治療スケジュール
概要
監修医師

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²1Day 1

IFM:イホスファミド(イホマイド®)

投与量コース投与日
1,500mg/m²1Day 2~4

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
100mg/m²1Day 2~4

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body1Day 2~4

L-ASP:L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ®)

投与量コース投与日
6000K.U/m²1Day 8、10、12、14、16、18、20

前投薬

Day1~4は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
悪心嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮. ただし、 ステロイドの血中濃度上昇に注意.

その他

1コースは28日間.
MTX投与開始30時間後からロイコボリン救援療法を開始 (詳細は概要欄を参照).
出血性膀胱炎の予防にメスナを投与 (詳細は概要欄を参照).
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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.¹⁾ より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 100%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 100%)
  • 貧血 (≧Grade3 50%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 63%)

重大な有害事象

  • 低フィブリノゲン血症 (≧Grade3 11%)
  • APTT延長 (≧Grade3 11%)
  • 低アルブミン血症 (≧Grade3 16%)
  • 高ビリルビン血症 (≧Grade3 11%)
  • AST上昇 (≧Grade3 32%)
  • ALT上昇 (≧Grade3 32%)
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 32%)
  • 高血糖 (≧Grade3 18%)
  • アミラーゼ上昇 (≧Grade3 18%)
  • 食欲不振 (≧Grade3 24%)
  • 下痢 (≧Grade3 11%)
  • 嘔気 (≧Grade3 13%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 13%)
  • 感染症 (≧Grade3 61%)

その他

  • 嘔吐 (≧Grade3 5%)
  • 傾眠 (≧Grade3 8%)
  • 脳症 (≧Grade3 3%)

特徴と注意点

  • SMILE療法は、 新たに診断されたステージIV、 再発性または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫、 鼻型 (ENKL) に対して推奨される標準治療の一つ. 
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 Day 2~Day 4までロイコボリン®救援療法 (15mg/6hr毎) を行う
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1µM未満、 0.1µM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1µM未満、 0.1µM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリン®の増量や投与延長を行う. 
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用を避ける
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサン®) の使用、 尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2000~3000mL/m²/日) 、 尿のアルカリ化を行う
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、 4時間後、 8時間後に行う (上記レジメンであればメスナ300mg/m²/回を3回) .
  • G-CSFはDay 6から開始し、 L-アスパラギナーゼの投与に関わらずWBC>5000/µLまで継続
  • L-アスパラキナーゼ投与時はアナフィラキシーに注意し、 凝固系、 膵および肝機能の検査を行う急性膵炎が発現した場合は投与の中止を検討. 

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.¹⁾

概要

  • ステージIV、 再発、 または難治性の節外性NK/ T細胞リンパ腫、 鼻型 (ENKL) を対象とした第2相試験. 
  • SMILE療法における奏効率、 OS、 PFS、 毒性を評価. 
OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値24ヵ月. 
  • 38人の患者のうち、 CRは17人 (45%) であり、 ORRは79% (90%CI 65-89) . 新たにステージIVの疾患と診断された患者と最初の再発性疾患の患者間でORRまたはCR率に差はなかった. 
  • 1年OS率:55% (95%CI 38-69)
  • 1年PFS:53% (95%CI 36-67) . 
  • SMILE療法に反応を示した患者はOSが高く、 再発性疾患の患者は、 難治性疾患の患者と比較して、 1年OS 79%およびPFS 71%が良好であった (それぞれp = .04および.05) . 
  • 自家HSCTを受けた患者は、 より良いOSとPFSを示す傾向があったが、 その差は統計的に有意ではなかった. 
  • 毒性については、 グレード4の好中球減少症の頻度が高かった (92%) . 新たにステージIVと診断された患者と再発患者のグレード4の血液毒性率は、 それぞれ95%と93%、 グレード4の非血液毒性率は、 それぞれ35%と14%. これらはいずれも統計的に有意ではなかった (p=0.99およびp=0.25).
  • SMILE療法は骨髄抑制と感染のリスクが高く、 特に化学療法開始6日目から顕著となるため、 G-CSFの使用は必須と考えられた. 
  • SMILE療法2サイクル後のORR 79% (90%CI 65-89) は閾値ORR 35%を超え、 1年OS率 55%も以前の治療と比較して大幅に改善された. 
J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.より引用

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.

最終更新:2022年8月29日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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投与量コース投与日
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投与量コース投与日
1,500mg/m²1Day 2~4

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
100mg/m²1Day 2~4

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body1Day 2~4

L-ASP:L-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ®)

投与量コース投与日
6000K.U/m²1Day 8、10、12、14、16、18、20

前投薬

Day1~4は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
悪心嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮. ただし、 ステロイドの血中濃度上昇に注意.

その他

1コースは28日間.
MTX投与開始30時間後からロイコボリン救援療法を開始 (詳細は概要欄を参照).
出血性膀胱炎の予防にメスナを投与 (詳細は概要欄を参照).

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.¹⁾ より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 100%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 100%)
  • 貧血 (≧Grade3 50%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 63%)

重大な有害事象

  • 低フィブリノゲン血症 (≧Grade3 11%)
  • APTT延長 (≧Grade3 11%)
  • 低アルブミン血症 (≧Grade3 16%)
  • 高ビリルビン血症 (≧Grade3 11%)
  • AST上昇 (≧Grade3 32%)
  • ALT上昇 (≧Grade3 32%)
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 32%)
  • 高血糖 (≧Grade3 18%)
  • アミラーゼ上昇 (≧Grade3 18%)
  • 食欲不振 (≧Grade3 24%)
  • 下痢 (≧Grade3 11%)
  • 嘔気 (≧Grade3 13%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 13%)
  • 感染症 (≧Grade3 61%)

その他

  • 嘔吐 (≧Grade3 5%)
  • 傾眠 (≧Grade3 8%)
  • 脳症 (≧Grade3 3%)

特徴と注意点

  • SMILE療法は、 新たに診断されたステージIV、 再発性または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫、 鼻型 (ENKL) に対して推奨される標準治療の一つ. 
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 Day 2~Day 4までロイコボリン®救援療法 (15mg/6hr毎) を行う
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1µM未満、 0.1µM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1µM未満、 0.1µM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリン®の増量や投与延長を行う. 
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用を避ける
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサン®) の使用、 尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2000~3000mL/m²/日) 、 尿のアルカリ化を行う
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、 4時間後、 8時間後に行う (上記レジメンであればメスナ300mg/m²/回を3回) .
  • G-CSFはDay 6から開始し、 L-アスパラギナーゼの投与に関わらずWBC>5000/µLまで継続
  • L-アスパラキナーゼ投与時はアナフィラキシーに注意し、 凝固系、 膵および肝機能の検査を行う急性膵炎が発現した場合は投与の中止を検討. 

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.¹⁾

概要

  • ステージIV、 再発、 または難治性の節外性NK/ T細胞リンパ腫、 鼻型 (ENKL) を対象とした第2相試験. 
  • SMILE療法における奏効率、 OS、 PFS、 毒性を評価. 
OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値24ヵ月. 
  • 38人の患者のうち、 CRは17人 (45%) であり、 ORRは79% (90%CI 65-89) . 新たにステージIVの疾患と診断された患者と最初の再発性疾患の患者間でORRまたはCR率に差はなかった. 
  • 1年OS率:55% (95%CI 38-69)
  • 1年PFS:53% (95%CI 36-67) . 
  • SMILE療法に反応を示した患者はOSが高く、 再発性疾患の患者は、 難治性疾患の患者と比較して、 1年OS 79%およびPFS 71%が良好であった (それぞれp = .04および.05) . 
  • 自家HSCTを受けた患者は、 より良いOSとPFSを示す傾向があったが、 その差は統計的に有意ではなかった. 
  • 毒性については、 グレード4の好中球減少症の頻度が高かった (92%) . 新たにステージIVと診断された患者と再発患者のグレード4の血液毒性率は、 それぞれ95%と93%、 グレード4の非血液毒性率は、 それぞれ35%と14%. これらはいずれも統計的に有意ではなかった (p=0.99およびp=0.25).
  • SMILE療法は骨髄抑制と感染のリスクが高く、 特に化学療法開始6日目から顕著となるため、 G-CSFの使用は必須と考えられた. 
  • SMILE療法2サイクル後のORR 79% (90%CI 65-89) は閾値ORR 35%を超え、 1年OS率 55%も以前の治療と比較して大幅に改善された. 
J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.より引用

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2011 Nov 20;29(33):4410-6.

最終更新:2022年8月29日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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