昔に比べると医局が弱くなったと言われますが､ その影響力は一律に低下したわけではありません｡ 現在の ｢医局力｣ を､ 診療科別の傾向から明らかにします｡

アンケート集計方法と留意点

HOKUTO編集部では2025年4~5月､ HOKUTOアプリ内でアンケートを行い､ 臨床研修医を除く医師会員4000人から回答を得ました｡

まず､ ｢先生の専門領域で､ 医局の力がいまだ健在と感じる大学はどこですか？｣ (単一回答) と質問｡

次に理由について､ ｢関連病院･出先施設を数多く抱えている｣ ｢人事･キャリア形成への影響力が大きい｣ ｢他大学や地域医療機関からの紹介が多い｣ ｢医局人事が今も機能しており､ 同門ネットワークが強い｣ ｢教授･幹部クラスの発信力や存在感が強い｣ ｢その他｣ の選択式 (複数回答可) で尋ねました｡

写真はイメージです

大学名が不明瞭な回答は除外し､ 有効回答のみを集計｡ アンケートは統計法に基づく ｢公的統計｣ ではなく任意回答方式であるため､ あくまで参考値としてご覧ください｡ なお､ 回答数が少なかった心療内科と､ ｢特になし｣ が大半だった産業医は今回､ 集計結果に記載しておりません｡ 予めご了承ください｡

全体

まずは全診療科を合算した上位10大学です｡ 1位は東京大､ 2位は大阪大学､ 3位は私学で唯一トップ10に入った慶應義塾大学でした｡

アンケート結果よりHOKUTO編集部作成

理由をみると､ 東京大は ｢関連病院･出先施設を数多く抱えている｣ が300票以上と最多で､ それに付随する ｢人事･キャリア形成への影響力が大きい｣ も100票近く回答がありました｡

｢医局人事が今も機能しており､ 同門ネットワークが強い｣ との理由が多かったのが慶應義塾大と大阪大で､ ともに100票近くありました｡

｢教授･幹部クラスの発信力や存在感が強い｣ との理由は､ 東京大のほか､ 九州大が多かったです｡

診療科別 (1位10票以上)

内科系

1位の大学が10票以上獲得した9診療科のうち7診療科で､ 東京大がトップとなりました｡

アンケート結果よりHOKUTO編集部作成

外科系

内科系に比べると1位の大学が分散しました｡ 京都大は脳神経外科と泌尿器科で､ 九州大は呼吸器外科と消化器外科で､ それぞれ1位を獲得しました｡

アンケート結果よりHOKUTO編集部作成

その他

精神科や皮膚科で ｢なし｣ が上位にランクインしました｡

アンケート結果よりHOKUTO編集部作成

診療科別 (1位10票未満)

最後に､ n数が少なかった診療科の結果もご紹介します｡

アンケート結果よりHOKUTO編集部作成

次回は､ 医局の力が弱くなったと医師が感じる大学をご紹介します｡