eCura systemとは

• 早期胃癌ESD非治癒切除症例 (根治度C-2) の治療方針のためのスコアリング¹⁾.
• 非治癒切除病変は､ 2020年のメタ解析ではリンパ節転移率 8.1%と報告された²⁾. このようなリンパ節転移リスクから､ 胃癌治療ガイドライン第5版では "追加外科切除" が推奨されている³⁾.
• eCura Cystemで ｢リンパ節転移率｣ の他､ ｢5年癌特異的生存率｣ ｢5年転移再発率｣を評価できる¹⁾.

eCura Cystem評価項目

• リンパ管侵襲　+3
• 腫瘍経 >30mm +1
• 垂直断端(VM) 陽性 +1
• 粘膜下層浸潤≧500μm (SM2) +1
• 静脈侵襲 +1

全5項目計7点で､低リスク(0~1点)､ 中リスク (2~4点)､ 高リスク (5~7点)の3つのリスク群に大別される.

エビデンス

オリジナル文献は早期胃癌ESD非治癒切除症例を集積した本邦多施設共同後方視的研究 (the Establishment of Accommodation of Early Stomach Cancer Treatment study；EAST study)からの報告である¹⁾. 約2,000例の膨大な数の早期胃癌ESD非治癒切除病変の統計学的解析からそのリンパ節転移率を予測する簡便なスコアリングシステムが作成された.

リンパ節転移率

• 低リスク (0~1点)：2.5%

0点 リンパ節転移率 1.6％

1点 リンパ節転移率 2.6％

• 中リスク (2~4点)：6.7%

2点 リンパ節転移率 4.9％

3点 リンパ節転移率 7.4％

4点 リンパ節転移率 8.3％

• 高リスク (5~7点)：22.7%

5点 リンパ節転移率 19.9％

6点 リンパ節転移率 27.3％

7点 リンパ節転移率 26.7％

5年癌特異的生存率

• 低リスク(0-1点)：99.6%
• 中リスク(2-4点)：96.0%

低リスク比較 HR=7.73 (95%CI;2.09-28.6, p=0.002)

• 高リスク(5-7点)：90.1％ (HR=18.1)

低リスク比較 HR=18.1 (95%CI;4.82-68.2, p<0.001)

参考文献

1. A Scoring System to Stratify Curability after Endoscopic Submucosal Dissection for Early Gastric Cancer: "eCura system". Am J Gastroenterol. 2017 Jun;112(6):874-881. PMID: 28397873.
2. Prevalence and risk factors for lymph node metastasis after noncurative endoscopic resection for early gastric cancer: a systematic review and meta-analysis. J Gastroenterol. 2020 Aug;55(8):742-753. PMID: 32277297
3. 日本胃癌学会編. 胃癌治療ガイドライン第 5 版. 東京：金原出版；2018.

最終更新日：2022年7月30日

監修：HOKUTO編集部医師