治療スケジュール
概要
監修医師

LEN:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg 経口1Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg 経口1Day 1、8、15、22

その他

1コースは28日間.
76歳以上や全身状態不良例はDEXを1回20mgへ減量.
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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ブリストル・マイヤーズ・スクイブ」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

FIRST試験¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 28%)
  • 貧血 (≧Grade3 18%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 8%)
  • リンパ球減少 (≧Grade3 6%)
  • 白血球減少 (≧Grade3 5%)

重大な有害事象

  • 感染症 (≧Grade3 29%)
  • 心機能障害 (≧Grade3 12%)

その他

  • 肺炎 (≧Grade3 8%)
  • 深部静脈血栓症 (肺塞栓含む) (≧Grade3 8%)
  • 無力症 (≧Grade3 8%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 7%)
  • 背部痛 (≧Grade3 7%)
  • 高K血症 (≧Grade3 7%)
  • 高血糖 (≧Grade3 5%)
  • 発疹 (≧Grade3 6%)
  • 白内障 (≧Grade3 6%)
  • 呼吸困難 (≧Grade3 6%)
  • 便秘 (≧Grade3 2%)
  • 末梢神経障害 (≧Grade3 1%)

特徴と注意点

特徴

  • レナリドミド (Lenalidomide:LEN) 免疫調節薬であり、 セレブロンに結合しIKZF1/3の分解を促進することで、 骨髄腫細胞の増殖を抑制し、 免疫細胞を活性化する. 
  • Ld療法は、 初発及び再発難治性の多発性骨髄腫における標準治療の一つ. 
  • 幹細胞採取の効率が低下する可能性があり、 導入療法に使用する場合は4コース以内に留める.
  • 移植非適応の初回治療では18コースまたは再発・再燃まで継続.
  • Ld療法は75歳以上/未満でも同等の効果が示されており、 有害事象についても75歳以上/未満で同程度であった¹⁾. 

LEN投与時の注意点

*適正管理手順は「ブリストル・マイヤーズ・スクイブ」 の外部サイトへ遷移します.
  • 血栓塞栓症予防に抗血小板薬又は抗凝固薬の予防投与を推奨.
  • 二次性発がんが増える可能性がある.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

LENの腎機能による投与量調整

  • LENは腎機能 (CrCLやeGFR)により投与量を調整する.
  • 30≦CrCL<60mL/minの場合:LEN 10mgより開始し、 2コース終了後に忍容可能なら15mgへ増量検討.
  • 透析を行っておらずCrCl<30mL/minの場合:LEN 15mg/日を2日に1回.
  • 透析患者の場合:LEN 5mgを1日1回 (透析日は透析後に投与).

関連する臨床試験の結果

FIRST試験¹⁾

概要

  • 造血幹細胞移植非適応の患者に対するランダム比較試験. 
  • Ld継続群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを28日ごとに病勢進行まで投与、 Ld18群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを18サイクル投与、 MPT群:メルファラン+プレドニゾン+サリドマイドを42 日ごとに12サイクル投与.
  •  PFS、 OS、 奏効率、 安全性について比較.
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値37ヵ月.
  • PFS中央値:Ld継続群 25.5 ヵ月、 Ld18群 20.7 ヵ月、 MPT群 21.2 ヵ月.
  • PFS:Ld継続群での病勢進行または死亡のリスクが有意に低かった.  (MPT群との比較:HR0.72、 95%CI 0.61-0.85、 p<0.001、 Ld18群と比較:HR0.70、 95%CI 0.60-0.82、 p<0.001)
  • OSの中間解析では、 3年目の全生存率はLd継続群 70%、 Ld18群 66%、 MPT群 62%、 4年目の全生存率は、 それぞれ59%、 56%、 51%. 
  • MPT群と比較してLd継続群の死亡リスクは22%低下したが、 有意水準 (p<0.0096) には到達しなかった.  (HR0.78、 95%CI 0.64-0.96、 p=0.02)
  • 奏効率:Ld継続群 75%、 Ld18群 73%は、 MPT群 62%よりも有意に高かった (p<0.001) . 非常に良好な部分奏効以上を達成した患者割合は、 それぞれ44%、 43%、 28%、 完全奏効率は、 それぞれ15%、 14%、 9%であった.
  • Grade3または4の有害事象:Ld継続群 85%、 Ld18群 80%、 MPT群 89%.
  • 浸潤性第二原発がん:Ld継続群 3%、 Ld18群 6%、 MPT群 5%. 血液がん (AMLおよびMDS) は、 Ld継続群またはLd18群 (1%未満) よりもMPT群 (2%) で頻度が高かった. 固形腫瘍は、 Ld継続群 3%、 Ld18群 5%、 MPT群 3%に認められた.
N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):906-17.より引用

参考文献

  1. N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):906-17.

最終更新:2022年8月23日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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その他

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主な有害事象

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骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 28%)
  • 貧血 (≧Grade3 18%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 8%)
  • リンパ球減少 (≧Grade3 6%)
  • 白血球減少 (≧Grade3 5%)

重大な有害事象

  • 感染症 (≧Grade3 29%)
  • 心機能障害 (≧Grade3 12%)

その他

  • 肺炎 (≧Grade3 8%)
  • 深部静脈血栓症 (肺塞栓含む) (≧Grade3 8%)
  • 無力症 (≧Grade3 8%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 7%)
  • 背部痛 (≧Grade3 7%)
  • 高K血症 (≧Grade3 7%)
  • 高血糖 (≧Grade3 5%)
  • 発疹 (≧Grade3 6%)
  • 白内障 (≧Grade3 6%)
  • 呼吸困難 (≧Grade3 6%)
  • 便秘 (≧Grade3 2%)
  • 末梢神経障害 (≧Grade3 1%)

特徴と注意点

特徴

  • レナリドミド (Lenalidomide:LEN) 免疫調節薬であり、 セレブロンに結合しIKZF1/3の分解を促進することで、 骨髄腫細胞の増殖を抑制し、 免疫細胞を活性化する. 
  • Ld療法は、 初発及び再発難治性の多発性骨髄腫における標準治療の一つ. 
  • 幹細胞採取の効率が低下する可能性があり、 導入療法に使用する場合は4コース以内に留める.
  • 移植非適応の初回治療では18コースまたは再発・再燃まで継続.
  • Ld療法は75歳以上/未満でも同等の効果が示されており、 有害事象についても75歳以上/未満で同程度であった¹⁾. 

LEN投与時の注意点

*適正管理手順は「ブリストル・マイヤーズ・スクイブ」 の外部サイトへ遷移します.
  • 血栓塞栓症予防に抗血小板薬又は抗凝固薬の予防投与を推奨.
  • 二次性発がんが増える可能性がある.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

LENの腎機能による投与量調整

  • LENは腎機能 (CrCLやeGFR)により投与量を調整する.
  • 30≦CrCL<60mL/minの場合:LEN 10mgより開始し、 2コース終了後に忍容可能なら15mgへ増量検討.
  • 透析を行っておらずCrCl<30mL/minの場合:LEN 15mg/日を2日に1回.
  • 透析患者の場合:LEN 5mgを1日1回 (透析日は透析後に投与).

関連する臨床試験の結果

FIRST試験¹⁾

概要

  • 造血幹細胞移植非適応の患者に対するランダム比較試験. 
  • Ld継続群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを28日ごとに病勢進行まで投与、 Ld18群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを18サイクル投与、 MPT群:メルファラン+プレドニゾン+サリドマイドを42 日ごとに12サイクル投与.
  •  PFS、 OS、 奏効率、 安全性について比較.
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値37ヵ月.
  • PFS中央値:Ld継続群 25.5 ヵ月、 Ld18群 20.7 ヵ月、 MPT群 21.2 ヵ月.
  • PFS:Ld継続群での病勢進行または死亡のリスクが有意に低かった.  (MPT群との比較:HR0.72、 95%CI 0.61-0.85、 p<0.001、 Ld18群と比較:HR0.70、 95%CI 0.60-0.82、 p<0.001)
  • OSの中間解析では、 3年目の全生存率はLd継続群 70%、 Ld18群 66%、 MPT群 62%、 4年目の全生存率は、 それぞれ59%、 56%、 51%. 
  • MPT群と比較してLd継続群の死亡リスクは22%低下したが、 有意水準 (p<0.0096) には到達しなかった.  (HR0.78、 95%CI 0.64-0.96、 p=0.02)
  • 奏効率:Ld継続群 75%、 Ld18群 73%は、 MPT群 62%よりも有意に高かった (p<0.001) . 非常に良好な部分奏効以上を達成した患者割合は、 それぞれ44%、 43%、 28%、 完全奏効率は、 それぞれ15%、 14%、 9%であった.
  • Grade3または4の有害事象:Ld継続群 85%、 Ld18群 80%、 MPT群 89%.
  • 浸潤性第二原発がん:Ld継続群 3%、 Ld18群 6%、 MPT群 5%. 血液がん (AMLおよびMDS) は、 Ld継続群またはLd18群 (1%未満) よりもMPT群 (2%) で頻度が高かった. 固形腫瘍は、 Ld継続群 3%、 Ld18群 5%、 MPT群 3%に認められた.
N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):906-17.より引用

参考文献

  1. N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):906-17.

最終更新:2022年8月23日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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