
Xuらは、 中国における再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病 (ALL) 患者を対象に、 IL-10を発現する抗CD19 CAR-T細胞療法META 10-19の安全性および有効性を第Ⅰ相非盲検単群試験で検討した。 その結果、 META 10-19は低用量で管理可能な安全性プロファイルと有望な治療活性を示した。 本研究はLancet Haematol誌において発表された。
IL-10を発現するCAR-T細胞を再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者に成功裏に使用したことは、 他の血液悪性腫瘍や固形がんに対する次世代の細胞療法の雛形形研究と言えます。
CAR-T細胞療法は、 再発または難治性のB細胞性ALL患者の臨床転帰を改善してきたが、 CAR-T細胞の機能不全に起因する治療抵抗性および寛解後の再発は、 依然として重大な臨床課題である。
そこで本研究では、 この課題克服に向けて、 IL-10を発現する抗CD19 CAR-T細胞療法META 10-19を開発し、 同対象に対する安全性および有効性を検討した。
中国の単施設において、 WHO 「造血・リンパ系腫瘍分類」 第5版に基づいて再発または難治性のB細胞性ALLと診断され、 かつECOG PS 0-1で3~70歳の患者を対象として第Ⅰ相非盲検単群試験が実施された。
12例に5日前から3日前までリンパ球除去化療法としてフルダラビン25~30mg/m²/日およびシクロホスファミド250~300mg/m²/日を静脈内投与し、 その後、 META 10-19 (0.1×10⁶または0.2×10⁶ CAR T細胞/kgの単回静注) を投与した。
主要評価項目は、 用量制限毒性、 免疫エフェクター細胞関連毒性、 その他の治療関連有害事象 [TEAE] によって評価した安全性および奏効率および生存率によって評価した有効性であった。
追跡期間中央値12.5ヵ月 (四分位範囲 7.4-15.6ヵ月) において、 最も多くみられたGrade3以上の有害事象は、 全例で発現した血液毒性であり、 内訳として好中球減少症 (12例 [100%])、 貧血 (10例 [83%])、 血小板減少症 (10例 [83%]) が含まれた。
11例 (92%) の患者でGrade1-2のサイトカイン放出症候群 (CRS) が発現したが、 一方で免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS) の発現は認められなかった。 治療関連死は報告されなかった。
投与開始後1ヵ月時において全奏効 (OR) が全例で認められ、 うち完全奏効 (CR) が4例 (33%)、 不完全または部分的な血液学的回復を伴うCRが5例 (42%)、 形態学的寛解が3例 (25%) であった。
著者らは 「META 10-19は、 再発または難治性のB細胞性ALL患者において、 低用量で管理可能な安全性プロファイルと有望な治療活性を示した。 IL-10を発現するCAR-T細胞の開発が、 同対象におけるCAR-T細胞療法の最適化に寄与する可能性が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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