厚生労働省 指定難病240
厚生労働省作成の概要 / 診断基準等及び臨床調査個人票はこちらよりご確認いただけます
フェニルケトン尿症 (Phenylketonuria; PKU) は、 フェニルアラニン (Phe) の代謝異常による先天性アミノ酸代謝異常症である。
Pheは通常、 Phe水酸化酵素 (PAH) によりチロシンに変換されるが、 この酵素の異常により血中Pheが蓄積し、 精神発達遅滞や行動異常などの中枢神経症状を引き起こす。 特に新生児期から乳児期に脳構築障害が発生し、 小頭症やてんかん、 白質病変を伴うことがある。 また、 PAHの補酵素であるテトラハイドロビオプテリン (BH4) の不足も、 神経伝達物質の低下を招き、 重篤な中枢神経症状をもたらす。
稀な疾患ではあるが、 日本では新生児マススクリーニングにより約30年で500例以上の高Phe血症が発見されている。
以下の研究班作成の診断基準をもとにフェニルケトン尿症と診断する。 対象はDefinite。
診断の根拠となる①を認めるものを生化学診断例とし、 ②③を実施し (必要に応じて④⑤を実施)、 PAH欠損症、 BH4欠損症、 BH4反応性高Phe血症のいずれかに病型分類できたものをDefiniteとする。
BH4反応性高Phe血症の診断の確認のために、 特殊検査④に加えて、 乳児期後半にBH4・1週間投与試験にて血中Phe値が投与前より30%以上の低下を確認することが望ましい。
①アミノ酸分析 (HPLC法)
血中フェニルアラニン値 : 2mg/dL (120µmol/L) 以上 (基準値0.7~1.8mg/dL)
②プテリジン分析
BH4欠損症で異常パターンが見られる
③DHPR酵素解析
DHPR欠損症ではDHPR活性の著しい活性低下を認める
④BH4・1回負荷試験
通常、 血中Phe値が6mg/dL (360µmol/L) 以上の場合に行われる。 BH4 10mg/kgを経口1回投与。 負荷前及び負荷後4、8、24時間の血中Phe値を測定。 古典型PKUもしくはDHPR欠損症では変化なし。 BH4欠損症 (DHPR欠損症を除く) では血中Phe値は正常化。 BH4反応性高Phe血症で前値より20%以上低下。
⑤遺伝子解析
PAH遺伝子などの責任遺伝子において2アレルに病因となる変異が同定されること
以下の日本先天代謝異常学会の重症度分類のうち中等症以上を対象
IからVIまでの各評価及び総点数をもとに最終評価を決定する
厚労省. 指定難病220 フェニルケトン尿症 概要
最終更新 : 2024年8月30日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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フェニルケトン尿症 (Phenylketonuria; PKU) は、 フェニルアラニン (Phe) の代謝異常による先天性アミノ酸代謝異常症である。
Pheは通常、 Phe水酸化酵素 (PAH) によりチロシンに変換されるが、 この酵素の異常により血中Pheが蓄積し、 精神発達遅滞や行動異常などの中枢神経症状を引き起こす。 特に新生児期から乳児期に脳構築障害が発生し、 小頭症やてんかん、 白質病変を伴うことがある。 また、 PAHの補酵素であるテトラハイドロビオプテリン (BH4) の不足も、 神経伝達物質の低下を招き、 重篤な中枢神経症状をもたらす。
稀な疾患ではあるが、 日本では新生児マススクリーニングにより約30年で500例以上の高Phe血症が発見されている。
以下の研究班作成の診断基準をもとにフェニルケトン尿症と診断する。 対象はDefinite。
診断の根拠となる①を認めるものを生化学診断例とし、 ②③を実施し (必要に応じて④⑤を実施)、 PAH欠損症、 BH4欠損症、 BH4反応性高Phe血症のいずれかに病型分類できたものをDefiniteとする。
BH4反応性高Phe血症の診断の確認のために、 特殊検査④に加えて、 乳児期後半にBH4・1週間投与試験にて血中Phe値が投与前より30%以上の低下を確認することが望ましい。
①アミノ酸分析 (HPLC法)
血中フェニルアラニン値 : 2mg/dL (120µmol/L) 以上 (基準値0.7~1.8mg/dL)
②プテリジン分析
BH4欠損症で異常パターンが見られる
③DHPR酵素解析
DHPR欠損症ではDHPR活性の著しい活性低下を認める
④BH4・1回負荷試験
通常、 血中Phe値が6mg/dL (360µmol/L) 以上の場合に行われる。 BH4 10mg/kgを経口1回投与。 負荷前及び負荷後4、8、24時間の血中Phe値を測定。 古典型PKUもしくはDHPR欠損症では変化なし。 BH4欠損症 (DHPR欠損症を除く) では血中Phe値は正常化。 BH4反応性高Phe血症で前値より20%以上低下。
⑤遺伝子解析
PAH遺伝子などの責任遺伝子において2アレルに病因となる変異が同定されること
以下の日本先天代謝異常学会の重症度分類のうち中等症以上を対象
IからVIまでの各評価及び総点数をもとに最終評価を決定する
厚労省. 指定難病220 フェニルケトン尿症 概要
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