治療スケジュール
概要
監修医師

Iptacopan:イプタコパン(ファビハルタ®)

投与量コース投与日
1回200mg 1日2回 経口1~Day 1~

前投薬

本剤開始2週間前までに、 髄膜炎菌、 肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンを接種 (未接種又は追加接種が必要な場合).
ワクチン接種から2週間以内に本剤の投与を開始する場合は、 ワクチン接種の2週間後まで抗菌薬の予防投与を行う.

その他

本剤は補体 (C5) 阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に投与する.
Eculizumab (ソリリス®) からの切り替え:Eculizumab最終投与から1週間後に本剤を開始.
Ravulizumab (ユルトミリス®) からの切り替え:Ravulizumab最終投与6週間後に本剤を開始.
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2024年8月15日、 「発作性夜間ヘモグロビン尿症」 に対して薬価収載 (200mg1カプセル 7万3218.10円 / 1日 14万6436.20円)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ファビハルタ® (添付文書/適正使用ガイド*)

*「ノバルティスファーマ株式会社 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

インタビューフォーム¹⁾ APPLY-PNH試験 イプタコパン群 62 例の有害事象*より引用.

* 「発現率5%以上の有害事象」 の項から抜粋.

主な有害事象

  • COVID-19 (29.0%)
  • 頭痛 (19.4%)
  • 下痢 (16.1%)
  • 上咽頭炎 (14.5%)
  • 悪心 (12.9%)
  • 関節痛 (11.3%)
  • 尿路感染 (11.3%)
  • ブレイクスルー溶血 (9.7%)
  • 血中LDH増加 (9.7%)
  • 腹痛 (8.1%)
  • 高血圧 (6.5%)
  • 発熱 (6.5%)
  • 浮動性めまい (6.5%)
  • 不眠症 (6.5%)

特徴と注意点

発作性夜間血色素尿症 (PNH)

  • 本剤は、 補体第二経路を選択的に阻害する低分子補体B因子阻害剤. 
  • PNH型赤血球に対してMAC形成阻害、 オプソニン化阻害により血管内溶血及び血管外溶血の両方を抑制し、 標準治療後に残存するPNHの主要な症状を改善する.
  • 補体C5阻害剤ではコントロールが不十分な症例に対し、 本剤を経口単剤で用いる.
*臨床試験のC5阻害剤はエクリズマブ又はラブリズマブ
  • 本剤は、 補体介在性の感染防御機能の一部を阻害すると考えられるため、 莢膜形成細菌 (髄膜炎菌、 肺炎球菌及びインフルエンザ菌等) に対して感染リスクが増大する可能性がある. これらの細菌に対するワクチンの接種歴を確認し、 接種が確認できない又は追加接種が必要な場合はワクチン接種を行う.
  • 本剤投与により、 脂質異常症 (総コレステロール、 LDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等) が発現する可能性があるため、 定期的に血液検査を実施し、 異常が認められた場合には必要に応じて標準的な治療を行う.
  • 下記の患者には投与時留意すること.
  1. 髄膜炎菌感染症の既往のある患者
  2. 感染症の患者又は感染症が疑われる患者
  3. 重度の腎機能障害 (eGFRが30mL/min/1.73m²未満) のある患者
  4. 肝機能障害のある患者
  5. 妊婦*、 授乳婦
  6. 小児等
1)、 2) 感染リスク増加 3)、 4) 本剤の血中濃度上昇リスク
5) *動物実験で胚毒性あり、 有益投与のみ 6) 臨床試験なし

莢膜形成細菌による感染症の予防

  • 緊急治療を要する場合等を除き、 原則、 本剤投与開始の少なくとも2週間前までに下記のワクチンを接種.
  • ワクチン接種から2週間以内に本剤を開始する場合は、 ワクチン接種2週間後まで抗菌薬の予防投与を行う.

髄膜炎菌ワクチン²⁾

  • A、 C、 W-135及びY型に対するワクチンを接種. B型については入手可能な場合は検討してもよい.
本邦ではA、 C、 W-135及びY型に対するワクチンのみ保険適用 (メンクアッドフィ®筋注)
  • 髄膜炎菌ワクチンは5年ごとを目安に追加接種することを推奨. 必要な抗体価については諸説あり、 現時点では確立されていない.
  • 過去5年以内に髄膜炎菌ワクチンを接種していない場合で、 無脾症 (脾摘含む)、 持続性補体欠損症、 HIV感染等を有する患者では0.5mLを2回接種する (2回目は初回から8週以上あけて接種).

肺炎球菌ワクチン³⁾⁴⁾

インフルエンザ菌b型ワクチン

本剤を中止する場合

  • 本剤の中止により重篤な溶血が発現するおそれがあるため、 中止する場合は代替療法を考慮する.
  • 本剤の最終投与から最低2週間は溶血及び付随する症状を注意深く観察し、 必要に応じて適切な処置を行う.

関連する臨床試験の結果

APPLY-PNH試験¹⁾⁵⁾⁶⁾

概要

  • 国際共同第Ⅲ相試験
  • 対象 : 補体C5阻害剤投与下にあるHb値10 g/dL未満のPNH患者
  • 方法 : イプタコパン切替え群 (200mg 1日2回) と補体C5阻害剤継続群に無作為に8:5で割り付け*
*イプタコパン群 : 62例 (日本人6例) 補体C5阻害剤群 : 35例 (日本人3例)
  • 期間 : スクリーニング期 (最長8週間)、 主要評価期 (24週間)、 継続投与期 (24週間) の3期で構成
  • 主要評価項目 : 主要評価期において、 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇及び輸血なしでHb値12g/dL以上

結果

  • 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇 : イプタコパン群 82.3% vs 補体C5阻害剤群 0%
  • 奏効割合の推定群間差は80.2% [95%CI : 71.2,87.6] であり、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された (P<0.0001).
  • 輸血なしでHb値12g/dL以上 : イプタコパン群 67.7% vs 補体C5阻害剤群 0%
  • 奏効割合の推定群間差は67.0% [95%CI : 56.4,76.9] であり、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された (P<0.0001).
  • 輸血回避、 Hb値のベースラインからの変化量、 網状赤血球数のベースラインからの変化量、 FACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量についても、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された.
  • LDH 値の対ベースライン比については、 イプタコパン群の優越性は示されなかった.
  • イプタコパン群62 例における重篤な有害事象は、 9例 (14.5%) に発現した. 内訳は、 COVID-19、 蜂巣炎、 腎盂腎炎、 敗血症性ショック、 シュードモナス性尿路感染、 基底細胞癌、 骨髄異形成症候群、 一過性脳虚血発作、 横紋筋融解症、 洞結節機能不全及び卵巣嚢胞各1例 (1.6%) であった.
  • 莢膜形成細菌による感染症は、 イプタコパン群で4例、 全体で6例に発現した.
  • 投与中止及び死亡に至った有害事象は、 イプタコパン群及び全体のいずれにも報告されなかった.
  • イプタコパン群は48週後においても、 Hb増加の維持、 平均正常/正常に近いHbレベル、 輸血回避、 疲労の減少等、 複数の血液学的及び臨床転帰について持続的な改善を示した⁶⁾ .

APPOINT-PNH試験¹⁾⁵⁾

概要

  • 国際共同第Ⅲ相試験
  • 対象 : 補体阻害剤による治療歴がないHb値10 g/dL未満のPNH患者*
*対象患者40例 (日本人0例)
  • 方法 : 24週間のイプタコパン単剤療法 (200mg 1日2回)
  • 主要評価項目 : 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇

結果

  • 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇 : 31/33例で達成
  • 発現率10%以上の有害事象は、 頭痛12例 (30.0%)、 COVID-19 9例 (22.5%)、 上気道感染7 例 (17.5%)、 下痢6例 (15.0%) であった.
  • 重篤な有害事象の発現率は20.0% (8/40 例) であった. 2例以上に発現した事象はCOVID-19 (2例) であった. その他、 ブレイクスルー溶血 (COVID-19と同一患者に発現)、 細菌性肺炎、 2型糖尿病、 白内障、 肺炎、 悪性黒色腫及び感染が各1例に発現した.
  • 投与中止及び死亡に至った有害事象は報告されなかった.
  • 莢膜形成細菌による感染症は、 2例に細菌性肺炎及びブドウ球菌皮膚感染が発現した. 細菌性肺炎は重篤かつ高度で治験薬との関連なし、 ブドウ球菌皮膚感染は非重篤かつ中等度で治験薬との関連ありと判断された.
  • イプタコパンによって、 Hbレベルが増加し、 疲労が軽減され、 網赤血球とビリルビンレベルが減少し、 平均LDHレベルが正常上限の1.5倍未満となった.
  • イプタコパンで最も頻繁に発生した有害事象は頭痛であった.

参考文献

  1. ファビハルタⓇインタビューフォーム
  2. 医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版
  3. 6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第2版
  4. 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第4版
  5. N Engl J Med. 2024 Mar 14;390(11):994-1008. 
  6. Blood (2023) 142 (Supplement 1): 571.

最終更新:2024年11月14日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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投与量コース投与日
1回200mg 1日2回 経口1~Day 1~

前投薬

本剤開始2週間前までに、 髄膜炎菌、 肺炎球菌及びインフルエンザ菌b型に対するワクチンを接種 (未接種又は追加接種が必要な場合).
ワクチン接種から2週間以内に本剤の投与を開始する場合は、 ワクチン接種の2週間後まで抗菌薬の予防投与を行う.

その他

本剤は補体 (C5) 阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に投与する.
Eculizumab (ソリリス®) からの切り替え:Eculizumab最終投与から1週間後に本剤を開始.
Ravulizumab (ユルトミリス®) からの切り替え:Ravulizumab最終投与6週間後に本剤を開始.

概要

2024年8月15日、 「発作性夜間ヘモグロビン尿症」 に対して薬価収載 (200mg1カプセル 7万3218.10円 / 1日 14万6436.20円)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ファビハルタ® (添付文書/適正使用ガイド*)

*「ノバルティスファーマ株式会社 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

インタビューフォーム¹⁾ APPLY-PNH試験 イプタコパン群 62 例の有害事象*より引用.

* 「発現率5%以上の有害事象」 の項から抜粋.

主な有害事象

  • COVID-19 (29.0%)
  • 頭痛 (19.4%)
  • 下痢 (16.1%)
  • 上咽頭炎 (14.5%)
  • 悪心 (12.9%)
  • 関節痛 (11.3%)
  • 尿路感染 (11.3%)
  • ブレイクスルー溶血 (9.7%)
  • 血中LDH増加 (9.7%)
  • 腹痛 (8.1%)
  • 高血圧 (6.5%)
  • 発熱 (6.5%)
  • 浮動性めまい (6.5%)
  • 不眠症 (6.5%)

特徴と注意点

発作性夜間血色素尿症 (PNH)

  • 本剤は、 補体第二経路を選択的に阻害する低分子補体B因子阻害剤. 
  • PNH型赤血球に対してMAC形成阻害、 オプソニン化阻害により血管内溶血及び血管外溶血の両方を抑制し、 標準治療後に残存するPNHの主要な症状を改善する.
  • 補体C5阻害剤ではコントロールが不十分な症例に対し、 本剤を経口単剤で用いる.
*臨床試験のC5阻害剤はエクリズマブ又はラブリズマブ
  • 本剤は、 補体介在性の感染防御機能の一部を阻害すると考えられるため、 莢膜形成細菌 (髄膜炎菌、 肺炎球菌及びインフルエンザ菌等) に対して感染リスクが増大する可能性がある. これらの細菌に対するワクチンの接種歴を確認し、 接種が確認できない又は追加接種が必要な場合はワクチン接種を行う.
  • 本剤投与により、 脂質異常症 (総コレステロール、 LDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等) が発現する可能性があるため、 定期的に血液検査を実施し、 異常が認められた場合には必要に応じて標準的な治療を行う.
  • 下記の患者には投与時留意すること.
  1. 髄膜炎菌感染症の既往のある患者
  2. 感染症の患者又は感染症が疑われる患者
  3. 重度の腎機能障害 (eGFRが30mL/min/1.73m²未満) のある患者
  4. 肝機能障害のある患者
  5. 妊婦*、 授乳婦
  6. 小児等
1)、 2) 感染リスク増加 3)、 4) 本剤の血中濃度上昇リスク
5) *動物実験で胚毒性あり、 有益投与のみ 6) 臨床試験なし

莢膜形成細菌による感染症の予防

  • 緊急治療を要する場合等を除き、 原則、 本剤投与開始の少なくとも2週間前までに下記のワクチンを接種.
  • ワクチン接種から2週間以内に本剤を開始する場合は、 ワクチン接種2週間後まで抗菌薬の予防投与を行う.

髄膜炎菌ワクチン²⁾

  • A、 C、 W-135及びY型に対するワクチンを接種. B型については入手可能な場合は検討してもよい.
本邦ではA、 C、 W-135及びY型に対するワクチンのみ保険適用 (メンクアッドフィ®筋注)
  • 髄膜炎菌ワクチンは5年ごとを目安に追加接種することを推奨. 必要な抗体価については諸説あり、 現時点では確立されていない.
  • 過去5年以内に髄膜炎菌ワクチンを接種していない場合で、 無脾症 (脾摘含む)、 持続性補体欠損症、 HIV感染等を有する患者では0.5mLを2回接種する (2回目は初回から8週以上あけて接種).

肺炎球菌ワクチン³⁾⁴⁾

インフルエンザ菌b型ワクチン

本剤を中止する場合

  • 本剤の中止により重篤な溶血が発現するおそれがあるため、 中止する場合は代替療法を考慮する.
  • 本剤の最終投与から最低2週間は溶血及び付随する症状を注意深く観察し、 必要に応じて適切な処置を行う.

関連する臨床試験の結果

APPLY-PNH試験¹⁾⁵⁾⁶⁾

概要

  • 国際共同第Ⅲ相試験
  • 対象 : 補体C5阻害剤投与下にあるHb値10 g/dL未満のPNH患者
  • 方法 : イプタコパン切替え群 (200mg 1日2回) と補体C5阻害剤継続群に無作為に8:5で割り付け*
*イプタコパン群 : 62例 (日本人6例) 補体C5阻害剤群 : 35例 (日本人3例)
  • 期間 : スクリーニング期 (最長8週間)、 主要評価期 (24週間)、 継続投与期 (24週間) の3期で構成
  • 主要評価項目 : 主要評価期において、 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇及び輸血なしでHb値12g/dL以上

結果

  • 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇 : イプタコパン群 82.3% vs 補体C5阻害剤群 0%
  • 奏効割合の推定群間差は80.2% [95%CI : 71.2,87.6] であり、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された (P<0.0001).
  • 輸血なしでHb値12g/dL以上 : イプタコパン群 67.7% vs 補体C5阻害剤群 0%
  • 奏効割合の推定群間差は67.0% [95%CI : 56.4,76.9] であり、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された (P<0.0001).
  • 輸血回避、 Hb値のベースラインからの変化量、 網状赤血球数のベースラインからの変化量、 FACIT-Fatigueスコアのベースラインからの変化量についても、 イプタコパン群の補体C5阻害剤群に対する優越性が検証された.
  • LDH 値の対ベースライン比については、 イプタコパン群の優越性は示されなかった.
  • イプタコパン群62 例における重篤な有害事象は、 9例 (14.5%) に発現した. 内訳は、 COVID-19、 蜂巣炎、 腎盂腎炎、 敗血症性ショック、 シュードモナス性尿路感染、 基底細胞癌、 骨髄異形成症候群、 一過性脳虚血発作、 横紋筋融解症、 洞結節機能不全及び卵巣嚢胞各1例 (1.6%) であった.
  • 莢膜形成細菌による感染症は、 イプタコパン群で4例、 全体で6例に発現した.
  • 投与中止及び死亡に至った有害事象は、 イプタコパン群及び全体のいずれにも報告されなかった.
  • イプタコパン群は48週後においても、 Hb増加の維持、 平均正常/正常に近いHbレベル、 輸血回避、 疲労の減少等、 複数の血液学的及び臨床転帰について持続的な改善を示した⁶⁾ .

APPOINT-PNH試験¹⁾⁵⁾

概要

  • 国際共同第Ⅲ相試験
  • 対象 : 補体阻害剤による治療歴がないHb値10 g/dL未満のPNH患者*
*対象患者40例 (日本人0例)
  • 方法 : 24週間のイプタコパン単剤療法 (200mg 1日2回)
  • 主要評価項目 : 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇

結果

  • 輸血なしでHb値がベースラインから2g/dL以上の上昇 : 31/33例で達成
  • 発現率10%以上の有害事象は、 頭痛12例 (30.0%)、 COVID-19 9例 (22.5%)、 上気道感染7 例 (17.5%)、 下痢6例 (15.0%) であった.
  • 重篤な有害事象の発現率は20.0% (8/40 例) であった. 2例以上に発現した事象はCOVID-19 (2例) であった. その他、 ブレイクスルー溶血 (COVID-19と同一患者に発現)、 細菌性肺炎、 2型糖尿病、 白内障、 肺炎、 悪性黒色腫及び感染が各1例に発現した.
  • 投与中止及び死亡に至った有害事象は報告されなかった.
  • 莢膜形成細菌による感染症は、 2例に細菌性肺炎及びブドウ球菌皮膚感染が発現した. 細菌性肺炎は重篤かつ高度で治験薬との関連なし、 ブドウ球菌皮膚感染は非重篤かつ中等度で治験薬との関連ありと判断された.
  • イプタコパンによって、 Hbレベルが増加し、 疲労が軽減され、 網赤血球とビリルビンレベルが減少し、 平均LDHレベルが正常上限の1.5倍未満となった.
  • イプタコパンで最も頻繁に発生した有害事象は頭痛であった.

参考文献

  1. ファビハルタⓇインタビューフォーム
  2. 医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版
  3. 6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第2版
  4. 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第4版
  5. N Engl J Med. 2024 Mar 14;390(11):994-1008. 
  6. Blood (2023) 142 (Supplement 1): 571.

最終更新:2024年11月14日
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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。

急性骨髄性白血病
急性前骨髄球性白血病
慢性骨髄性白血病
骨髄増殖性疾患
骨髄異形成症候群
急性リンパ性白血病
慢性リンパ性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
自家移植
同種移植
非腫瘍性疾患
CAR-T
急性前骨髄球性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
再発難治性
DPd
ダラツムマブ、ポマリドミド、デキサメタゾン
DCd(DKd)
ダラツムマブ、 カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
DBd(DVd)
ダラツムマブ、 ボルテゾミブ、 デキサメタゾン
ISA-Pd
イサツキシマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ISA-Kd
イサツキシマブ、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン
ISA-d/ISA monotherapy
イサツキシマブ ± デキサメタゾン
KRd
カルフィルゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
weekly Kd(wKd)70mg/m²
週1回高用量カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
Kd (Cd) 56mg/m²
カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
ERd(ELd)
エロツズマブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
EPd
エロツズマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ILd(IRd)
イキサゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
Pd
ポマリドミド、 デキサメタゾン
PBd(PVd)
ポマリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン
Elranatamab
エルラナタマブ(エルレフィオ®)
Teclistamab
テクリスタマブ (テクベイリ®)
Ide-cel(Idecabtagene vicleucel)
イデカブタゲン ビクルユーセル(アベクマ®)
Cilta-cel(Ciltacabtagene autoleucel)
シルタカブタゲン オートルユーセル(カービクティ®)
DCEP
デキサメタゾン+シクロホスファミド+エトポシド+シスプラチン
VTD-PACE
ボルテゾミブ、 サリドマイド、 デキサメタゾン、 シスプラチン、 アドリアマイシン、 シクロホスファミド、 エトポシド

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