TTPの診断

• 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura : TTP) の診断には､ADAMTS13の酵素活性低下(<10%)が用いられる.¹⁾²⁾³⁾
• ただし､ 外注検査の場合､ 結果が判明するまで約5営業日かかる.²⁾
• ADAMTS13活性低下のリスクを速やかに評価する指標には､PLASMICスコアとFrenchスコアの２つがある.
• 中~高リスクの場合､臨床的に速やかな血漿交換が推奨される.²⁾

Frenchスコア¹⁾²⁾

• 血小板数 ≦ 3万/µL　+1
• クレアチニン ≦ 2.26mg/dL　+1
• ANA (抗核抗体) 陽性　+1

エビデンス

• French スコアが高いほどTTP重症度を示すADAMTS13の酵素活性の低下 (<10%) のリスクが高くなる.¹⁾²⁾
• 低リスク (0点) の場合はまず鑑別診断と経過観察を行う.²⁾
• 中間リスク、高リスク (1~3点) の場合､ 未治療では2週間以内に9割が死亡するため速やかな血漿交換を行うと同時にADAMTS13活性の検査を行う.²⁾
• 血漿交換に用いるFFP用量は､ 50~75 mL/kgを目安とする. 血小板数が2日連続して正常化するまで血漿交換を連日行う.²⁾

使用上の注意

• Frenchスコアは血栓性微小血管症 (TMA) の初期症状を呈する成人が対象として作られたスコア.¹⁾
• TTPのFrenchスコアは同じくADAMTS13低下のリスク指標のPLASMICスコアに比べ簡素で単純である.
• PLASMICスコアは外部検証研究でコホートの96%で算定することができたもの、Frenchスコアは47%しか評価することができなかった.¹⁾

関連コンテンツ

血栓性血小板減少性紫斑病

臨床的診断基準

🔢 TTPのPLASMICスコア

🔢 TTPのFrenchスコア

重症度分類

🔢 先天性TTPの重症度分類

🔢 後天性TTPの重症度分類

関連コンテンツ

📝 CTCAE : 血栓性血小板減少性紫斑病

参考文献

1. Clinical and laboratory diagnosis of TTP: an integrated approach. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2018 Nov 30;2018(1):530-538. PMID: 30504354.
2. 日本血栓止血学会誌　宮川義隆　血栓性血小板減少性紫斑病（TTP）に対する分子標的治療　2020 年 31 巻 1 号 p. 28-36
3. Epidemiology and pathophysiology of adulthood-onset thrombotic microangiopathy with severe ADAMTS13 deficiency (thrombotic thrombocytopenic purpura): a cross-sectional analysis of the French national registry for thrombotic microangiopathy. Lancet Haematol. 2016 May;3(5):e237-45. PMID: 27132698.
4. Utilizing a PLASMIC score-based approach in the management of suspected immune thrombotic thrombocytopenic purpura: a cost minimization analysis within the Harvard TMA Research Collaborative. Br J Haematol. 2019 Aug;186(3):490-498. PMID: 31131442.

最終更新：2021年12月29日

監修医師：伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔