非圧痕性浮腫です。 詳しくは浮腫の鑑別も参照してください。
【解説】アレルギーや薬の副作用、 ホルモンの異常、 心不全、 肝硬変などでは両側性に浮腫が出ます。 四肢の浮腫が片側性か両側性か確認することは、 これらの疾患との鑑別における判断材料として重要です。
【解説】HAEなどC1-INH活性低下による浮腫は局所が変形するほどに拡大し、 繰り返すという特徴があります。 浮腫の程度が強いと、 関節の曲げ伸ばしが十分にできなくなることがあります。
【解説】HAEによる浮腫は突発性で、 数日以内に消失します。 また、 腫れがひくまでの時間は、 蕁麻疹では通常、 数時間以内であるのに対して、 血管性浮腫では
1~3日程度です。
以下は「腹部の浮腫」について
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。 消化管の浮腫が生じると、 悪心、 嘔吐、 下痢などとともに激烈な腹痛が起こります。
そのため、 患者さんが過去にも消化管に関連した浮腫によると考えられる症状を経験していないか確認することは、 HAEの診断において重要です。
腹痛時に循環血漿量減少に起因すると考えられる症状 (めまい、 低血圧など) を伴うことがある
【解説】HAEでは、 再発性の腹痛および随伴症状として循環血漿量減少に起因するめまい等の症状がみられます。 ドイツの報告では、 主な随伴症状として、 嘔吐70%超、 下痢40%超、 めまい約90%が認められ、 まれにショックや意識障害、 テタニー、 血便、 腸重積なども生じるとされています³⁾。 詳しくは腹痛の鑑別も参照ください。
以下は「喉頭浮腫」について
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じ、 喉頭に浮腫を生じると、 呼吸困難や窒息をきたします。 喉頭浮腫では顔面浮腫が先行することが特徴で、 ドイツの報告では、 致死的な喉頭浮腫を起こしたHAE患者さんの半数で、 顔面浮腫が先行または併発していました⁴⁾。 また、 顔面浮腫の発生から致死的な喉頭浮腫の発生までの期間は平均1.4日でした⁴⁾。 HAEの患者さんに対しては、 顔面浮腫が起きたときは、 直ちに救急外来を受診するように指示する必要があります。 そのため、 顔面や口蓋垂の浮腫の既往を確認することは、 HAEの診断だけでなく、 患者さんの抱えるリスクを把握して迅速に対処するうえで重要です。
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。 喉頭に浮腫を生じると、 呼吸困難や窒息をきたします。 そのため、 患者さんが過去にも顔面や喉頭の浮腫を経験していないか確認することは、 HAEの診断において重要です。
¹⁾ 堀内孝彦ら. 補体.2020; 57 (1): 3-22.
²⁾ 大澤 勲 編: 難病 遺伝性血管性浮腫 (HAE) (医薬ジャーナル社) 2016; pp.42
³⁾ Bork K et al: Am J Gastroenterol 2006; 101: 619-627.
⁴⁾ Bork K et al: J Allergy Clin Immunol 2012; 130: 692-697.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
監修:埼友草加病院 院長 大澤 勲先生
提供:武田薬品工業株式会社
以下1つでも当てはまる場合は、 HAE以外の疾患である可能性を考慮する必要があります。
【解説】血管性浮腫は、 真皮深層から皮下組織または粘膜組織に発症する限局性の浮腫性変化です。 突然、 浮腫が現れて跡形なく消える点は、 蕁麻疹と似ています。 蕁麻疹は主として皮膚の真皮上層に起こるのに対して、 血管性浮腫ではもっと深い真皮中層〜深層で起こります。 蕁麻疹は、 赤みや痒みが強いのに対して、 血管性浮腫では概して赤みや痒みはなく、 隆起性の境界明瞭な膨疹形成はありません。 腫れがひくまでの時間は、 蕁麻疹では通常、 数時間以内であるのに対して、 血管性浮腫では1~3日ぐらいかかります。 ここでは、 蕁麻疹の可能性を除外します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 ここでは、 薬剤性血管性浮腫の可能性を除外します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 ここでは、 食物アレルギーや薬物アレルギーによるアレルギー性の血管性浮腫の可能性を除外します。
以下は「浮腫の特徴」について
【解説】HAEは皮下や粘膜に血管性浮腫を繰り返す疾患で、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。
そのため、 浮腫が起きたことがある部位や、 過去の浮腫の病歴を確認することは、 HAEの診断において重要です。
【解説】HAEは皮下や粘膜に血管性浮腫を繰り返す疾患です。 そのため、 診断においては、 患者さんが過去に同様の症状で治療を受けたことがあるか確認しておくことが重要です。
過去にこれらの症状で治療を受けたことがある場合、 HAEの可能性があると考えられます。
【解説】HAEでは、 腫脹前に前駆徴候または症状が現れます。 前駆症状として出現する環状紅斑は小児の患者さんに多く、 症例の42〜58%で観察され、 しばしば蕁麻疹と間違われます¹⁾。 また、 腹部発作の70%では、 疲労感、 聴覚過敏、 飢餓感などの前駆症状を伴うことが報告されています²⁾。 ここでは、 HAEの発作が起こる際にみられる前駆症状の有無を確認します。
【解説】HAEの診断では、 HAE以外の血管性浮腫を除外する必要があります。 アレルギー性血管性浮腫の治療で効果が認められなかった場合には、 HAEの可能性があると考えられます。
【解説】HAEは疾患を知っていれば診断は比較的容易であり、 診断がつけば有効な治療を受けることができます。 しかし、 実臨床で診断・治療する機会は少ないことや、 一見すると一連の症状に関連性が乏しいため、 診断に難渋することが多く、 長年診断がつかず苦しまれている患者さんが多いのが現状です。 そのため、 過去に原因不明の症状により複数の診療科・医療機関にかかったことがあるか確認することは、 判断材料として重要です。
以下は「皮膚の浮腫」について
【解説】HAEの診断のポイントの1つに、 圧痕性か非圧痕性か?というのがあります。 慢性に経過する左右対称性の浮腫、 指圧痕を残す浮腫は、 心臓、 肝臓、 腎臓などの基礎疾患が疑われ、 血管性浮腫とは異なる病態です。 非圧痕性浮腫の場合には、 甲状腺機能低下症やリンパ浮腫などを考慮する必要があります。 HAEは非圧痕性浮腫です。 詳しくは浮腫の鑑別も参照してください。
【解説】アレルギーや薬の副作用、 ホルモンの異常、 心不全、 肝硬変などでは両側性に浮腫が出ます。 四肢の浮腫が片側性か両側性か確認することは、 これらの疾患との鑑別における判断材料として重要です。
【解説】HAEなどC1-INH活性低下による浮腫は局所が変形するほどに拡大し、 繰り返すという特徴があります。 浮腫の程度が強いと、 関節の曲げ伸ばしが十分にできなくなることがあります。
【解説】HAEによる浮腫は突発性で、 数日以内に消失します。 また、 腫れがひくまでの時間は、 蕁麻疹では通常、 数時間以内であるのに対して、 血管性浮腫では
1~3日程度です。
以下は「腹部の浮腫」について
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。 消化管の浮腫が生じると、 悪心、 嘔吐、 下痢などとともに激烈な腹痛が起こります。
そのため、 患者さんが過去にも消化管に関連した浮腫によると考えられる症状を経験していないか確認することは、 HAEの診断において重要です。
腹痛時に循環血漿量減少に起因すると考えられる症状 (めまい、 低血圧など) を伴うことがある
【解説】HAEでは、 再発性の腹痛および随伴症状として循環血漿量減少に起因するめまい等の症状がみられます。 ドイツの報告では、 主な随伴症状として、 嘔吐70%超、 下痢40%超、 めまい約90%が認められ、 まれにショックや意識障害、 テタニー、 血便、 腸重積なども生じるとされています³⁾。 詳しくは腹痛の鑑別も参照ください。
以下は「喉頭浮腫」について
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じ、 喉頭に浮腫を生じると、 呼吸困難や窒息をきたします。 喉頭浮腫では顔面浮腫が先行することが特徴で、 ドイツの報告では、 致死的な喉頭浮腫を起こしたHAE患者さんの半数で、 顔面浮腫が先行または併発していました⁴⁾。 また、 顔面浮腫の発生から致死的な喉頭浮腫の発生までの期間は平均1.4日でした⁴⁾。 HAEの患者さんに対しては、 顔面浮腫が起きたときは、 直ちに救急外来を受診するように指示する必要があります。 そのため、 顔面や口蓋垂の浮腫の既往を確認することは、 HAEの診断だけでなく、 患者さんの抱えるリスクを把握して迅速に対処するうえで重要です。
【解説】HAEでは、 局所性浮腫が全身のあらゆる部位に生じます。 喉頭に浮腫を生じると、 呼吸困難や窒息をきたします。 そのため、 患者さんが過去にも顔面や喉頭の浮腫を経験していないか確認することは、 HAEの診断において重要です。
¹⁾ 堀内孝彦ら. 補体.2020; 57 (1): 3-22.
²⁾ 大澤 勲 編: 難病 遺伝性血管性浮腫 (HAE) (医薬ジャーナル社) 2016; pp.42
³⁾ Bork K et al: Am J Gastroenterol 2006; 101: 619-627.
⁴⁾ Bork K et al: J Allergy Clin Immunol 2012; 130: 692-697.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
あなたは医師もしくは医療関係者ですか?
HOKUTOへようこそ。当サイトでは、医師の方を対象に株式会社HOKUTOの臨床支援コンテンツを提供しています。