治療スケジュール
概要
監修医師

Acalabrutinib:アカラブルチニブ(カルケンス®)

投与量コース投与日
100mg 経口1~day1~

その他

CYP3Aにより代謝される. またpHの上昇により溶解性が低下するため、 併用薬との相互作用に注意する.
他の抗悪性腫瘍薬との併用について、 有効性及び安全性は確立していない.
有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安は概要欄参照.
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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「アストラゼネカ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

ASCEND試験¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 11.7%).
  • 好中球減少症 (≧Grade3 15.6%).
  • 血小板減少症 (≧Grade3 3.9%).

主な有害事象

  • 出血関連事象 (26.0%、 ≧Grade3 1.9%).
  • 感染症関連事象 (56.5%、 ≧Grade3 14.9%).
  • 二次性悪性腫瘍 (11.7%、 ≧Grade3 3.9%).

その他重要な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (0.6%、 ≧Grade3 0.6%).
  • 不整脈 (7.8%、 ≧Grade3 1.9%).
  • 虚血性心疾患 (0.6%、 ≧Grade3 0.6%).
  • 間質性肺炎 (1.9%、 ≧Grade3 1.3%).

特徴と注意点

適応

  • 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫含む) .

特徴

  • ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬 (BTK阻害薬).
  • KINOMEscanによるキナーゼ阻害プロファイリングの結果、 イブルチニブよりもBTKに対する選択的な阻害作用を示した.²⁾
  • 既治療高リスク (17p欠失又は11q欠失) CLLに対してイブルチニブにPFSで非劣性. 心房細動発現率は有意に減少.³⁾
  • イブルチニブ不耐容もしくは病勢進行した症例にも効果が期待できる.
  • 手術や侵襲的手技を実施する場合は少なくとも前後3日間は休薬を考慮.
  • オレンジジュースやグレープフルーツジュースととともに服用すると血中濃度が低下する可能性あり.

有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安

関連する臨床試験の結果

IR群: Idelalisib+Rituximab群、 BR群: Bendamustin+Rituximab群、 PFS: Progression Free Survival (無増悪生存) 、 ORR: Overall Response Rate (全奏効率) 、 OS: Overall Survival (全生存) 、 TTNT: Time To Next Treatment (次治療開始までの期間) . 

ASCEND試験¹⁾

概要

  • 対象:再発又は難治性CLL患者.
  • アカラブルチニブ単剤療法の有効性を、 IR群もしくはBR群を対象群として検討した海外第III相試験 .

結果

  • PFS:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 16.5ヵ月 (HR 0.31、 95%CI 0.20-0.49、 p<0.0001) .
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • PFS:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR群 15.8ヵ月 vs BR群 16.9ヵ月 (HR 0.29、 95%CI 0.18-0.46、 p<0.0001 / HR 0.36、 95%CI 0.19-0.69、 p<0.0001) . 
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • ORR:アカラブルチニブ群 81.3% vs IR/BR群 75.5% (群間差 5.8、 95%CI -3.3-14.9、 p=0.2248) .
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • OS中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 未到達 (HR 0.84、 95%CI 0.42-1.66、 p=0.6089) .
  • TTNT中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 未到達 (HR 0.35) .

ELEVATE-RR試験 (ACE-CL-006試験)³⁾

概要

  • 対象:高リスク (17p欠失又は11q欠失) の再発又は難治性CLL患者.
  • アカラブルチニブのイブルチニブに対する非劣性を検証した無作為化多施設第III相試験.

結果

  • 追跡期間中央値:40.9ヵ月.
  • PFS中央値:アカラブルチニブ群 16.5ヵ月 vs イブルチニブ群 16.5ヵ月 (HR 1.00、 95%CI 0.79-1.27).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • OS中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs イブルチニブ群 未到達 (HR 0.82、 95%CI 0.59-1.15).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • 心房細動発生率 :アカラブルチニブ群 9.4% vs イブルチニブ群 16.0% (HR 0.52、 95%CI 0.32-0.86、 p=0.023).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • 高血圧発生率:アカラブルチニブ群 9.4% vs イブルチニブ群 23.2% (HR 0.34、 95%CI 0.21-0.54).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用

ACE-CL-208試験⁴⁾

概要

  • 対象:イブルチニ不耐容かつ病勢進行を認めた再発又は難治性CLL患者.
  • 多施設シングルアーム第II相試験.

結果

  • ORR (≧PR):73% (95%CI 60-84%).
  • ORR with del(17p) (≧PR):71% (95%CI 44-90%).

多施設第I/II相試験⁵⁾ 

概要

  • 対象:イブルチニ不耐容のCLL又はSLL患者.
  • 多施設シングルアーム第I/II相試験 .

結果

  • ORR (≧PR):60.6% (95%CI 42.1-77.1%).

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.
  2. J Pharmacol Exp Ther. 2017 Nov;363(2):240-252.
  3. J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.
  4. Haematologica. 2021 Sep 1;106(9):2364-2373. 
  5. Blood Adv. 2019 May 14;3(9):1553-1562. 

最終更新:2022年5月31日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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その他

CYP3Aにより代謝される. またpHの上昇により溶解性が低下するため、 併用薬との相互作用に注意する.
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有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安は概要欄参照.

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主な有害事象

ASCEND試験¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 11.7%).
  • 好中球減少症 (≧Grade3 15.6%).
  • 血小板減少症 (≧Grade3 3.9%).

主な有害事象

  • 出血関連事象 (26.0%、 ≧Grade3 1.9%).
  • 感染症関連事象 (56.5%、 ≧Grade3 14.9%).
  • 二次性悪性腫瘍 (11.7%、 ≧Grade3 3.9%).

その他重要な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (0.6%、 ≧Grade3 0.6%).
  • 不整脈 (7.8%、 ≧Grade3 1.9%).
  • 虚血性心疾患 (0.6%、 ≧Grade3 0.6%).
  • 間質性肺炎 (1.9%、 ≧Grade3 1.3%).

特徴と注意点

適応

  • 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫含む) .

特徴

  • ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬 (BTK阻害薬).
  • KINOMEscanによるキナーゼ阻害プロファイリングの結果、 イブルチニブよりもBTKに対する選択的な阻害作用を示した.²⁾
  • 既治療高リスク (17p欠失又は11q欠失) CLLに対してイブルチニブにPFSで非劣性. 心房細動発現率は有意に減少.³⁾
  • イブルチニブ不耐容もしくは病勢進行した症例にも効果が期待できる.
  • 手術や侵襲的手技を実施する場合は少なくとも前後3日間は休薬を考慮.
  • オレンジジュースやグレープフルーツジュースととともに服用すると血中濃度が低下する可能性あり.

有害事象発現時の休薬基準と投与量調節の目安

関連する臨床試験の結果

IR群: Idelalisib+Rituximab群、 BR群: Bendamustin+Rituximab群、 PFS: Progression Free Survival (無増悪生存) 、 ORR: Overall Response Rate (全奏効率) 、 OS: Overall Survival (全生存) 、 TTNT: Time To Next Treatment (次治療開始までの期間) . 

ASCEND試験¹⁾

概要

  • 対象:再発又は難治性CLL患者.
  • アカラブルチニブ単剤療法の有効性を、 IR群もしくはBR群を対象群として検討した海外第III相試験 .

結果

  • PFS:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 16.5ヵ月 (HR 0.31、 95%CI 0.20-0.49、 p<0.0001) .
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • PFS:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR群 15.8ヵ月 vs BR群 16.9ヵ月 (HR 0.29、 95%CI 0.18-0.46、 p<0.0001 / HR 0.36、 95%CI 0.19-0.69、 p<0.0001) . 
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • ORR:アカラブルチニブ群 81.3% vs IR/BR群 75.5% (群間差 5.8、 95%CI -3.3-14.9、 p=0.2248) .
J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.より引用
  • OS中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 未到達 (HR 0.84、 95%CI 0.42-1.66、 p=0.6089) .
  • TTNT中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs IR/BR群 未到達 (HR 0.35) .

ELEVATE-RR試験 (ACE-CL-006試験)³⁾

概要

  • 対象:高リスク (17p欠失又は11q欠失) の再発又は難治性CLL患者.
  • アカラブルチニブのイブルチニブに対する非劣性を検証した無作為化多施設第III相試験.

結果

  • 追跡期間中央値:40.9ヵ月.
  • PFS中央値:アカラブルチニブ群 16.5ヵ月 vs イブルチニブ群 16.5ヵ月 (HR 1.00、 95%CI 0.79-1.27).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • OS中央値:アカラブルチニブ群 未到達 vs イブルチニブ群 未到達 (HR 0.82、 95%CI 0.59-1.15).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • 心房細動発生率 :アカラブルチニブ群 9.4% vs イブルチニブ群 16.0% (HR 0.52、 95%CI 0.32-0.86、 p=0.023).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用
  • 高血圧発生率:アカラブルチニブ群 9.4% vs イブルチニブ群 23.2% (HR 0.34、 95%CI 0.21-0.54).
J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.より引用

ACE-CL-208試験⁴⁾

概要

  • 対象:イブルチニ不耐容かつ病勢進行を認めた再発又は難治性CLL患者.
  • 多施設シングルアーム第II相試験.

結果

  • ORR (≧PR):73% (95%CI 60-84%).
  • ORR with del(17p) (≧PR):71% (95%CI 44-90%).

多施設第I/II相試験⁵⁾ 

概要

  • 対象:イブルチニ不耐容のCLL又はSLL患者.
  • 多施設シングルアーム第I/II相試験 .

結果

  • ORR (≧PR):60.6% (95%CI 42.1-77.1%).

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2020 Sep 1;38(25):2849-2861.
  2. J Pharmacol Exp Ther. 2017 Nov;363(2):240-252.
  3. J Clin Oncol. 2021 Nov 1;39(31):3441-3452.
  4. Haematologica. 2021 Sep 1;106(9):2364-2373. 
  5. Blood Adv. 2019 May 14;3(9):1553-1562. 

最終更新:2022年5月31日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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