2023Duke-ISCVID基準、 修正Duke診断基準
1994年に感染性心内膜炎の診断基準初期案が提唱され¹⁾、 2000年に Li らが改訂²⁾、 さらに 2023年にDuke-ISCVID 作業部会が大幅に更新した³⁾。
対象は感染性心内膜炎 (IE) が疑われる成人・小児患者で、 発熱や菌血症を契機に 「IEか否か」 を迅速に層別化したい場面で用いられる。 臨床・微生物・画像所見を組み合わせ、 「Definite / Possible / Rejected IE」 に分類することで、 治療開始や外科的介入の意思決定を支援する。
■臨床基準
確定例 (Definite IE)
- 大基準2項目
- 大基準1項目+小基準3項目
- 小基準5項目
可能例 (Possible IE)
- 大基準1項目+小基準1–2項目
- 小基準3–4項目
否定例 (Rejected IE)
- 代替診断で説明可能
- 抗菌薬4日未満で再発なく消失
- 手術・剖検でIE所見なし (抗菌薬4日未満)
- 上記該当せず、 Possible IE基準を満たさない
■病理学的基準
- 病変部または塞栓由来検体から病原体が同定
- 活動性心内膜炎の組織学的証明
A.微生物学的基準
(1) 血液培養陽性
- 典型的起因菌が2セット以上で陽性
- 非典型的菌が3セット以上で陽性
(2) その他の微生物学的検査
- PCR/核酸検査で Coxiella burnetii、 Bartonella spp.、Tropheryma whipplei を血液から検出
- C. burnetii の 抗フェーズI IgG ≥1:800、 または単回血液培養陽性
- B. henselae/B. quintana IgG ≧1:800
B.画像診断基準
(1) 心エコー/心臓CT
- 疣贅、弁穿孔、弁瘤、膿瘍、仮性動脈瘤、心内瘻
- 以前の検査と比較した新規で顕著な逆流
- 人工弁の部分的離開
(2) 18F-FDG PET/CT
自然弁もしくは人工弁、 上行大動脈グラフト、 心臓内デバイスのリード、 他の人工物に集積
C.手術所見基準
心臓手術中の直視下でIEを示す病変 (画像や病理証明が得られない場合でも大基準とする)
素因 既往IE/人工弁・修復弁/経カテーテル弁/CIED/中等度以上の弁病変/先天性心疾患/肥大型閉塞性心筋症/静注薬物使用
発熱 ≧38℃
血管現象 動脈塞栓、 敗血性肺梗塞、 脳脾膿瘍、 真菌性動脈瘤、 頭蓋内出血、 結膜出血、 Janeway斑、 化膿性紫斑
免疫現象 リウマトイド因子、 Osler結節、 Roth斑、 免疫複合体腎炎*
微生物学的証拠 IEと整合するが大基準を満たさない血液/無菌部位培養・核酸検査陽性
画像 術後3ヵ月以内の人工弁・CIED等へのFDG集積
身体診察 エコー不可の場合、新規逆流性雑音
原法は感度63–80%、 特異度 >90% と報告¹⁾。
2000年改訂Duke診断基準は血液培養陽性 S. aureus 菌血症をMajorに組み入れ感度向上²⁾。
2023年のDuke-ISCVID基準はPET/CTと心臓CT、 分子診断、 術中所見を採用し、 オランダ・米国など8センターの外部検証で 「Definite IE」 判定率が旧基準比 59→79%に上昇、 特異度は維持されたと報告されている⁴⁾。
血流感染症コホート比較でも感度57%でESC 2023 基準 (8%) を大幅に上回った⁵⁾。 日本からは多施設レトロスペクティブ解析で改訂前基準に基づく診断遅延が報告され⁶⁾、 先進画像が未整備の施設では感度低下が課題とされる。
🔢 NOVAスコア
最終更新 : 2025年5月10日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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1994年に感染性心内膜炎の診断基準初期案が提唱され¹⁾、 2000年に Li らが改訂²⁾、 さらに 2023年にDuke-ISCVID 作業部会が大幅に更新した³⁾。
対象は感染性心内膜炎 (IE) が疑われる成人・小児患者で、 発熱や菌血症を契機に 「IEか否か」 を迅速に層別化したい場面で用いられる。 臨床・微生物・画像所見を組み合わせ、 「Definite / Possible / Rejected IE」 に分類することで、 治療開始や外科的介入の意思決定を支援する。
■臨床基準
確定例 (Definite IE)
- 大基準2項目
- 大基準1項目+小基準3項目
- 小基準5項目
可能例 (Possible IE)
- 大基準1項目+小基準1–2項目
- 小基準3–4項目
否定例 (Rejected IE)
- 代替診断で説明可能
- 抗菌薬4日未満で再発なく消失
- 手術・剖検でIE所見なし (抗菌薬4日未満)
- 上記該当せず、 Possible IE基準を満たさない
■病理学的基準
- 病変部または塞栓由来検体から病原体が同定
- 活動性心内膜炎の組織学的証明
A.微生物学的基準
(1) 血液培養陽性
- 典型的起因菌が2セット以上で陽性
- 非典型的菌が3セット以上で陽性
(2) その他の微生物学的検査
- PCR/核酸検査で Coxiella burnetii、 Bartonella spp.、Tropheryma whipplei を血液から検出
- C. burnetii の 抗フェーズI IgG ≥1:800、 または単回血液培養陽性
- B. henselae/B. quintana IgG ≧1:800
B.画像診断基準
(1) 心エコー/心臓CT
- 疣贅、弁穿孔、弁瘤、膿瘍、仮性動脈瘤、心内瘻
- 以前の検査と比較した新規で顕著な逆流
- 人工弁の部分的離開
(2) 18F-FDG PET/CT
自然弁もしくは人工弁、 上行大動脈グラフト、 心臓内デバイスのリード、 他の人工物に集積
C.手術所見基準
心臓手術中の直視下でIEを示す病変 (画像や病理証明が得られない場合でも大基準とする)
素因 既往IE/人工弁・修復弁/経カテーテル弁/CIED/中等度以上の弁病変/先天性心疾患/肥大型閉塞性心筋症/静注薬物使用
発熱 ≧38℃
血管現象 動脈塞栓、 敗血性肺梗塞、 脳脾膿瘍、 真菌性動脈瘤、 頭蓋内出血、 結膜出血、 Janeway斑、 化膿性紫斑
免疫現象 リウマトイド因子、 Osler結節、 Roth斑、 免疫複合体腎炎*
微生物学的証拠 IEと整合するが大基準を満たさない血液/無菌部位培養・核酸検査陽性
画像 術後3ヵ月以内の人工弁・CIED等へのFDG集積
身体診察 エコー不可の場合、新規逆流性雑音
原法は感度63–80%、 特異度 >90% と報告¹⁾。
2000年改訂Duke診断基準は血液培養陽性 S. aureus 菌血症をMajorに組み入れ感度向上²⁾。
2023年のDuke-ISCVID基準はPET/CTと心臓CT、 分子診断、 術中所見を採用し、 オランダ・米国など8センターの外部検証で 「Definite IE」 判定率が旧基準比 59→79%に上昇、 特異度は維持されたと報告されている⁴⁾。
血流感染症コホート比較でも感度57%でESC 2023 基準 (8%) を大幅に上回った⁵⁾。 日本からは多施設レトロスペクティブ解析で改訂前基準に基づく診断遅延が報告され⁶⁾、 先進画像が未整備の施設では感度低下が課題とされる。
🔢 NOVAスコア
最終更新 : 2025年5月10日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 清水真人
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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