フォン・ヒッペル・リンドウ病 診療の手引き 2024年版
フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL) 病は、 がん抑制遺伝子であるVHL遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とする常染色体顕性遺伝性疾患。 中枢神経系血管芽腫、 網膜血管腫、 腎細胞癌、 褐色細胞腫、 膵神経内分泌腫瘍といった腫瘍が、 若年で多発・再発するのが特徴である。
診断は家族歴と臨床所見に基づく診断基準によって行われる。 患者の予後とQOL向上のためには、 生涯にわたる定期的なサーベイランスによる早期発見と、 適切なタイミングでの治療介入が極めて重要である。 治療は各腫瘍に対する外科的治療や放射線治療が中心であるが、 2025年6月に新たな分子標的薬であるHIF-2阻害薬ベルズチファンが承認され、 治療選択肢が広がっている。
①~②いずれかに該当するものを、 フォン・ヒッペル・リンドウ (VHL) 病と診断する。
以下(a)~(g)いずれか1病変以上を発症
(a) 中枢神経系血管芽腫
(b) 網膜血管腫
(c) 腎細胞癌
(d) 褐色細胞腫/パラガングリオーマ
(e) 膵腫瘍 (膵神経内分泌腫瘍or多発膵嚢胞)
(f) 精巣上体嚢胞腺腫
(g) 内リンパ嚢腫瘍 (内耳)
1~2いずれかを満たすもの
1. (a)~(g)のいずれか2病変以上を発症、 ただし(a)中枢神経系血管芽腫または (b)網膜血管腫いずれかを必ず含む
2. (a)~(g)のいずれか1病変以上を発症し、 かつ、 VHL遺伝子に生殖細胞系列の ヘテロ接合性病的バリアントを認める
*注釈
①および、 ②1.の場合はVHL病の臨床診断基準1,2に合致し、 VHL病との臨床診断に至る。 同症例における遺伝学的検査の必要性については 「遺伝学的検査の適応の項」 を参照 。 VHL 遺伝子に生殖細胞系列のヘテロ接合性病的バリアントを認めるが、 (a)~(g)いずれの病変も認めないものを 「VHL病未発症者」 とする。
1) 令和4年度厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業 「フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上」 研究班. フォン・ヒッペル・リンドウ病 診療の手引き (2024年版)
最終更新 : 2025年7月1日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL) 病は、 がん抑制遺伝子であるVHL遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とする常染色体顕性遺伝性疾患。 中枢神経系血管芽腫、 網膜血管腫、 腎細胞癌、 褐色細胞腫、 膵神経内分泌腫瘍といった腫瘍が、 若年で多発・再発するのが特徴である。
診断は家族歴と臨床所見に基づく診断基準によって行われる。 患者の予後とQOL向上のためには、 生涯にわたる定期的なサーベイランスによる早期発見と、 適切なタイミングでの治療介入が極めて重要である。 治療は各腫瘍に対する外科的治療や放射線治療が中心であるが、 2025年6月に新たな分子標的薬であるHIF-2阻害薬ベルズチファンが承認され、 治療選択肢が広がっている。
①~②いずれかに該当するものを、 フォン・ヒッペル・リンドウ (VHL) 病と診断する。
以下(a)~(g)いずれか1病変以上を発症
(a) 中枢神経系血管芽腫
(b) 網膜血管腫
(c) 腎細胞癌
(d) 褐色細胞腫/パラガングリオーマ
(e) 膵腫瘍 (膵神経内分泌腫瘍or多発膵嚢胞)
(f) 精巣上体嚢胞腺腫
(g) 内リンパ嚢腫瘍 (内耳)
1~2いずれかを満たすもの
1. (a)~(g)のいずれか2病変以上を発症、 ただし(a)中枢神経系血管芽腫または (b)網膜血管腫いずれかを必ず含む
2. (a)~(g)のいずれか1病変以上を発症し、 かつ、 VHL遺伝子に生殖細胞系列の ヘテロ接合性病的バリアントを認める
*注釈
①および、 ②1.の場合はVHL病の臨床診断基準1,2に合致し、 VHL病との臨床診断に至る。 同症例における遺伝学的検査の必要性については 「遺伝学的検査の適応の項」 を参照 。 VHL 遺伝子に生殖細胞系列のヘテロ接合性病的バリアントを認めるが、 (a)~(g)いずれの病変も認めないものを 「VHL病未発症者」 とする。
1) 令和4年度厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業 「フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上」 研究班. フォン・ヒッペル・リンドウ病 診療の手引き (2024年版)
最終更新 : 2025年7月1日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
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