ARC-HBRとは？

• PCI (経皮的冠動脈インターベンション)における高出血リスク患者の評価スコア.
• Academic Research Consortium for High Bleeding Riskの略.
• ARCは欧米､ 日本､ 韓国の専門家､ 政府機関､ 企業により構成されている.
• 大基準14項目と小基準6項目を専門家のコンセンサスとして示している.

高出血リスク(HBR)の定義

• PCI施行後1年以内のBARC出血基準タイプ3またはタイプ5の出血リスク≧4％
• または､PCI施行後1年以内の頭蓋内出血リスク≧1％

BARC出血基準

• タイプ3 : 明らかな出血とHb低下､ 頭蓋内出血
• タイプ5 : 致死的出血

エビデンス

高出血リスク患者の評価基準は､ 主要項目のうち1個以上または副次項目のうち2個以上をみたす場合とし､ PCI 施行患者の約20%はHBRと判断された.

主要項目

• 長期の経口抗凝固薬使用
• eGFR<30mL/min/1.73m²
• Hb < 11g/dL
• 入院/輸血が必要な非外傷性出血の既往 (6か月以内､または再発性では時期を問わない)
• Plt <10万/dL
• 慢性的な出血傾向
• 門脈圧亢進症を伴う肝硬変
• 12ヶ月以内の活動性の悪性腫瘍 (非黒色腫皮膚癌を除く)
• 特発性脳出血の既往､12ヶ月以内の外傷性脳出血の既往､ 脳動静脈奇形の合併､ 6ヶ月以内の中等度または重度の脳卒中既往
• DAPT期間中の延期不可能な大手術
• PCI施行前30日以内の大きな外傷または大手術歴

副次項目

• 75歳以上
• eGFR<60mL/min/1.73m²
• Hb 男性<13g/dL､女性<12g/dL
• 入院/輸血が必要な非外傷性出血 (6~12ヶ月以内､初回)
• NSAIDsまたは経口ステロイドの長期使用
• 主要項目に該当しない脳梗塞の既往

使用上の注意

• 大出血のリスク評価では、出血リスクと共に血栓リスクの評価も必要である.

参考文献

1. Defining high bleeding risk in patients undergoing percutaneous coronary intervention: a consensus document from the Academic Research Consortium for High Bleeding Risk.Eur Heart J. 2019 Aug 14;40(31):2632-2653.PMID: 31116395

最終更新：2022年2月26日

監修医師：聖路加国際病院救急部 清水真人