治療スケジュール
概要
監修医師

DARA-sc:ダラツムマブ(ダラキューロ®)

投与量コース投与日
1,800mg/body 皮下注1~2Day 1、8、15
1,800mg/body 皮下注3~8Day 1
1,800mg/body 皮下注9~Day 1

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1.3mg/m² 皮下注1~8Day 1、4、8、11

LEN:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg/body 経口1~8Day 1~14
25mg/body 経口9~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
20mg/body 経口1~8Day 1, 2, 4, 5, 8, 9, 11, 12
40mg/body 経口9~Day 1, 8, 15, 22

前投薬

Infusion reaction軽減のため、 ダラツムマブ投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、 解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与。 必要に応じて、 遅発性反応に備え投与後にも副腎皮質ホルモン等を投与。 初回投与時はモンテルカスト10mgの前投薬を推奨。

その他

サイクル1~8は21日間、サイクル9以降は28日間の周期で実施。
DEXは、ダラツムマブ投与日に前投薬としてサイクル1~8は20mg、サイクル9以降は40mgを静脈内または経口投与。
75歳超または低体重(BMI<18.5kg/m²)の患者では、DEXはサイクル1~8でDay1、4、8、11に20mg、サイクル9以降は週1回20mgに減量して投与。
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2025年6月25日、 造血幹細胞移植の適応となる未治療の多発性骨髄腫患者、 ならびに適応とならない未治療患者に対し、 ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンとの併用療法について、 新たに用法および用量が追加された。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- ダラキューロ® (添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*)

 *ヤンセンファーマ株式会社の外部サイトへ遷移します

- ベルケイド® (添付文書)

- レブラミド® (添付文書)

- レナデックス® (添付文書)

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】 DARA: 最小度、 BOR/LEN: 軽度
【FN発症】低リスク**
**CEPHEUS試験³⁾のFN発生率3.6%より編集部が分類

ダラツムマブ : 1800mgをサイクル1・2では週1回、 サイクル3~8では3週に1回、 サイクル9以降では4週に1回皮下投与

インフュージョンリアクション軽減のため、 投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、 解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与する。 必要に応じて、 遅発性反応に備え投与後にも副腎皮質ホルモン等を投与する¹⁾。 なお、 CEPHEUS試験では初回投与時にモンテルカスト10mgの前投薬が推奨された。

ボルテゾミブ : サイクル1~8では1.3mg/m²を各サイクルのDay1、 4、 8、 11に皮下投与

レナリドミド : サイクル1~8では25mgを各サイクルのDay1~14に経口投与、 サイクル9以降は25mgをDay1~21に連日経口投与

デキサメタゾン : サイクル1~8では20mg/日をDay1、 2、 4、 5、 8、 9、 11、 12に、 サイクル9以降は40mg/日をDay1、 8、 15、 22に経口投与

ダラツムマブ投与日には、 前投薬としてサイクル1~8では20mg、 サイクル9以降では40mgを静脈内または経口で投与。 なお、 75歳超または低体重 (BMI<18.5kg/m²) の患者には、 サイクル1~8ではDay1、 4、 8、 11に20mgを、 サイクル9以降では週1回20mgを投与。

Key Data|臨床試験結果

📊 CEPHEUS試験

Nat Med. 2025;31(4):1195-1202.

造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者395例を対象とした、 ランダム化非盲検群間比較試験。 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾンの併用療法 (BLd療法) 群と、 BLd療法にダラツムマブを上乗せしたD-BLd療法群に無作為に割り付け、 主要評価項目として微小残存病変 (MRD) 陰性率を設定した。 

【有効性】D-BLd群 (vs BLd群)

- MRD*陰性率 : 60.9% (vs 39.4%、 p<0.0001)

*次世代シーケンシング (NGS) による検出感度10⁻⁵で評価

- PFS

  • 54ヵ月時点 : 68.1% (vs 49.5%)
  • ハザード比 : 0.57、 p<0.001

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade3-4)

  • 好中球減少 55.8% (44.2%)
  • 血小板減少 46.7% (28.4%)
  • 貧血 37.1% (13.2%)
  • リンパ球減少 18.3% (12.2%)
  • 下痢 56.9% (12.2%)
  • 末梢性感覚ニューロパチー 55.8% (8.1%)
  • 末梢性浮腫 42.1% (2.0%)
  • 便秘 38.1% (2.0%)
  • 不眠症 32.0% (2.0%)
  • 疲労 32.0% (9.1%)
  • 低カリウム血症 29.4% (12.2%)
  • 白内障 27.9% (8.6%)
  • 背部痛 27.9% (3.0%)
  • 咳嗽 26.9% (0.5%)
  • 無力症 25.9% (3.6%)
  • 発疹 25.4% (2.5%)
  • 悪心 24.9% (0%)
  • 発熱 23.4% (1.0%)
  • 関節痛 22.8% (1.5%)
  • 食欲減退 21.3% (1.0%)
  • 浮動性めまい 20.8% (0.5%)
  • 感染 91.9% (40.1%)
  • 上気道感染 39.6% (0.5%)
  • COVID-19 38.1% (11.2%)
  • 肺炎 24.4% (14.2%)
  • 尿路感染 20.8% (3.6%)
  • 二次癌 7.6%
  • 注射関連反応 3.6% (0.5%)

各プロトコル

適格基準

CEPHEUS試験³⁾の主な適格基準

  • 年齢 : 80歳未満で、 70歳以上を理由に大量化学療法と造血幹細胞移植の適応とならない患者、 または18~70歳で基礎疾患により移植が不適と判断された患者、 あるいは初回治療として移植を希望しない患者
  • Frailty index <2
  • ECOG PS : 0~2
  • 好中球数 : ≧1,000/mm³
  • 血小板数 : 骨髄有核細胞の50%未満が形質細胞の場合は≧7万/mm³、 それ以外の場合は >5万/mm³
  • ヘモグロビン : ≧7.5g/dL
  • 腎機能 : CrCl ≧30mL/min
  • 肝機能 : AST、 ALT ≦2.5× ULN、 総ビリルビン ≦1.5× ULN

用量レベル

ダラツムマブの減量は行わない。 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾンの用量レベルは以下のとおり。

CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

レナリドミドの用量は腎機能に応じて以下のとおり調整する。

CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ダラツムマブ

ダラキューロ®電子添文¹⁾、 CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン

ダラキューロ®電子添文¹⁾、 CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

本レジメンの位置づけ

本レジメンは、 自家移植非適応の未治療多発性骨髄腫に適用される。

🧑‍⚕️移植非適応骨髄腫患者に対するD-BLd療法は移植適応症例と用法・用量が異なります。8サイクル目までは1サイクル3週で、BORはday1, 4, 8, 11の投与であり、末梢神経障害の出現時には適切な減量が必要です。DARAとBORが皮下投与で点滴静注する薬剤が含まれないため利便性は高いです。
東海大学医学部血液腫瘍内科 扇屋大輔先生

レジメン適用時の注意事項¹⁾

  • ダラツムマブはヒトIgGκ型モノクローナル抗体であり、 IgGκ型骨髄腫においては血清中Mタンパクの測定に干渉し、 CRや再発の評価に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要。
  • ダラツムマブは赤血球上のCD38と結合し、 抗体スクリーニングや交差試験に干渉し、 間接クームス試験を偽陽性とする可能性がある。 影響は最終投与後約6ヵ月持続するため、 投与前に輸血前検査を行い、 輸血予定がある場合は関係者に周知すること。 干渉回避にはDTT処理が有効だが、 Kell抗原が変性するため、 当該抗体の評価が不能となる点に留意する。
  • 腫瘍崩壊症候群の発現に備え、 血清電解質と腎機能を定期的に確認することが推奨される。
  • 65歳以上では重篤な有害事象 (主に肺炎・敗血症) の発現頻度が高く、 未治療例では75歳以上で肺炎の発現が多く認められているため、 十分に注意する。
  • COPDや喘息の既往がある患者ではInfusion Reactionのリスクが高いため、 気管支拡張薬や吸入ステロイドの投与を考慮する。
  • 体重65kg以下では、 好中球減少など骨髄抑制のリスクが増加する可能性がある。

RMP【重要な特定されたリスク】

医薬品リスク管理計画書 (RMP)

ダラツムマブ :

- Infusion reaction

- 間接クームス試験への干渉

- 骨髄抑制

- 感染症

- 腫瘍崩壊症候群

ボルテゾミブ :

- 末梢神経障害

- 自律神経ニューロパチー

- 骨髄抑制

- 感染症

- 心障害

- 肺障害

- 腫瘍崩壊症候群

- 可逆性後白質脳症症候群

- 視神経症および視力障害

- 肝機能障害

- 低血圧

- イレウス

- 皮膚粘膜眼症候群、 中毒性表皮壊死症

- ギラン・バレー症候群・脱髄性多発ニューロパチー

レナリドミド :

- 催奇形性

- 骨髄抑制  

- 出血  

- 感染症  

- 血栓塞栓症 

- 過敏症 (皮膚反応を含む)   

- 腫瘍崩壊症候群

- 末梢性ニューロパチー

- 虚血性心疾患

出典

  1. ヤンセンファーマ株式会社. ダラキューロ®配合皮下注 電子添文 (2025年6月改訂 第7版)
  2. ヤンセンファーマ株式会社. ダラキューロ配合皮下注 適正使用ガイド (2025年6月改訂)
  3. Nat Med. 2025;31(4):1195-1202.

最終更新 : 2025年7月9日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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DARA-sc:ダラツムマブ(ダラキューロ®)

投与量コース投与日
1,800mg/body 皮下注1~2Day 1、8、15
1,800mg/body 皮下注3~8Day 1
1,800mg/body 皮下注9~Day 1

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1.3mg/m² 皮下注1~8Day 1、4、8、11

LEN:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg/body 経口1~8Day 1~14
25mg/body 経口9~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
20mg/body 経口1~8Day 1, 2, 4, 5, 8, 9, 11, 12
40mg/body 経口9~Day 1, 8, 15, 22

前投薬

Infusion reaction軽減のため、 ダラツムマブ投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、 解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与。 必要に応じて、 遅発性反応に備え投与後にも副腎皮質ホルモン等を投与。 初回投与時はモンテルカスト10mgの前投薬を推奨。

その他

サイクル1~8は21日間、サイクル9以降は28日間の周期で実施。
DEXは、ダラツムマブ投与日に前投薬としてサイクル1~8は20mg、サイクル9以降は40mgを静脈内または経口投与。
75歳超または低体重(BMI<18.5kg/m²)の患者では、DEXはサイクル1~8でDay1、4、8、11に20mg、サイクル9以降は週1回20mgに減量して投与。

概要

2025年6月25日、 造血幹細胞移植の適応となる未治療の多発性骨髄腫患者、 ならびに適応とならない未治療患者に対し、 ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンとの併用療法について、 新たに用法および用量が追加された。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- ダラキューロ® (添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*)

 *ヤンセンファーマ株式会社の外部サイトへ遷移します

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- レナデックス® (添付文書)

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】 DARA: 最小度、 BOR/LEN: 軽度
【FN発症】低リスク**
**CEPHEUS試験³⁾のFN発生率3.6%より編集部が分類

ダラツムマブ : 1800mgをサイクル1・2では週1回、 サイクル3~8では3週に1回、 サイクル9以降では4週に1回皮下投与

インフュージョンリアクション軽減のため、 投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン、 解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与する。 必要に応じて、 遅発性反応に備え投与後にも副腎皮質ホルモン等を投与する¹⁾。 なお、 CEPHEUS試験では初回投与時にモンテルカスト10mgの前投薬が推奨された。

ボルテゾミブ : サイクル1~8では1.3mg/m²を各サイクルのDay1、 4、 8、 11に皮下投与

レナリドミド : サイクル1~8では25mgを各サイクルのDay1~14に経口投与、 サイクル9以降は25mgをDay1~21に連日経口投与

デキサメタゾン : サイクル1~8では20mg/日をDay1、 2、 4、 5、 8、 9、 11、 12に、 サイクル9以降は40mg/日をDay1、 8、 15、 22に経口投与

ダラツムマブ投与日には、 前投薬としてサイクル1~8では20mg、 サイクル9以降では40mgを静脈内または経口で投与。 なお、 75歳超または低体重 (BMI<18.5kg/m²) の患者には、 サイクル1~8ではDay1、 4、 8、 11に20mgを、 サイクル9以降では週1回20mgを投与。

Key Data|臨床試験結果

📊 CEPHEUS試験

Nat Med. 2025;31(4):1195-1202.

造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者395例を対象とした、 ランダム化非盲検群間比較試験。 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾンの併用療法 (BLd療法) 群と、 BLd療法にダラツムマブを上乗せしたD-BLd療法群に無作為に割り付け、 主要評価項目として微小残存病変 (MRD) 陰性率を設定した。 

【有効性】D-BLd群 (vs BLd群)

- MRD*陰性率 : 60.9% (vs 39.4%、 p<0.0001)

*次世代シーケンシング (NGS) による検出感度10⁻⁵で評価

- PFS

  • 54ヵ月時点 : 68.1% (vs 49.5%)
  • ハザード比 : 0.57、 p<0.001

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade3-4)

  • 好中球減少 55.8% (44.2%)
  • 血小板減少 46.7% (28.4%)
  • 貧血 37.1% (13.2%)
  • リンパ球減少 18.3% (12.2%)
  • 下痢 56.9% (12.2%)
  • 末梢性感覚ニューロパチー 55.8% (8.1%)
  • 末梢性浮腫 42.1% (2.0%)
  • 便秘 38.1% (2.0%)
  • 不眠症 32.0% (2.0%)
  • 疲労 32.0% (9.1%)
  • 低カリウム血症 29.4% (12.2%)
  • 白内障 27.9% (8.6%)
  • 背部痛 27.9% (3.0%)
  • 咳嗽 26.9% (0.5%)
  • 無力症 25.9% (3.6%)
  • 発疹 25.4% (2.5%)
  • 悪心 24.9% (0%)
  • 発熱 23.4% (1.0%)
  • 関節痛 22.8% (1.5%)
  • 食欲減退 21.3% (1.0%)
  • 浮動性めまい 20.8% (0.5%)
  • 感染 91.9% (40.1%)
  • 上気道感染 39.6% (0.5%)
  • COVID-19 38.1% (11.2%)
  • 肺炎 24.4% (14.2%)
  • 尿路感染 20.8% (3.6%)
  • 二次癌 7.6%
  • 注射関連反応 3.6% (0.5%)

各プロトコル

適格基準

CEPHEUS試験³⁾の主な適格基準

  • 年齢 : 80歳未満で、 70歳以上を理由に大量化学療法と造血幹細胞移植の適応とならない患者、 または18~70歳で基礎疾患により移植が不適と判断された患者、 あるいは初回治療として移植を希望しない患者
  • Frailty index <2
  • ECOG PS : 0~2
  • 好中球数 : ≧1,000/mm³
  • 血小板数 : 骨髄有核細胞の50%未満が形質細胞の場合は≧7万/mm³、 それ以外の場合は >5万/mm³
  • ヘモグロビン : ≧7.5g/dL
  • 腎機能 : CrCl ≧30mL/min
  • 肝機能 : AST、 ALT ≦2.5× ULN、 総ビリルビン ≦1.5× ULN

用量レベル

ダラツムマブの減量は行わない。 ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾンの用量レベルは以下のとおり。

CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

レナリドミドの用量は腎機能に応じて以下のとおり調整する。

CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ダラツムマブ

ダラキューロ®電子添文¹⁾、 CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

ボルテゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン

ダラキューロ®電子添文¹⁾、 CEPHEUS試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

本レジメンの位置づけ

本レジメンは、 自家移植非適応の未治療多発性骨髄腫に適用される。

🧑‍⚕️移植非適応骨髄腫患者に対するD-BLd療法は移植適応症例と用法・用量が異なります。8サイクル目までは1サイクル3週で、BORはday1, 4, 8, 11の投与であり、末梢神経障害の出現時には適切な減量が必要です。DARAとBORが皮下投与で点滴静注する薬剤が含まれないため利便性は高いです。
東海大学医学部血液腫瘍内科 扇屋大輔先生

レジメン適用時の注意事項¹⁾

  • ダラツムマブはヒトIgGκ型モノクローナル抗体であり、 IgGκ型骨髄腫においては血清中Mタンパクの測定に干渉し、 CRや再発の評価に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要。
  • ダラツムマブは赤血球上のCD38と結合し、 抗体スクリーニングや交差試験に干渉し、 間接クームス試験を偽陽性とする可能性がある。 影響は最終投与後約6ヵ月持続するため、 投与前に輸血前検査を行い、 輸血予定がある場合は関係者に周知すること。 干渉回避にはDTT処理が有効だが、 Kell抗原が変性するため、 当該抗体の評価が不能となる点に留意する。
  • 腫瘍崩壊症候群の発現に備え、 血清電解質と腎機能を定期的に確認することが推奨される。
  • 65歳以上では重篤な有害事象 (主に肺炎・敗血症) の発現頻度が高く、 未治療例では75歳以上で肺炎の発現が多く認められているため、 十分に注意する。
  • COPDや喘息の既往がある患者ではInfusion Reactionのリスクが高いため、 気管支拡張薬や吸入ステロイドの投与を考慮する。
  • 体重65kg以下では、 好中球減少など骨髄抑制のリスクが増加する可能性がある。

RMP【重要な特定されたリスク】

医薬品リスク管理計画書 (RMP)

ダラツムマブ :

- Infusion reaction

- 間接クームス試験への干渉

- 骨髄抑制

- 感染症

- 腫瘍崩壊症候群

ボルテゾミブ :

- 末梢神経障害

- 自律神経ニューロパチー

- 骨髄抑制

- 感染症

- 心障害

- 肺障害

- 腫瘍崩壊症候群

- 可逆性後白質脳症症候群

- 視神経症および視力障害

- 肝機能障害

- 低血圧

- イレウス

- 皮膚粘膜眼症候群、 中毒性表皮壊死症

- ギラン・バレー症候群・脱髄性多発ニューロパチー

レナリドミド :

- 催奇形性

- 骨髄抑制  

- 出血  

- 感染症  

- 血栓塞栓症 

- 過敏症 (皮膚反応を含む)   

- 腫瘍崩壊症候群

- 末梢性ニューロパチー

- 虚血性心疾患

出典

  1. ヤンセンファーマ株式会社. ダラキューロ®配合皮下注 電子添文 (2025年6月改訂 第7版)
  2. ヤンセンファーマ株式会社. ダラキューロ配合皮下注 適正使用ガイド (2025年6月改訂)
  3. Nat Med. 2025;31(4):1195-1202.

最終更新 : 2025年7月9日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。

急性骨髄性白血病
急性前骨髄球性白血病
慢性骨髄性白血病
骨髄増殖性疾患
骨髄異形成症候群
急性リンパ性白血病
慢性リンパ性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
自家移植
同種移植
非腫瘍性疾患
CAR-T
急性前骨髄球性白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
再発難治性
DPd
ダラツムマブ、ポマリドミド、デキサメタゾン
DCd(DKd)
ダラツムマブ、 カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
DBd(DVd)
ダラツムマブ、 ボルテゾミブ、 デキサメタゾン
ISA-Pd
イサツキシマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ISA-Kd
イサツキシマブ、カルフィルゾミブ、デキサメタゾン
ISA-d/ISA monotherapy
イサツキシマブ ± デキサメタゾン
KRd
カルフィルゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
weekly Kd(wKd)70mg/m²
週1回高用量カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
Kd (Cd) 56mg/m²
カルフィルゾミブ、 デキサメタゾン
ERd(ELd)
エロツズマブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
EPd
エロツズマブ、 ポマリドミド、 デキサメタゾン
ILd(IRd)
イキサゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
Pd
ポマリドミド、 デキサメタゾン
PBd(PVd)
ポマリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン
BelaVd
ベランタマブ マホドチン+ボルテゾミブ+デキサメタゾン
BelaPd
ベランタマブ マホドチン+ポマリドミド+デキサメタゾン
Elranatamab
エルラナタマブ(エルレフィオ®)
Teclistamab
テクリスタマブ (テクベイリ®)
Talquetamab
トアルクエタマブ (タービー®)
Ide-cel(Idecabtagene vicleucel)
イデカブタゲン ビクルユーセル(アベクマ®)
Cilta-cel(Ciltacabtagene autoleucel)
シルタカブタゲン オートルユーセル(カービクティ®)
DCEP
デキサメタゾン+シクロホスファミド+エトポシド+シスプラチン
VTD-PACE
ボルテゾミブ、 サリドマイド、 デキサメタゾン、 シスプラチン、 アドリアマイシン、 シクロホスファミド、 エトポシド
非腫瘍性疾患
血栓性血小板減少性紫斑病

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