MIPSS70 +version2.0 とは

Mutation-Enhanced International Prognostic Scoring System 70 PLUS (MIPSS70+) の略で､ 移植年齢 (70歳以下) の原発性骨髄線維症患者のための国際予後予測スコアリングシステムの一つ¹⁾｡ 臨床的パラメーターに遺伝子変異と染色体核型が加えられており､ 遺伝子変異と染色体核型の情報がある時に使用できるのが特徴である｡

スコア項目

遺伝子変異

• 超予後不良染色体異常*¹　+4
• 予後不良染色体異常*²　+3
• 2個以上の高リスク遺伝子変異*³　+3
• 1個の高リスク遺伝子変異*³　+2
• CALRタイプ 1 変異がない　+2

臨床検査所見

• 高度貧血*⁴　+2
• 軽度貧血*⁵　+1
• 末梢血芽球割合 2%以上　+1
• 全身徴候　+1

使用上の注意¹⁾

• 移植年齢の患者 (≦70歳) 向けに開発された.
• *¹ 超予後不良染色体異常：-7､ i(17q)､ inv(3)/3q21､ 12p-/12p11.2､ 11q-/11q23､ +21 の単独ないし複合異常､ あるいは +8/+9 を除く常染色体トリソミー.
• *² 予後良好染色体異常：正常核型､ 13q-､ +9､ 20q-､ 1番染色体転座･重複､ あるいはY染色体欠失を含む性染色体異常.
• *³ 遺伝子変異：ASXL1､ SRSF2､ EZH2､ IDH1､ IDH2､ U2AF1Q157 のいずれかを有する.
• *⁴ 重度貧血：Hb (g/dl) 女性<8､ 男性<9
• *⁵ 軽度貧血：Hb (g/dl) 女性 8~9.9､ 男性 9~10.9

エビデンス

超低~超高リスクの5層に層別化¹⁾²⁾

• 0点：超低リスク (生存期間中央値に未到達)
• 1~2点：低リスク (生存期間中央値 16.4年)
• 3~4点：中間リスク (生存期間中央値 7.7年)
• 5~8点：高リスク (生存期間中央値 4.1年)
• ≧9点：超高リスク (生存期間中央値 1.8年)
• MIPSS70+ version 2.0 が造血幹細胞移植後の長期生存を予測できるとの報告もあり､今後移植適応例にも用いられる可能性がある.

造血器腫瘍診療ガイドライン2023³⁾

PMFのリスク分類としてIPSS､ DIPSS､ DIPSS-PLUSが推奨されている｡

推奨グレード: カテゴリー2A

post PV/post ET-MF のリスク分類としてMYSEC-PMが推奨されている｡

推奨グレード: カテゴリー2B

関連コンテンツ

原発性骨髄線維症 (PMF)

🔢 IPSS for PMF

🔢 DIPSS

🔢 DIPSS-PLUS

🔢 MIPSS-70

🔢 MIPSS-70+version2.0

🔢 MYSEC-PM

参考文献

1. J Clin Oncol. 2018 Jun 10;36(17):1769-1770. PMID: 29708808
2. Blood Cancer Journal volume 8, Article number: 72 (2018)
3. 日本血液学会. 造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版. 金原出版. 2023

最終更新：2023年11月23日

監修医師：東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔