EWGSOP2 2018年改訂版とは？

EWGSOP2 (European Working Group on Sarcopenia in Older People 2) によって2018年に更新されたサルコペニアの定義および診断基準である｡ このツールは､筋力低下をサルコペニアの主要な特徴とし､ 筋肉の量や質の低下を確認することでサルコペニアの診断を確定し､ 身体機能の低下を示すことで重症サルコペニアを識別する¹⁾｡

サルコペニアの定義

基準1があればサルコペニアの可能性が高い｡

基準2があれば､サルコペニアと診断する｡

すべてを満たす場合､ 重症とする｡

基準1：｢筋力｣の低下

基準2：｢筋肉量または質｣の低下

基準3：｢身体能力｣の低下

サルコペニアの診断プロセス

EWGSOP2ではサルコペニアの診断プロセスを"Find-Assess-Confirm-Severity" (F-A-C-S) と提唱している¹⁾｡

Find Cases ｜症例発見

サルコペニアらしい疾患を発見

• SARC-F陽性  >>計算する
• 臨床的所見あり

Assess｜アセスメント

筋力を評価し疑い症例を同定

• 握力テスト↓

(カットオフ値 男性：<27kg､ 女性：<16kg)

• 椅子から立ち上がり↓

(カットオフ値 5回で15秒以上)

Confirm｜確定診断

骨格筋の量･質の低下から確定診断

• 四肢骨格筋量 ASM↓

(カットオフ値 男性：<20kg､ 女性：<15kg)

• 四肢骨格筋量 ASM/身長² ↓

(カットオフ値 男性：<7.0kg/m²､ 女性：<5.5kg/m²)

Severity｜重症度評価

最後に重症度を評価

• 通常歩行速度↓

(カットオフ値 ≦0.8m/秒)

• 簡易身体能力バッテリー (SPPB)↓：立位バランス､ 歩行速度､ 立ち上がる動作

(カットオフ値 ≦8点)

• Timed get-up-and-goテスト↓：椅子から立ち上がり､ 3m先の目印を回り､ 再び座る動作

(カットオフ値 ≧20秒)

• 400メートル歩行テスト↓：20mを20回できるだけ速く歩いた所要時間

(カットオフ値 未完了､ または完了まで6分以上)

エビデンス

EWGSOP2のサルコペニアの定義および診断基準は､ 2010年に提唱されたEWGSOP1からの科学的･臨床的エビデンスの成果を反映している｡ スクリーニングから診断､重症度判定までの流れが明確になり､ 煩雑さは軽減した｡ その有用性は多数の研究で検証されている¹⁾｡

使用上の注意点

現在のEWGSOP2勧告は､ ヨーロッパでの使用に焦点が当てられており､ 上記に記載されたカットオフポイントについて本邦での利用については検証が必要である｡

関連コンテンツ

🔢SARC-F

🔢サルコペニアの定義と診断 (EWGSOP2)

参考文献

1. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age Ageing. 2019 Jan 1;48(1):16-31. PMID: 30312372

最終更新：2023年8月27日

監修医師：HOKUTO編集部監修医師