ベネトクラクス (ベネクレクスタ®)+オビヌツズマブ (ガザイバ®)
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 20mg 1日1回 内服 | 1 | Day 22~28 |
| 50mg 1日1回 内服 | 2 | Day 1~7 |
| 100mg 1日1回 内服 | 2 | Day 8~14 |
| 200mg 1日1回 内服 | 2 | Day 15~21 |
| 400mg 1日1回 内服 | 2 | Day 22~28 |
| 400mg 1日1回 内服 | 3~12 | Day 1~28 |
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 100mg 点滴静注 | 1 | Day 1 |
| 900mg 点滴静注 | 1 | Day 2 |
| 1000mg 点滴静注 | 1 | Day 8、15 |
| 1000mg 点滴静注 | 2-6 | Day 1 |
| オビヌツズマブによるinfusion reactionを軽減するため、投与30分~1時間前に抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛薬を前投与する。ステロイドの前投与も考慮する。 |
ベネクレクスタ® (ベネトクラクス : Ven)
ガザイバ® (オビヌツズマブ : Obi)
【1コース】28日間
【催吐性】 Ven : 軽度、 Obi : 最小度
【FN発症】低リスク*




Ven : 1コース22日目から5週間の用量漸増を開始し、 2コース28日目に漸増を完了した後、 3コース1日目から12コース最終日まで28日ごとに投与²⁾
Obi : 1コースでは1日目100mg、 2日目900mg、 8日目と15日目に各1000mgを投与し、 2コース以降は各コース1日目に1000mgを投与して、 28日ごとに計6サイクル投与²⁾
Obi投与の30分~1時間前に抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛薬を前投与する。 また、 ステロイドの前投与を考慮する。 さらに、 infusion reaction予防のため下表に従って投与速度を管理する。

Blood. 2024;144(18):1924-1935.
治療歴のない併存疾患ありのCLL患者432例を対象とした第III相無作為化比較試験で、 Ven+Obi群216例とchlorambucil (Clb) +Obi群216例を1:1で割り付け、 主要評価項目はPFSとした。
【有効性】Ven+Obi群 (vs Clb+Obi群)
- PFS中央値 76.2ヵ月 ( vs 36.4ヵ月)
- TTNT中央値 未到達 ( vs 52.9ヵ月)
- 6年OS率 78.7% ( vs 69.2%)
- MRD陰性率 76% ( vs 35%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 好中球減少 58% (52%)
- Infusion reaction 45% (9%)
- 血小板減少 24% (14%)
- 下痢 27% (4%)
- 悪心 18% (0%)
- 貧血 17% (8%)
- 発熱 18% (1%)
- 倦怠感 15% (0%)
- 咳嗽 16% (0%)
- 便秘 13% (0%)
- 頭痛 11% (0.5%)
- AST上昇 6% (2%)
- 無力症 7% (2%)
- 肺炎 9% (6%)
- ALT上昇 5% (2%)
- 高血圧 7% (3%)
- 高血糖 8% (4%)
- 呼吸困難 6% (2%)
- 発熱性好中球減少症 6% (5%)
- 低血圧 5% (1%)
- 高尿酸血症 4% (1%)
- 基底細胞癌 4% (1%)
- 敗血症 4% (4%)
- 失神 3% (2%)
- めまい 3% (1%)
- 心房細動 3% (2%)
- 腫瘍崩壊症候群 1% (0.5%)
- 心不全 2% (2%)
- サイトカイン放出症候群 2% (1%)
- 心筋梗塞 0.5% (0.5%)
- 急性心筋梗塞 1% (1%)
CLL14試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- CIRSスコア>6もしくはCrCl<70mL/min
- 好中球≧1000/μL
- 血小板≧3万/μL
- ヘモグロビン>9g/dL
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦2xULN、 AST/ALT≦2xULN
CLL14試験³⁾では、 Obiの減量は認められていない。

Ven : 検討はされていないが、 尿中未変化体排泄率 (推定値) は0.01%未満であり、 減量は不要と考えられる
Obi : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
ベネトクラクス :

オビヌツズマブ : Infusion reaction発現時の処置および再開時の投与速度は以下のとおり。

ベネトクラクスはBCL2阻害薬であり、 BCL2の抗アポトーシス作用を抑えて細胞死を誘導する。 オビヌツズマブはヒト化抗CD20抗体であり、 CD20に結合してADCCおよびADCPを介し腫瘍増殖を抑制する。 両剤の併用により、 迅速な寛解と高いMRD陰性率が得られ、 一定期間で治療を終了しつつ長期の無治療寛解を維持できる利点がある³⁾。
NCCNガイドラインでは、 17p欠失/TP53変異の有無によらず、 CLL/SLL初回治療の推奨レジメンのひとつである。

ベネトクラクスはCYP3A4の感受性が高い基質であり、 CYP3A4阻害薬との併用で血中濃度が上昇する可能性があるため、 阻害薬の一覧を確認し用量調整を行うこと。

- 血液検査 (K、 Ca、 P、 尿酸、 Cr) を実施し異常あれば補正を行う
- 事前に高尿酸血症治療薬を投与し、CT等で腫瘍量を低・中・高に判定した上で、腫瘍量に応じた対応を行う。

低腫瘍量または中腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始
- 20mg・50mg投与の前、 6~8時間後、 24時間後、 以降の各増量前に血液検査を実施
高腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始し、 補液 (150~200mL/時) を併用する
- 20mg・50mg投与の前、 4・8・12・24時間後、 以降の各増量前、 投与6~8時間後、 24時間後に血液検査を実施
中腫瘍量かつCrCl<80mL/minの患者では、 20mgおよび50mg初回投与時の検査頻度は高腫瘍量のスケジュールに準じる。 なお、 ベネクレクスタ®適正使用ガイド²⁾では、 オビヌツズマブ併用の高腫瘍量において、 20mgおよび50mgの各初回投与時は入院下で約2~3L/日を目標に、 必要に応じて静脈内の水分補給を行うよう記載されている。
B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が報告されており、 投与前に感染の有無を確認し必要な処置を行う。
また、 好中球減少・発熱性好中球減少・白血球減少・血小板減少が生じ得るため、 治療前後を通じて定期的に血液検査を実施する。 必要に応じてG-CSF製剤の使用も考慮する。
ベネトクラクス :
- TLS
- 骨髄抑制
- 感染症
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
オビヌツズマブ :
- Infusion reaction
- TLS
- 血小板減少
- 好中球減少、 白血球減少
- 感染症
- B型肝炎ウイルスの再活性化
- 進行性多巣性白質脳症
- 心障害
- 消化管穿孔
- 間質性肺疾患
1) アッヴィ合同株式会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 電子添文 (2025年11月改訂 第10版)
2) アッヴィ合同株式会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 適正使用ガイド (2025年11月作成)
3) Blood. 2024;144(18):1924-1935.
最終更新 : 2025年11月26日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 20mg 1日1回 内服 | 1 | Day 22~28 |
| 50mg 1日1回 内服 | 2 | Day 1~7 |
| 100mg 1日1回 内服 | 2 | Day 8~14 |
| 200mg 1日1回 内服 | 2 | Day 15~21 |
| 400mg 1日1回 内服 | 2 | Day 22~28 |
| 400mg 1日1回 内服 | 3~12 | Day 1~28 |
| 投与量 | コース | 投与日 |
|---|---|---|
| 100mg 点滴静注 | 1 | Day 1 |
| 900mg 点滴静注 | 1 | Day 2 |
| 1000mg 点滴静注 | 1 | Day 8、15 |
| 1000mg 点滴静注 | 2-6 | Day 1 |
| オビヌツズマブによるinfusion reactionを軽減するため、投与30分~1時間前に抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛薬を前投与する。ステロイドの前投与も考慮する。 |
ベネクレクスタ® (ベネトクラクス : Ven)
ガザイバ® (オビヌツズマブ : Obi)
【1コース】28日間
【催吐性】 Ven : 軽度、 Obi : 最小度
【FN発症】低リスク*




Ven : 1コース22日目から5週間の用量漸増を開始し、 2コース28日目に漸増を完了した後、 3コース1日目から12コース最終日まで28日ごとに投与²⁾
Obi : 1コースでは1日目100mg、 2日目900mg、 8日目と15日目に各1000mgを投与し、 2コース以降は各コース1日目に1000mgを投与して、 28日ごとに計6サイクル投与²⁾
Obi投与の30分~1時間前に抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛薬を前投与する。 また、 ステロイドの前投与を考慮する。 さらに、 infusion reaction予防のため下表に従って投与速度を管理する。

Blood. 2024;144(18):1924-1935.
治療歴のない併存疾患ありのCLL患者432例を対象とした第III相無作為化比較試験で、 Ven+Obi群216例とchlorambucil (Clb) +Obi群216例を1:1で割り付け、 主要評価項目はPFSとした。
【有効性】Ven+Obi群 (vs Clb+Obi群)
- PFS中央値 76.2ヵ月 ( vs 36.4ヵ月)
- TTNT中央値 未到達 ( vs 52.9ヵ月)
- 6年OS率 78.7% ( vs 69.2%)
- MRD陰性率 76% ( vs 35%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 好中球減少 58% (52%)
- Infusion reaction 45% (9%)
- 血小板減少 24% (14%)
- 下痢 27% (4%)
- 悪心 18% (0%)
- 貧血 17% (8%)
- 発熱 18% (1%)
- 倦怠感 15% (0%)
- 咳嗽 16% (0%)
- 便秘 13% (0%)
- 頭痛 11% (0.5%)
- AST上昇 6% (2%)
- 無力症 7% (2%)
- 肺炎 9% (6%)
- ALT上昇 5% (2%)
- 高血圧 7% (3%)
- 高血糖 8% (4%)
- 呼吸困難 6% (2%)
- 発熱性好中球減少症 6% (5%)
- 低血圧 5% (1%)
- 高尿酸血症 4% (1%)
- 基底細胞癌 4% (1%)
- 敗血症 4% (4%)
- 失神 3% (2%)
- めまい 3% (1%)
- 心房細動 3% (2%)
- 腫瘍崩壊症候群 1% (0.5%)
- 心不全 2% (2%)
- サイトカイン放出症候群 2% (1%)
- 心筋梗塞 0.5% (0.5%)
- 急性心筋梗塞 1% (1%)
CLL14試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- CIRSスコア>6もしくはCrCl<70mL/min
- 好中球≧1000/μL
- 血小板≧3万/μL
- ヘモグロビン>9g/dL
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦2xULN、 AST/ALT≦2xULN
CLL14試験³⁾では、 Obiの減量は認められていない。

Ven : 検討はされていないが、 尿中未変化体排泄率 (推定値) は0.01%未満であり、 減量は不要と考えられる
Obi : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
ベネトクラクス :

オビヌツズマブ : Infusion reaction発現時の処置および再開時の投与速度は以下のとおり。

ベネトクラクスはBCL2阻害薬であり、 BCL2の抗アポトーシス作用を抑えて細胞死を誘導する。 オビヌツズマブはヒト化抗CD20抗体であり、 CD20に結合してADCCおよびADCPを介し腫瘍増殖を抑制する。 両剤の併用により、 迅速な寛解と高いMRD陰性率が得られ、 一定期間で治療を終了しつつ長期の無治療寛解を維持できる利点がある³⁾。
NCCNガイドラインでは、 17p欠失/TP53変異の有無によらず、 CLL/SLL初回治療の推奨レジメンのひとつである。

ベネトクラクスはCYP3A4の感受性が高い基質であり、 CYP3A4阻害薬との併用で血中濃度が上昇する可能性があるため、 阻害薬の一覧を確認し用量調整を行うこと。

- 血液検査 (K、 Ca、 P、 尿酸、 Cr) を実施し異常あれば補正を行う
- 事前に高尿酸血症治療薬を投与し、CT等で腫瘍量を低・中・高に判定した上で、腫瘍量に応じた対応を行う。

低腫瘍量または中腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始
- 20mg・50mg投与の前、 6~8時間後、 24時間後、 以降の各増量前に血液検査を実施
高腫瘍量の患者対応 :
- 治療2日前から経口補水 (1.5~2L/日) を開始し、 補液 (150~200mL/時) を併用する
- 20mg・50mg投与の前、 4・8・12・24時間後、 以降の各増量前、 投与6~8時間後、 24時間後に血液検査を実施
中腫瘍量かつCrCl<80mL/minの患者では、 20mgおよび50mg初回投与時の検査頻度は高腫瘍量のスケジュールに準じる。 なお、 ベネクレクスタ®適正使用ガイド²⁾では、 オビヌツズマブ併用の高腫瘍量において、 20mgおよび50mgの各初回投与時は入院下で約2~3L/日を目標に、 必要に応じて静脈内の水分補給を行うよう記載されている。
B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎が報告されており、 投与前に感染の有無を確認し必要な処置を行う。
また、 好中球減少・発熱性好中球減少・白血球減少・血小板減少が生じ得るため、 治療前後を通じて定期的に血液検査を実施する。 必要に応じてG-CSF製剤の使用も考慮する。
ベネトクラクス :
- TLS
- 骨髄抑制
- 感染症
- CYP3A阻害剤との薬物相互作用
オビヌツズマブ :
- Infusion reaction
- TLS
- 血小板減少
- 好中球減少、 白血球減少
- 感染症
- B型肝炎ウイルスの再活性化
- 進行性多巣性白質脳症
- 心障害
- 消化管穿孔
- 間質性肺疾患
1) アッヴィ合同株式会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 電子添文 (2025年11月改訂 第10版)
2) アッヴィ合同株式会社. ベネクレクスタ®錠10mg/50mg/100mg 適正使用ガイド (2025年11月作成)
3) Blood. 2024;144(18):1924-1935.
最終更新 : 2025年11月26日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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