
「いつかエビデンスを作るような仕事がしてみたい・・・」
がん診療に携わる医師は一度は考えて憧れたことはあるのではないでしょうか。 でもどう勉強したらいいのか、 誰に教えてもらったらいいかわからない。 そんな先生方にぜひおすすめしたい研修があります。 その名も 「WJOG Boot Camp」。 かつては 「虎の穴」 と呼ばれていたWJOGが主催する3日間の研修です。 私は2021年に研修生として初めて参加して、 その後はチューターとして今年で4回目の参加になります。 そんな私から見て、「WJOG Boot Camp」 に参加すべきポイントを挙げさせていただきます。

2010年から始まったこの研修プログラム。 現在WJOG Boot Campと名前を変え今年で14回目の開催でした (WJOG Boot Campとしては2回目)。
年明けにメンバーの募集が始まり、 呼吸器・乳腺・消化管とそれぞれの専門でグループが分かれ、 4月の研修からプログラムは始まります。 Webで各チームが約4ヵ月にわたって議論を深め、 8月に対面で3日間の合宿を行い、 最終的にチームとしてひとつの臨床試験を作り上げるプログラムです。
メンバー構成は、 Boot Camper と呼ばれる研修生 (かつての虎の子)、 比較的若手主体のジュニアチューター (私はこれにあたります)、 そして各分野でのオピニオンリーダーであるシニアチューターに加えて統計家もサポートする充実のラインナップです。 このBoot Campの卒業生は各分野の第一線で活躍している先生ばかりです。
我々臨床医は患者さんを診療する中でいろいろな疑問が生まれます (一般的にClinical Question : CQと呼ばれます)。 このCQをいかに臨床試験という形に落とし込むかが非常に難しいのです。
4か月に渡る研修では、 臨床試験を立案するうえでの必要なステップやポイントなどを重点的に学ぶことが可能です。
特に役立つのは4月の研修から本番までのWebでの議論です。 自分のCQをもとに建てた試験案を同じ研修生やチューターからのさまざまな指摘や意見をもとにブラッシュアップしていきます。 最終的にはグループとして一つの試験案に絞っていくわけですが、 この過程だけでも初めて試験を立案する先生にとっては学びが大きいと思っています。
8月に実施される3日間の泊まり込みの研修では、 それぞれのグループがほかの臓器グループに対して自分たちの試験案をプレゼンしていきます。

当然ほかの臓器グループの先生は自分たちの分野に詳しいわけではないので、 自己満足的な発表ではなく、 いかにわかりやすく、 かつValueが伝えられるかが非常に重要です。 スライドの構成、 見せ方なども経験豊富なチューターからアドバイスをもらえますし、 それをもとに徐々にプレゼンが洗練されていく様子は、 毎年参加して本当に素晴らしいと思わされます。
さらにほかの臓器グループのプレゼンに対して、 一方的に批判的なコメントを述べるのではなく、 どう工夫したら試験がよりよくなるかという視点から、 建設的な意見をいかに短時間に的確に指摘できるかというのも重要です。 3日間の研修でこの作業が繰り返し行われますので、 とてもいい訓練になります。

「WJOG Boot Camp」 を通じて同じ分野の仲間ともいうべき若手同士の横のつながりや、 第1戦で活躍されている先生との縦のつながりができることがなによりも大きな財産になると思います。
さらに他臓器グループの先生方ともつながりができますし、 その点はWJOGが実施するこの研修の大きな強みだとも思っています。 自分も 「WJOG Boot Camp」 を通じて出会えた先生方といろいろな学会や講演会などでお会いした時も声をかけていただくことも増えましたし、 一緒に臨床試験を実施することもできました。
臨床試験は一人だけで実施することは絶対にできないものですので、 この 「人とのつながり」 というのは本当に大事です。
臨床試験にどっぷりと浸かれる非常に有意義な4ヵ月が過ごせる研修です。 もともと臨床試験にかかわりのある先生はもちろんのこと、 まったくかかわりのなかった先生も大歓迎です。 多少研修の中できついこともあったりはしますが、 この研修を終えた後には必ず大きな達成感と成長を実感できるものだと確信しています。
またこの投稿を読んでいただいた皆様と4月の研修でお会いできるのを楽しみにしております。

次世代の臨床試験を育む現場から ― WJOG Boot Camp チューター参加記
WJOG Boot Camp 参加印象記 : MVP賞・チームコンセプト賞を受賞して
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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