治療スケジュール
概要
監修医師

Zanubrutinib:ザヌブルチニブ(ブルキンザ®)

投与量コース投与日
160mg 1日2回 経口1~Day 1~

その他

中程度以上のCYP3A阻害剤を併用する場合は用量調節を要する. 目安は概要欄参照.
他の抗悪性腫瘍薬との併用について有効性及び安全性は確立していない.
有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安は概要欄参照.
手術の前後3-7日間程度は投与中断を考慮.
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2025年3月19日、 「慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む) 」 および 「原発性マクログロブリン血症・リンパ形質細胞リンパ腫」 を適応症として薬価収載され、 同日に発売された。 薬価は80mg 1カプセルあたり6,636.10円 (1日薬価 : 26,544.40円)。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ブルキンザ® (添付文書¹⁾ / 適正使用ガイド²⁾*)

*ビーワン・メディシンズ合同会社の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

ASPEN試験³⁾より引用

ザヌブルチニブ群、 全Grade% (Grade≧3%)

  • 下痢 : 22.8% (3.0%)
  • 上気道感染症 : 32.7% (0.0%)
  • 筋痙攣 : 11.9% (0.0%)
  • 挫傷 (打撲傷) : 18.8% (0.0%)
  • 関節痛 : 23.8% (3.0%)
  • 高血圧 : 14.9% (9.9%)
  • 末梢性浮腫 : 17.8% (0.0%)
  • 鼻出血 : 16.8% (1.0%)
  • 心房細動 : 6.9% (2.0%)
  • 貧血 : 17.8% (11.9%)
  • 咳嗽 : 18.8% (0.0%)
  • 倦怠感 : 25.7% (1.0%)
  • 肺炎 : 5.0% (1.0%)
  • 好中球減少症 : 28.7% (18.8%)
  • 血小板減少症 : 14.9% (9.9%)
  • 失神 : 5.0% (5.0%)
  • 感染症 : 79.2% (21.8%)
  • 出血イベント : 55.4% (8.9%)
  • 二次癌 : 16.8% (5.9%)
  • 二次癌 (非皮膚癌) : 5.9% (4.0%)

レジメンの特徴と注意点

作用機序の特徴

ザヌブルチニブは次世代型の共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 阻害薬である。 B細胞受容体 (BCR) シグナル伝達経路の重要な構成要素であるBTKを選択的かつ不可逆的に阻害し B細胞の増殖と生存を抑制する。 BTKへの選択性が高いとされる。

本レジメンの位置づけ

本剤は 「マクログロブリン血症 (WM) 及びリンパ形質細胞リンパ腫 (LPL) 」 および 「慢性リンパ性白血病 (CLL) /小リンパ球性リンパ腫 (SLL) 」 に適応がある。

ASPEN試験³⁾はWMを対象とし、 イブルチニブに対する有効性・安全性を比較した主要な臨床試験である。 VGPR以上の奏効率でイブルチニブを上回る傾向を示し、 安全性プロファイル (特に心房細動) はイブルチニブより良好であった。

レジメン適用時の注意事項

  • 出血リスクがあるため、 手術前後3-7日間程度は休薬を考慮
  • 中程度以上のCYP3A阻害剤を併用する場合は減量が必要
中程度のCYP3A阻害剤 : 1回80mg 1日2回
強いCYP3A阻害剤 : 1回80mg 1日1回

>> 中程度の・強いCYP3A4阻害薬を確認する

関連する臨床試験の結果

📊 ASPEN試験³⁾

症候性のマクログロブリン血症 (WM) 患者201例 (MYD88変異陽性) を対象とした国際共同第III相非盲検無作為化比較試験。 ザヌブルチニブ群 (102例) とイブルチニブ群 (99例) に1:1の比率で無作為に割り付け、 主要評価項目は完全奏効 (CR) +最良部分奏効 (VGPR) 率が設定された。 

【有効性】 ザヌブルチニブ群

  • CR+VGPR率: 36% [vs イブルチニブ 25%]
  • 全奏効率: 95%
  • PFS中央値: 未達 [HR 0.63 (vs イブルチニブ)]
  • 奏効期間中央値: 未達
  • OS中央値: 未達 [HR 0.75 (vs イブルチニブ)]

各プロトコル

適格基準

ASPEN試験³⁾の主な適格基準

  • 年齢: 18歳以上
  • PS: ECOG PS 0-2
  • 好中球数: ≧750/μL
  • 血小板数: ≧50,000/μL
  • ヘモグロビン値: ≧8.0 g/dL
  • 腎機能: CrCl ≧30 mL/min
  • 肝機能: ビリルビン≦2×基準上限、 AST/ALT≦3x基準上限

減量・休薬・中止基準

休薬基準¹⁾²⁾

・≧Grade3 発熱性好中球減少症
・重大な出血を伴う≧Grade3 血小板減少症
・>10日持続する、 Grade4 好中球減少症
・>10日持続する、 Grade4 血小板減少症
・≧Grade3 非血液毒性

用量レベル¹⁾²⁾

休薬基準に抵触する有害事象が発現した場合は、 ベースラインまたはGrade 1以下に回復するまで休薬し、 回復後は以下の目安を参考に減量のうえ再開する。

出典

  1. ビーワン・メディシンズ合同会社. ブルキンザ®カプセル80mg 電子添文 2025年7月改訂 (第4版). 
  2. ビーワン・メディシンズ合同会社. ブルキンザ®適正使用ガイド. 2025年7月作成. 
  3. J Clin Oncol. 2023;41(33):5099-5106

最終更新 : 2025年7月9日
執筆 : HOKUTO編集部
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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投与量コース投与日
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その他

中程度以上のCYP3A阻害剤を併用する場合は用量調節を要する. 目安は概要欄参照.
他の抗悪性腫瘍薬との併用について有効性及び安全性は確立していない.
有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安は概要欄参照.
手術の前後3-7日間程度は投与中断を考慮.

概要

2025年3月19日、 「慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む) 」 および 「原発性マクログロブリン血症・リンパ形質細胞リンパ腫」 を適応症として薬価収載され、 同日に発売された。 薬価は80mg 1カプセルあたり6,636.10円 (1日薬価 : 26,544.40円)。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ブルキンザ® (添付文書¹⁾ / 適正使用ガイド²⁾*)

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主な有害事象

ASPEN試験³⁾より引用

ザヌブルチニブ群、 全Grade% (Grade≧3%)

  • 下痢 : 22.8% (3.0%)
  • 上気道感染症 : 32.7% (0.0%)
  • 筋痙攣 : 11.9% (0.0%)
  • 挫傷 (打撲傷) : 18.8% (0.0%)
  • 関節痛 : 23.8% (3.0%)
  • 高血圧 : 14.9% (9.9%)
  • 末梢性浮腫 : 17.8% (0.0%)
  • 鼻出血 : 16.8% (1.0%)
  • 心房細動 : 6.9% (2.0%)
  • 貧血 : 17.8% (11.9%)
  • 咳嗽 : 18.8% (0.0%)
  • 倦怠感 : 25.7% (1.0%)
  • 肺炎 : 5.0% (1.0%)
  • 好中球減少症 : 28.7% (18.8%)
  • 血小板減少症 : 14.9% (9.9%)
  • 失神 : 5.0% (5.0%)
  • 感染症 : 79.2% (21.8%)
  • 出血イベント : 55.4% (8.9%)
  • 二次癌 : 16.8% (5.9%)
  • 二次癌 (非皮膚癌) : 5.9% (4.0%)

レジメンの特徴と注意点

作用機序の特徴

ザヌブルチニブは次世代型の共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 阻害薬である。 B細胞受容体 (BCR) シグナル伝達経路の重要な構成要素であるBTKを選択的かつ不可逆的に阻害し B細胞の増殖と生存を抑制する。 BTKへの選択性が高いとされる。

本レジメンの位置づけ

本剤は 「マクログロブリン血症 (WM) 及びリンパ形質細胞リンパ腫 (LPL) 」 および 「慢性リンパ性白血病 (CLL) /小リンパ球性リンパ腫 (SLL) 」 に適応がある。

ASPEN試験³⁾はWMを対象とし、 イブルチニブに対する有効性・安全性を比較した主要な臨床試験である。 VGPR以上の奏効率でイブルチニブを上回る傾向を示し、 安全性プロファイル (特に心房細動) はイブルチニブより良好であった。

レジメン適用時の注意事項

  • 出血リスクがあるため、 手術前後3-7日間程度は休薬を考慮
  • 中程度以上のCYP3A阻害剤を併用する場合は減量が必要
中程度のCYP3A阻害剤 : 1回80mg 1日2回
強いCYP3A阻害剤 : 1回80mg 1日1回

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関連する臨床試験の結果

📊 ASPEN試験³⁾

症候性のマクログロブリン血症 (WM) 患者201例 (MYD88変異陽性) を対象とした国際共同第III相非盲検無作為化比較試験。 ザヌブルチニブ群 (102例) とイブルチニブ群 (99例) に1:1の比率で無作為に割り付け、 主要評価項目は完全奏効 (CR) +最良部分奏効 (VGPR) 率が設定された。 

【有効性】 ザヌブルチニブ群

  • CR+VGPR率: 36% [vs イブルチニブ 25%]
  • 全奏効率: 95%
  • PFS中央値: 未達 [HR 0.63 (vs イブルチニブ)]
  • 奏効期間中央値: 未達
  • OS中央値: 未達 [HR 0.75 (vs イブルチニブ)]

各プロトコル

適格基準

ASPEN試験³⁾の主な適格基準

  • 年齢: 18歳以上
  • PS: ECOG PS 0-2
  • 好中球数: ≧750/μL
  • 血小板数: ≧50,000/μL
  • ヘモグロビン値: ≧8.0 g/dL
  • 腎機能: CrCl ≧30 mL/min
  • 肝機能: ビリルビン≦2×基準上限、 AST/ALT≦3x基準上限

減量・休薬・中止基準

休薬基準¹⁾²⁾

・≧Grade3 発熱性好中球減少症
・重大な出血を伴う≧Grade3 血小板減少症
・>10日持続する、 Grade4 好中球減少症
・>10日持続する、 Grade4 血小板減少症
・≧Grade3 非血液毒性

用量レベル¹⁾²⁾

休薬基準に抵触する有害事象が発現した場合は、 ベースラインまたはGrade 1以下に回復するまで休薬し、 回復後は以下の目安を参考に減量のうえ再開する。

出典

  1. ビーワン・メディシンズ合同会社. ブルキンザ®カプセル80mg 電子添文 2025年7月改訂 (第4版). 
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  3. J Clin Oncol. 2023;41(33):5099-5106

最終更新 : 2025年7月9日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(血液)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。

急性骨髄性白血病
急性前骨髄球性白血病
慢性骨髄性白血病
骨髄増殖性疾患
骨髄異形成症候群
急性リンパ性白血病
慢性リンパ性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
自家移植
同種移植
非腫瘍性疾患
CAR-T
急性前骨髄球性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
再発難治性
DPd
ダラツムマブ、ポマリドミド、デキサメタゾン
DCd(DKd)
ダラツムマブ、 カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
DBd(DVd)
ダラツムマブ、 ボルテゾミブ、 デキサメタゾン
ISA-Pd
イサツキシマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ISA-Kd
イサツキシマブ、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン
ISA-d/ISA monotherapy
イサツキシマブ ± デキサメタゾン
KRd
カルフィルゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
weekly Kd(wKd)70mg/m²
週1回高用量カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
Kd (Cd) 56mg/m²
カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
ERd(ELd)
エロツズマブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
EPd
エロツズマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ILd(IRd)
イキサゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
Pd
ポマリドミド、 デキサメタゾン
PBd(PVd)
ポマリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン
BelaVd
ベランタマブ マホドチン+ボルテゾミブ+デキサメタゾン
BelaPd
ベランタマブ マホドチン+ポマリドミド+デキサメタゾン
Elranatamab
エルラナタマブ(エルレフィオ®)
Teclistamab
テクリスタマブ (テクベイリ®)
Talquetamab
トアルクエタマブ (タービー®)
Ide-cel(Idecabtagene vicleucel)
イデカブタゲン ビクルユーセル(アベクマ®)
Cilta-cel(Ciltacabtagene autoleucel)
シルタカブタゲン オートルユーセル(カービクティ®)
DCEP
デキサメタゾン+シクロホスファミド+エトポシド+シスプラチン
VTD-PACE
ボルテゾミブ、 サリドマイド、 デキサメタゾン、 シスプラチン、 アドリアマイシン、 シクロホスファミド、 エトポシド
非腫瘍性疾患
血栓性血小板減少性紫斑病

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