急性膵炎の重症度分類とは？

1990年に厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班により初版が作成され､ 現在は2008年改定版が利用されている¹⁾｡

急性膵炎の重症と判定するためには､ 🔢予後因子≧3つ､または🔢CT Grade≧2のいずれかを満たす場合である¹⁾｡ 本邦ガイドラインでは､この重症度判定基準に従って急性膵炎の重症度判定を行うことが推奨されている²⁾｡

予後因子¹⁾²⁾

• Base Excess≦-3mEq/Lまたはショック(収縮期血圧≦80mmHg)
• PaO₂≦60mmHg(room air)または呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
• BUN≧40mg/dL (またはCre≧2mg/dL) または乏尿(輸血後も1日尿量≧400mL)
• LDH≧基準値上限の2倍
• 血小板数≦10万/mm³
• 総Ca値≦7.5mg/dL
• CRP≧15mg/dL
• 年齢≧70歳
• SIRS診断基準における陽性項目数≧3

SIRS：①体温>38度または<36度 ②脈拍数>90回/分 ③呼吸数>20回またはPaCO₂<32mmHg ④白血球数>12,000/mm³または<4000/mm³､ もしくは>10%幼若球出現

エビデンス

予後因子と死亡率²⁾

• 予後因子数3点未満：死亡率1.4%
• 予後因子数3点以上：死亡率18.0%

他の重症度分類との比較³⁾

本邦138例の急性膵炎患者を対象に､その他の重症度分類とと比較し､最もAUCが高かった.

• 本基準 0.822
• Ransonスコア 0.820
• Glasgoeスコア 0.754
• APACHEIIスコア 0.801

関連コンテンツ

急性膵炎

🚑ERマニュアル｜急性膵炎 (聖路加救急部)

🔢急性膵炎重症度判定基準：①予後因子

🔢急性膵炎重症度判定基準：②造影CT Grade

📘急性膵炎診療ガイドライン 2015

📘慢性膵炎診療ガイドライン 2015

📘ERCP後膵炎ガイドライン2015

参考文献

1. 厚生労働科学研究補助金 難治性疾患克服研究事業. ｢難治性疾患に関する調査研究｣. 『急性膵炎重症度判定基準(2008)の検証』.2021, p.49-51
2. 急性膵炎診療ガイドライン2021改訂出版委員会. 急性膵炎診療ガイドライン 2021 第5版. 金原出版
3. Utility of the new Japanese severity score and indications for special therapies in acute pancreatitis. J Gastroenterol. 2009;44(5):453-9. PMID: 19308309.

最終更新：2022年12月20日

監修医師：聖路加国際病院救急部 清水真人