同種造血幹細胞移植後のリスク評価
Hematopoietic Cell Transplantation-specific Comorbidity Indexの略で、 同種造血幹細胞移植の適応が考慮された患者に対し、移植後のリスクを評価するために使われる¹⁾。 多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植前の評価にも役立つとされる。
2年非再発死亡率
0点 14% 1~2点 21% ≧3点 41%
2年生存率
0点 71% 1~2点 60% ≧3点 34%
病歴や既往歴の中で、 抗不整脈薬による治療を要したすべての不整脈に加算する。
評価日に正常洞調律であっても、 過去に治療歴があれば加算する。なお、 治療を必要としない不整脈は加算しない。
【例 : 心房細動】
■ 自然に洞調律に復帰→0点
■ Ca拮抗薬やジギタリスなどで復帰→1点
▼冠動脈疾患
労作性狭心症、 ACSなど
▼うっ血性心不全
利尿薬、 降圧薬、 β遮断薬、 ジギタリスなどで治療されたうっ血性心不全の症状/徴候が必要。
▼収縮能の低下
いわゆるLow EF。 Day -10以前で最も直近のデータを用いる。
Crohn病または潰瘍性大腸炎の診断歴+治療歴がある場合に加算する。なお、 診断のみで無治療の場合は加算しない。
評価日の4週間前の段階で、 インスリンまたは経口血糖降下薬による治療が必要な糖尿病がある場合に加算する。
食事運動療法のみでコントロール可能な場合や、 評価日の4週間前までに治療が中止されていた場合は加算しない。
TIA、 SAH、 脳梗塞*、 脳出血の既往歴がある場合に加算する。なお、 治療歴は問わない。
評価日の4週間前までに、 継続的な治療を必要とする気分障害、 不安障害、 その他の精神障害が存在する場合に加算する。 必要に応じて治療を受けている場合は加算しない。
重症度によって1点と3点の場合がある。
day-24~-10までの期間内*の2つの異なる日で、 最も直近の検査結果が必要である。
▼軽度の肝機能障害(1点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 総ビリルビン値がULNを超え1.5倍まで上昇
■ ALTまたはASTのいずれかの値がULNを超えULNの2.5倍まで上昇
■ B型肝炎またはC型肝炎の感染歴あり
▼中等度~重度の肝機能障害(3点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 総ビリルビンがULNの1.5倍を超える値まで上昇
■ ALT・ASTのいずれか、 または両方がULNの2.5倍を超える値まで上昇
■ 肝硬変と診断されている
18歳以上はBMI*35以上、 18歳以下は年齢に対するBMIが95パーセンタイル以上の場合に加算。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 感染症が証明されている(培養または生検等)
■ 原因不明の発熱
■ 真菌性肺炎が疑われる肺結節
■ 結核予防が必要な精製蛋白誘導体検査陽性
なお、 評価日以前に特定の抗菌薬治療を開始しており、 コンディショニングレジメン投与期間中およびday 0以降も同じ抗菌薬治療 (または類似の薬剤) を継続するよう、 プライマリーチームまたは感染症コンサルテーションチームによって推奨されている必要がある。
特定の治療を必要とするリウマチ性疾患*の診断歴がある場合に加算される。
未診断の多発性関節炎、 退行性関節疾患、 変形性関節症は加算しない。
分類不能の膠原病の病歴があり、 それがステロイド治療などで改善している場合は加算を考慮する。
胃潰瘍または十二指腸潰瘍の内視鏡的診断またはX線診断がある場合に加算する。なお、 直近で治療を受けていなくても加算する。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 血清クレアチニンが2mg/dL以上上昇*
■ 評価日前4週間以内に、 週1回の透析を必要とする慢性腎疾患がある
■ 腎移植の既往歴がある
重症度によって2点と3点の場合がある。
肺合併症は特に重要な項目であり、 Sorrorらは肺機能検査が施行できない場合にはHCT-CIを計算するべきではないとしている²⁾。
肺機能検査のなかでも、 特に補正DLcoとFEV1が大切である。DLcoは、 同時に測定されたHb値を用いてDinakara式で補正する³⁾。
Dinakara式 : 補正DLco=
未補正DLco/〔0.06965×Hb( (g/dL)〕
▼中等度の肺機能障害(2点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。DLco・FEV1は評価日直近の測定値を用いる。
■ DLco : 66%~80%
■ FEV1 : 66%~80%
■ Day-14までに評価された、 肺疾患に起因し顕著な貧血に対する輸血で改善できないわずかな活動時の息切れ
▼重度の肺機能障害(3点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。DLco・FEV1は評価日直近の測定値を用いる。
■ DLco : 65%以下
■ FEV1 : 65%以下
■ Day-14までに評価された、 肺疾患に起因し、 顕著な貧血に対する輸血によって改善できない安静時息切れ
■ Day-28までに評価された、 間欠的または持続的な酸素補給の必要性
治療の種類に関係なく、 特定の治療を受ける必要があった悪性腫瘍の診断歴がある場合に加算する。なお、 良性腫瘍や無治療の腫瘍には加算しない。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 僧帽弁、 大動脈弁、 三尖弁、 肺動脈弁のいずれであるかを問わず、 心エコー図で判定した中等度または重度の弁狭窄または弁閉鎖不全
■ 僧帽弁または大動脈弁の人工弁
■ 症候性僧帽弁逸脱
出典
最終更新:2024年7月17日
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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Hematopoietic Cell Transplantation-specific Comorbidity Indexの略で、 同種造血幹細胞移植の適応が考慮された患者に対し、移植後のリスクを評価するために使われる¹⁾。 多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植前の評価にも役立つとされる。
2年非再発死亡率
0点 14% 1~2点 21% ≧3点 41%
2年生存率
0点 71% 1~2点 60% ≧3点 34%
病歴や既往歴の中で、 抗不整脈薬による治療を要したすべての不整脈に加算する。
評価日に正常洞調律であっても、 過去に治療歴があれば加算する。なお、 治療を必要としない不整脈は加算しない。
【例 : 心房細動】
■ 自然に洞調律に復帰→0点
■ Ca拮抗薬やジギタリスなどで復帰→1点
▼冠動脈疾患
労作性狭心症、 ACSなど
▼うっ血性心不全
利尿薬、 降圧薬、 β遮断薬、 ジギタリスなどで治療されたうっ血性心不全の症状/徴候が必要。
▼収縮能の低下
いわゆるLow EF。 Day -10以前で最も直近のデータを用いる。
Crohn病または潰瘍性大腸炎の診断歴+治療歴がある場合に加算する。なお、 診断のみで無治療の場合は加算しない。
評価日の4週間前の段階で、 インスリンまたは経口血糖降下薬による治療が必要な糖尿病がある場合に加算する。
食事運動療法のみでコントロール可能な場合や、 評価日の4週間前までに治療が中止されていた場合は加算しない。
TIA、 SAH、 脳梗塞*、 脳出血の既往歴がある場合に加算する。なお、 治療歴は問わない。
評価日の4週間前までに、 継続的な治療を必要とする気分障害、 不安障害、 その他の精神障害が存在する場合に加算する。 必要に応じて治療を受けている場合は加算しない。
重症度によって1点と3点の場合がある。
day-24~-10までの期間内*の2つの異なる日で、 最も直近の検査結果が必要である。
▼軽度の肝機能障害(1点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 総ビリルビン値がULNを超え1.5倍まで上昇
■ ALTまたはASTのいずれかの値がULNを超えULNの2.5倍まで上昇
■ B型肝炎またはC型肝炎の感染歴あり
▼中等度~重度の肝機能障害(3点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 総ビリルビンがULNの1.5倍を超える値まで上昇
■ ALT・ASTのいずれか、 または両方がULNの2.5倍を超える値まで上昇
■ 肝硬変と診断されている
18歳以上はBMI*35以上、 18歳以下は年齢に対するBMIが95パーセンタイル以上の場合に加算。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 感染症が証明されている(培養または生検等)
■ 原因不明の発熱
■ 真菌性肺炎が疑われる肺結節
■ 結核予防が必要な精製蛋白誘導体検査陽性
なお、 評価日以前に特定の抗菌薬治療を開始しており、 コンディショニングレジメン投与期間中およびday 0以降も同じ抗菌薬治療 (または類似の薬剤) を継続するよう、 プライマリーチームまたは感染症コンサルテーションチームによって推奨されている必要がある。
特定の治療を必要とするリウマチ性疾患*の診断歴がある場合に加算される。
未診断の多発性関節炎、 退行性関節疾患、 変形性関節症は加算しない。
分類不能の膠原病の病歴があり、 それがステロイド治療などで改善している場合は加算を考慮する。
胃潰瘍または十二指腸潰瘍の内視鏡的診断またはX線診断がある場合に加算する。なお、 直近で治療を受けていなくても加算する。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 血清クレアチニンが2mg/dL以上上昇*
■ 評価日前4週間以内に、 週1回の透析を必要とする慢性腎疾患がある
■ 腎移植の既往歴がある
重症度によって2点と3点の場合がある。
肺合併症は特に重要な項目であり、 Sorrorらは肺機能検査が施行できない場合にはHCT-CIを計算するべきではないとしている²⁾。
肺機能検査のなかでも、 特に補正DLcoとFEV1が大切である。DLcoは、 同時に測定されたHb値を用いてDinakara式で補正する³⁾。
Dinakara式 : 補正DLco=
未補正DLco/〔0.06965×Hb( (g/dL)〕
▼中等度の肺機能障害(2点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。DLco・FEV1は評価日直近の測定値を用いる。
■ DLco : 66%~80%
■ FEV1 : 66%~80%
■ Day-14までに評価された、 肺疾患に起因し顕著な貧血に対する輸血で改善できないわずかな活動時の息切れ
▼重度の肺機能障害(3点)
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。DLco・FEV1は評価日直近の測定値を用いる。
■ DLco : 65%以下
■ FEV1 : 65%以下
■ Day-14までに評価された、 肺疾患に起因し、 顕著な貧血に対する輸血によって改善できない安静時息切れ
■ Day-28までに評価された、 間欠的または持続的な酸素補給の必要性
治療の種類に関係なく、 特定の治療を受ける必要があった悪性腫瘍の診断歴がある場合に加算する。なお、 良性腫瘍や無治療の腫瘍には加算しない。
下記の1つ以上が該当する場合に加算する。
■ 僧帽弁、 大動脈弁、 三尖弁、 肺動脈弁のいずれであるかを問わず、 心エコー図で判定した中等度または重度の弁狭窄または弁閉鎖不全
■ 僧帽弁または大動脈弁の人工弁
■ 症候性僧帽弁逸脱
出典
最終更新:2024年7月17日
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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