イブルチニブ (イムブルビカ®) +ベネトクラクス (ベネクレクスタ®)
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 420mg 1日1回 | 1~15 | Day 1~ |
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 20mg 1日1回 | 4 | Day 1~7 |
| 50mg 1日1回 | 4 | Day 8~14 |
| 100mg 1日1回 | 4 | Day 15~21 |
| 200mg 1日1回 | 4 | Day 22~28 |
| 400mg 1日1回 | 5~15 | Day 1~ |
イムブルビカ® (イブルチニブ : Ibr)
ベネクレクスタ® (ベネトクラクス : Ven)
【1コース】28日間
【催吐性】Ibr、 Venともに軽度
【FN発症】低リスク*



Ibr : 420mgを1日1回経口投与
Ven : 用量漸増期は20→50→100→200→400mgを各1週ずつ1日1回・食後に内服し、 その後は400mgを1日1回食後に維持投与
Ibrは1日1回で3サイクル (各28日) リードインを行い、 サイクル4からVenを併用。 Venは5週かけて漸増し目標用量に到達後、 Ibr+Ven併用をサイクル4~15の計12サイクル実施。
Lancet Oncol. 2023;24(12):1423-1433.
未治療のCLL/SLL患者211例 (65歳以上、 または18~64歳で併存疾患〔CIRSスコア>6またはCrCl<70 mL/min〕を有する) を対象とした第III相無作為化比較試験。 Ibr+Ven群とchlorambucil (C) +オビヌツズマブ (O) 群に1:1で割り付け、 主要評価項目はPFSが設定された。
【有効性】Ibr+Ven群 (vs C+O群)
- PFS中央値 : 未到達 (vs 21.7ヵ月)
- IGHV非変異例 69.8%
- IGHV変異例 90.0%
- OS中央値 : 両群ともに未到達
- 奏効率 (CR/CRi率) 43% (vs 12%)
【安全性】主な有害事象 : Grade≧3
- 好中球減少症 34.9%
- 下痢 10.4%
- 高血圧 7.5%
- 心房細動 6.6%
- 肺炎 6.6%
- 低ナトリウム血症 5.7%
- 血小板減少症 5.7%
- 無力症 3.8%
- 心不全 3.8%
- 高尿酸血症 3.8%
- 発疹 3.8%
- 貧血 2.8%
- ALT増加 1.9%
- 気管支炎 1.9%
- 急性胆嚢炎 1.9%
- 慢性腎臓病 1.9%
- 発熱性好中球減少症 1.9%
- 血尿 1.9%
- 低カリウム血症 1.9%
- 低リン血症 1.9%
- 感染症 1.9%
- 変形性関節症 1.9%
- 突然死 1.9%
- 失神 1.9%
- 尿路感染症 1.9%
- AST増加 0.9%
GLOW試験⁵⁾の主な適格基準
- 65歳以上、 または18–64歳でCIRSスコア>6もしくはCrCl<70mL/minに該当
- ECOG PS≦2
- 好中球≧750/μL
- 血小板≧5万/μL
- ヘモグロビン>8.0g/dL
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦1.5xULN、 AST/ALT≦3.0xULN

イブルチニブ : 中等度以上の肝機能障害は投与禁忌
イブルチニブ : CrCl>30mL/minでは曝露量に変化はなく、 重度腎障害や透析患者に関するデータは得られていない²⁾
ベネトクラクス : 検討はされていないが、 尿中未変化体排泄率 (推定値) は0.01%未満であり、 減量は不要と考えられる
有害事象が両薬剤に関連する可能性がある場合、 イブルチニブ併用によりベネトクラクスの全身曝露が増加する可能性を考慮し、 ベネトクラクスの用量調整を優先する。
イブルチニブ : Grade≧3のAEが発現した場合は、 Grade≦1に回復するまで休薬し、 再開時は減量または中止を検討する。 GLOW試験⁵⁾のプロトコルでは、 各AEに対する対応が以下のとおり定められていた。

ベネトクラクス :

イブルチニブはBTKの活性部位Cys481と共有結合して持続的に阻害し、 下流シグナルを遮断して悪性B細胞の生存・増殖・接着・ホーミングを抑制する。 ベネトクラクスはBCL2阻害薬であり、 抗アポトーシス作用を阻害して細胞死を誘導する。 両剤は相補的に作用し、 静止期と分裂期の腫瘍細胞をともに標的とすることで相乗効果を示す⁵⁾。
NCCNガイドラインでは、 17p欠失/TP53変異の有無によらず、 CLL/SLL初回治療の推奨レジメンのひとつである。

イブルチニブおよびベネトクラクスは、 いずれもCYP3A4の感受性が高い基質薬であり、 CYP3A4阻害薬との併用により血中濃度が上昇する可能性がある。 両剤の用量調整を行う際は、 CYP3A4阻害薬の一覧を確認すること。
イブルチニブ :
添付文書において、 併用禁忌または減量規定が明記されているCYP3A4阻害薬は以下のとおりである。 これに該当しない中等度または強力なCYP3A4阻害薬との併用時においても、 同様に十分な注意が求められる。

ベネトクラクス :

- 血液検査 (K、 Ca、 P、 尿酸、 Cr) を実施し異常あれば補正を行う
- 事前に高尿酸血症治療薬を投与し、CT等で腫瘍量を低・中・高に判定した上で、腫瘍量に応じた対応を行う。

低腫瘍量または中腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始
- 20mg・50mg投与の前、 6~8時間後、 24時間後、 以降の各増量前に血液検査を実施
高腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始し、 補液 (150~200mL/時) を併用する
- 20mg・50mg投与の前、 4・8・12・24時間後、 以降の各増量前、 投与6~8時間後、 24時間後に血液検査を実施
中腫瘍量かつCrCl<80mL/minの患者では、 20mgおよび50mg初回投与時の検査頻度は高腫瘍量のスケジュールに準じる。
出血 : 手術や侵襲的手技に伴う大量出血の報告があるため、 該当処置を行う際は、 術前後に少なくとも3~7日の休薬を検討する²⁾。
感染症 : 肺炎・敗血症などの重篤な感染症や日和見感染が発現・悪化し、 B型肝炎ウイルス・結核・帯状疱疹が再活性化するおそれがあるため、 投与前に感染の有無を確認し、 投与中は増悪に注意する。
骨髄抑制 : 貧血・好中球減少症・血小板減少症などの重篤な骨髄抑制があらわれるため、 定期的に血液検査を行う。
不整脈 : 重篤な不整脈が発現・悪化することがあるため、 定期的に心電図などの心機能検査を行う。
肝機能障害 : 肝不全やALT・AST・ビリルビン上昇を伴う肝機能障害があらわれるため、 定期的に肝機能検査を行う。
間質性肺疾患 : 間質性肺疾患があらわれることがあるため、 息切れ・呼吸困難・咳嗽・発熱などの症状を注意深く観察する。
🧑⚕️CLL/SLLの未治療例へイブルチニブとベネトクラクスの併用療法が使用可能となりました。アカラブルチニブ+オビヌツズマブ、ベネトクラクス+オビヌツズマブ、ザヌブルチニブなどと、使い分けについて検討していく必要があります。
イブルチニブ :
- 出血
- 骨髄抑制
- 感染症
- 不整脈
- 過敏症
- TLS
- 眼障害
- 肝不全、 肝機能障害
- 間質性肺疾患
- 二次性悪性腫瘍
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
- 肝機能障害患者への使用
ベネトクラクス :
- TLS
- 骨髄抑制
- 感染症
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
1) ヤンセンファーマ株式会社. イムブルビカ®カプセル140mg 電子添文 (2025年11月改訂 第8版)
2) ヤンセンファーマ株式会社. イムブルビカ®カプセル140mg 適正使用ガイド (2025年10月作成 第11版)
3) アッヴィ合同会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 電子添文 (2025年11月改訂 第10版)
4) アッヴィ合同会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 適正使用ガイド (2025年11月作成)
5) Lancet Oncol. 2023;24(12):1423-1433.
最終更新 : 2025年11月25日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 420mg 1日1回 | 1~15 | Day 1~ |
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 20mg 1日1回 | 4 | Day 1~7 |
| 50mg 1日1回 | 4 | Day 8~14 |
| 100mg 1日1回 | 4 | Day 15~21 |
| 200mg 1日1回 | 4 | Day 22~28 |
| 400mg 1日1回 | 5~15 | Day 1~ |
イムブルビカ® (イブルチニブ : Ibr)
ベネクレクスタ® (ベネトクラクス : Ven)
【1コース】28日間
【催吐性】Ibr、 Venともに軽度
【FN発症】低リスク*



Ibr : 420mgを1日1回経口投与
Ven : 用量漸増期は20→50→100→200→400mgを各1週ずつ1日1回・食後に内服し、 その後は400mgを1日1回食後に維持投与
Ibrは1日1回で3サイクル (各28日) リードインを行い、 サイクル4からVenを併用。 Venは5週かけて漸増し目標用量に到達後、 Ibr+Ven併用をサイクル4~15の計12サイクル実施。
Lancet Oncol. 2023;24(12):1423-1433.
未治療のCLL/SLL患者211例 (65歳以上、 または18~64歳で併存疾患〔CIRSスコア>6またはCrCl<70 mL/min〕を有する) を対象とした第III相無作為化比較試験。 Ibr+Ven群とchlorambucil (C) +オビヌツズマブ (O) 群に1:1で割り付け、 主要評価項目はPFSが設定された。
【有効性】Ibr+Ven群 (vs C+O群)
- PFS中央値 : 未到達 (vs 21.7ヵ月)
- IGHV非変異例 69.8%
- IGHV変異例 90.0%
- OS中央値 : 両群ともに未到達
- 奏効率 (CR/CRi率) 43% (vs 12%)
【安全性】主な有害事象 : Grade≧3
- 好中球減少症 34.9%
- 下痢 10.4%
- 高血圧 7.5%
- 心房細動 6.6%
- 肺炎 6.6%
- 低ナトリウム血症 5.7%
- 血小板減少症 5.7%
- 無力症 3.8%
- 心不全 3.8%
- 高尿酸血症 3.8%
- 発疹 3.8%
- 貧血 2.8%
- ALT増加 1.9%
- 気管支炎 1.9%
- 急性胆嚢炎 1.9%
- 慢性腎臓病 1.9%
- 発熱性好中球減少症 1.9%
- 血尿 1.9%
- 低カリウム血症 1.9%
- 低リン血症 1.9%
- 感染症 1.9%
- 変形性関節症 1.9%
- 突然死 1.9%
- 失神 1.9%
- 尿路感染症 1.9%
- AST増加 0.9%
GLOW試験⁵⁾の主な適格基準
- 65歳以上、 または18–64歳でCIRSスコア>6もしくはCrCl<70mL/minに該当
- ECOG PS≦2
- 好中球≧750/μL
- 血小板≧5万/μL
- ヘモグロビン>8.0g/dL
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦1.5xULN、 AST/ALT≦3.0xULN

イブルチニブ : 中等度以上の肝機能障害は投与禁忌
イブルチニブ : CrCl>30mL/minでは曝露量に変化はなく、 重度腎障害や透析患者に関するデータは得られていない²⁾
ベネトクラクス : 検討はされていないが、 尿中未変化体排泄率 (推定値) は0.01%未満であり、 減量は不要と考えられる
有害事象が両薬剤に関連する可能性がある場合、 イブルチニブ併用によりベネトクラクスの全身曝露が増加する可能性を考慮し、 ベネトクラクスの用量調整を優先する。
イブルチニブ : Grade≧3のAEが発現した場合は、 Grade≦1に回復するまで休薬し、 再開時は減量または中止を検討する。 GLOW試験⁵⁾のプロトコルでは、 各AEに対する対応が以下のとおり定められていた。

ベネトクラクス :

イブルチニブはBTKの活性部位Cys481と共有結合して持続的に阻害し、 下流シグナルを遮断して悪性B細胞の生存・増殖・接着・ホーミングを抑制する。 ベネトクラクスはBCL2阻害薬であり、 抗アポトーシス作用を阻害して細胞死を誘導する。 両剤は相補的に作用し、 静止期と分裂期の腫瘍細胞をともに標的とすることで相乗効果を示す⁵⁾。
NCCNガイドラインでは、 17p欠失/TP53変異の有無によらず、 CLL/SLL初回治療の推奨レジメンのひとつである。

イブルチニブおよびベネトクラクスは、 いずれもCYP3A4の感受性が高い基質薬であり、 CYP3A4阻害薬との併用により血中濃度が上昇する可能性がある。 両剤の用量調整を行う際は、 CYP3A4阻害薬の一覧を確認すること。
イブルチニブ :
添付文書において、 併用禁忌または減量規定が明記されているCYP3A4阻害薬は以下のとおりである。 これに該当しない中等度または強力なCYP3A4阻害薬との併用時においても、 同様に十分な注意が求められる。

ベネトクラクス :

- 血液検査 (K、 Ca、 P、 尿酸、 Cr) を実施し異常あれば補正を行う
- 事前に高尿酸血症治療薬を投与し、CT等で腫瘍量を低・中・高に判定した上で、腫瘍量に応じた対応を行う。

低腫瘍量または中腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始
- 20mg・50mg投与の前、 6~8時間後、 24時間後、 以降の各増量前に血液検査を実施
高腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始し、 補液 (150~200mL/時) を併用する
- 20mg・50mg投与の前、 4・8・12・24時間後、 以降の各増量前、 投与6~8時間後、 24時間後に血液検査を実施
中腫瘍量かつCrCl<80mL/minの患者では、 20mgおよび50mg初回投与時の検査頻度は高腫瘍量のスケジュールに準じる。
出血 : 手術や侵襲的手技に伴う大量出血の報告があるため、 該当処置を行う際は、 術前後に少なくとも3~7日の休薬を検討する²⁾。
感染症 : 肺炎・敗血症などの重篤な感染症や日和見感染が発現・悪化し、 B型肝炎ウイルス・結核・帯状疱疹が再活性化するおそれがあるため、 投与前に感染の有無を確認し、 投与中は増悪に注意する。
骨髄抑制 : 貧血・好中球減少症・血小板減少症などの重篤な骨髄抑制があらわれるため、 定期的に血液検査を行う。
不整脈 : 重篤な不整脈が発現・悪化することがあるため、 定期的に心電図などの心機能検査を行う。
肝機能障害 : 肝不全やALT・AST・ビリルビン上昇を伴う肝機能障害があらわれるため、 定期的に肝機能検査を行う。
間質性肺疾患 : 間質性肺疾患があらわれることがあるため、 息切れ・呼吸困難・咳嗽・発熱などの症状を注意深く観察する。
🧑⚕️CLL/SLLの未治療例へイブルチニブとベネトクラクスの併用療法が使用可能となりました。アカラブルチニブ+オビヌツズマブ、ベネトクラクス+オビヌツズマブ、ザヌブルチニブなどと、使い分けについて検討していく必要があります。
イブルチニブ :
- 出血
- 骨髄抑制
- 感染症
- 不整脈
- 過敏症
- TLS
- 眼障害
- 肝不全、 肝機能障害
- 間質性肺疾患
- 二次性悪性腫瘍
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
- 肝機能障害患者への使用
ベネトクラクス :
- TLS
- 骨髄抑制
- 感染症
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
1) ヤンセンファーマ株式会社. イムブルビカ®カプセル140mg 電子添文 (2025年11月改訂 第8版)
2) ヤンセンファーマ株式会社. イムブルビカ®カプセル140mg 適正使用ガイド (2025年10月作成 第11版)
3) アッヴィ合同会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 電子添文 (2025年11月改訂 第10版)
4) アッヴィ合同会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 適正使用ガイド (2025年11月作成)
5) Lancet Oncol. 2023;24(12):1423-1433.
最終更新 : 2025年11月25日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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