
Bradleyらは、 Ⅲ期切除不能非小細胞肺癌 (NSCLC) における、 抗PD-L1抗体デュルバルマブの化学放射線療法との同時併用の予後改善効果を検証した。 その結果、 主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS) に有意差は認められず、 主要な副次評価項目でも有効性は示されなかった。 試験結果はJOC誌に発表された。
PACIFIC-2ではデュルバルマブの作用機序に基づきPD-L1検査が優先され、 EGFR検査は十分に行われず、 43.6%の患者でEGFR変異ステータスが不明であったとのことです。
PD-L1を標的とする免疫療法は、 化学放射線療法 (cCRT) 後に病勢進行を認めないⅢ期切除不能NSCLC患者で予後を改善することが知られていることから、 より早期にcCRTと同時併用することでさらなる予後改善が期待される。
対象患者は、 cCRT開始時からデュルバルマブを併用する群と、 プラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。 cCRT完了後に病勢進行を認めない患者は、 初期の割り付けに従ってデュルバルマブまたはプラセボによる維持療法を受けた。
主要評価項目はPFSであり、 主要な副次評価項目は奏効率 (ORR)、 全生存期間 (OS)、 24ヵ月時点でのOS率および安全性であった。
328例の患者がデュルバルマブ群 (219例) とプラセボ群 (109例) に割り付けられた。
PFSとOSにおいて両群間で有意差は認められなかった。
ORRについても、 デュルバルマブ群で60.7%、 プラセボ群で60.6%であり、 両群間で有意差はなかった。 24ヵ月OS率はデュルバルマブ群で58.4%、 プラセボ群で59.5%であった。
安全性は、 グレード3/4の有害事象の発現はデュルバルマブ群で53.4%、 プラセボ群で59.3%であり、 肺炎/放射線肺炎はそれぞれ28.8% (グレード3以上 : 4.6%)、 28.7% (グレード3以上 : 5.6%)、 治療中止に至った有害事象は25.6%、 12.0%であった。 致死的有害事象は13.7%、 10.2%であった。
著者らは、 「Ⅲ期切除不能NSCLC患者において、 cCRTにデュルバルマブを同時併用しても有効性は示されなかったことから、 cCRT後の維持療法におけるデュルバルマブ使用が現時点での標準治療である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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