治療スケジュール
概要
監修医師

PTN:ペントスタチン(コホリン®)

投与量コース投与日
4~5mg/m² 静注1~Day 1

その他

1コースは7日間 or 14日間. 最大奏効が得られたら終了を検討.
CrCl25ml/min未満は禁忌.
腎機能低下者は減量し、 低用量から開始 (概要欄参照).
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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

添付文書 (総症例データ) より引用

ヘアリー細胞白血病における有害事象について詳細な記載なし

骨髄抑制

  • 白血球減少 (19.5%)
  • 血小板減少 (7.8%)
  • 貧血 (4.2%)

主な有害事象

  • 食欲不振(12.8%)
  • 発熱(12.5%)
  • 嘔吐(11.4%)

その他

  • 倦怠感 (8.4%)
  • 悪心 (7.5%)
  • ALT増加 (7.2%)
  • AST増加 (6.1%)
  • 腎障害 (5%以上)

特徴と注意点

  • ヘアリー細胞白血病 (HCL) は、 活性化記憶B細胞由来と想定されている毛髪様細胞突起を有するhairy cellが骨髄・赤脾髄でびまん性に増殖し、 末梢血に出現する低悪性度B細胞性腫瘍.
  • HCL患者のうち、 治療適応と判断された際に推奨される治療法の一つ.
  • ペントスタチンとクラドリビンの直接比較試験は無いが、 効果は同等と考えられている¹⁾.
  • 再発例においても、 プリンアナログ単剤の効果は認められているが、 再発難治例の場合はリツキシマブとの併用も評価されている¹⁾.
  • プリンアナログによる初回治療後に再発したHCLでは、 リツキシマブ単剤療法の有効性は高くないとの報告あり²⁾.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/mm³、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮. 
  • 抗ヘルペスウイルス薬やST合剤の予防内服を考慮.
  • 予防内服の推奨期間は、 最低でも2ヵ月間、 かつCD4陽性細胞数が200/mm³以上となるまで.
  • 好中球減少期間は、 広域抗菌薬による予防内服も考慮.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う

各薬剤の副作用と対策

  • 腎不全患者 (CrCl 25ml/min未満) には禁忌.
  • 腎障害がある場合は減量を行う. 低用量から開始し忍容性を確認しながら増量を検討.
CrCl 59~40ml/min:2~4mg/m²
CrCl 39~25ml/min:1~3mg/m²

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 1995 Apr;13(4):974-82.³⁾

概要

  • 対象:未治療HCL患者356人
  • 第3相無作為化比較試験
  • ペントスタチン又はインターフェロンα-2aを1対1で割付け
 ペントスタチン:4mg/m² 静注投与を2週間おき
  • 治療効果がない場合、 クロスオーバーを適応
  • 奏効、 無再発生存期間、 毒性を比較

結果

  • 追跡期間中央値 57ヵ月
  • 適格者:356人のうち 313人
  • 完全寛解:ペントスタチン群 76% vs インターフェロン群 11%
  • 完全または部分寛解:ペントスタチン群 79% vs インターフェロン群 38%
  • ペントスタチン群の奏効率は有意に高く (P<0.0001)、 無再発生存期間も有意に長かった (P<0.0001).
  • 多変量解析による完全寛解達成の重要因子:ヘモグロビン値が高い (両側 P=0.024)、 若年(P=0.0085)、 脾腫がないか少ない (P = 0.0029).
  • 両薬剤とも忍容性が良好であったが、 骨髄抑制はペントスタチンでより頻繁にみられた (P=0.013).
  • 患者の年齢と臨床状態はペントスタチンの治療成績に影響を及ぼした.

Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.⁴⁾

概要

  • 上記試験³⁾ の長期追跡調査結果
  • インターフェロンの治療効果がない患者にはクロスオーバーを適応
  • 対象患者 241人 (ペントスタチン群154人、 クロスオーバー群87人)
  • 生存、 再発、 後続の悪性腫瘍を追跡調査

結果

  • 追跡期間中央値 9.3年間
  • 全患者の推定5年生存率:90% (95%CI; 87~94%)
  • 全患者の推定10年生存率:81% (95%CI; 75~86%)
Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.より引用
  • ペントスタチンで完全奏効となった173人の5年及び10年無再発生存率は、 それぞれ 85% (95%CI; 80~91%) 及び 67% (95%CI; 58~76%) であった.
  • ペントスタチン群とクロスオーバー群の生存曲線は類似していた.
  • 10年生存率、 無再発生存率共に、 若い患者 (55歳未満) で有意に高かった.
Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.より引用
  • HCLに起因する死亡は40例中2例のみであり、 死亡率及び後続の悪性腫瘍発生率は一般集団の予想よりも高くなかった.
  • ペントスタチンはHCLに対して非常に有効なレジメンであり、 持続的な完全寛解をもたらすことが示された.
  • ペントスタチンによる後続の悪性腫瘍増加は認められなかった.

参考文献

  1. Br J Haematol. 2009 Jun;145(6):733-40.
  2. Haematologica. 2001 Oct;86(10):1046-50.
  3. J Clin Oncol. 1995 Apr;13(4):974-82.
  4. Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.

最終更新:2022年6月22日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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主な有害事象

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ヘアリー細胞白血病における有害事象について詳細な記載なし

骨髄抑制

  • 白血球減少 (19.5%)
  • 血小板減少 (7.8%)
  • 貧血 (4.2%)

主な有害事象

  • 食欲不振(12.8%)
  • 発熱(12.5%)
  • 嘔吐(11.4%)

その他

  • 倦怠感 (8.4%)
  • 悪心 (7.5%)
  • ALT増加 (7.2%)
  • AST増加 (6.1%)
  • 腎障害 (5%以上)

特徴と注意点

  • ヘアリー細胞白血病 (HCL) は、 活性化記憶B細胞由来と想定されている毛髪様細胞突起を有するhairy cellが骨髄・赤脾髄でびまん性に増殖し、 末梢血に出現する低悪性度B細胞性腫瘍.
  • HCL患者のうち、 治療適応と判断された際に推奨される治療法の一つ.
  • ペントスタチンとクラドリビンの直接比較試験は無いが、 効果は同等と考えられている¹⁾.
  • 再発例においても、 プリンアナログ単剤の効果は認められているが、 再発難治例の場合はリツキシマブとの併用も評価されている¹⁾.
  • プリンアナログによる初回治療後に再発したHCLでは、 リツキシマブ単剤療法の有効性は高くないとの報告あり²⁾.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/mm³、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮. 
  • 抗ヘルペスウイルス薬やST合剤の予防内服を考慮.
  • 予防内服の推奨期間は、 最低でも2ヵ月間、 かつCD4陽性細胞数が200/mm³以上となるまで.
  • 好中球減少期間は、 広域抗菌薬による予防内服も考慮.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う

各薬剤の副作用と対策

  • 腎不全患者 (CrCl 25ml/min未満) には禁忌.
  • 腎障害がある場合は減量を行う. 低用量から開始し忍容性を確認しながら増量を検討.
CrCl 59~40ml/min:2~4mg/m²
CrCl 39~25ml/min:1~3mg/m²

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 1995 Apr;13(4):974-82.³⁾

概要

  • 対象:未治療HCL患者356人
  • 第3相無作為化比較試験
  • ペントスタチン又はインターフェロンα-2aを1対1で割付け
 ペントスタチン:4mg/m² 静注投与を2週間おき
  • 治療効果がない場合、 クロスオーバーを適応
  • 奏効、 無再発生存期間、 毒性を比較

結果

  • 追跡期間中央値 57ヵ月
  • 適格者:356人のうち 313人
  • 完全寛解:ペントスタチン群 76% vs インターフェロン群 11%
  • 完全または部分寛解:ペントスタチン群 79% vs インターフェロン群 38%
  • ペントスタチン群の奏効率は有意に高く (P<0.0001)、 無再発生存期間も有意に長かった (P<0.0001).
  • 多変量解析による完全寛解達成の重要因子:ヘモグロビン値が高い (両側 P=0.024)、 若年(P=0.0085)、 脾腫がないか少ない (P = 0.0029).
  • 両薬剤とも忍容性が良好であったが、 骨髄抑制はペントスタチンでより頻繁にみられた (P=0.013).
  • 患者の年齢と臨床状態はペントスタチンの治療成績に影響を及ぼした.

Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.⁴⁾

概要

  • 上記試験³⁾ の長期追跡調査結果
  • インターフェロンの治療効果がない患者にはクロスオーバーを適応
  • 対象患者 241人 (ペントスタチン群154人、 クロスオーバー群87人)
  • 生存、 再発、 後続の悪性腫瘍を追跡調査

結果

  • 追跡期間中央値 9.3年間
  • 全患者の推定5年生存率:90% (95%CI; 87~94%)
  • 全患者の推定10年生存率:81% (95%CI; 75~86%)
Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.より引用
  • ペントスタチンで完全奏効となった173人の5年及び10年無再発生存率は、 それぞれ 85% (95%CI; 80~91%) 及び 67% (95%CI; 58~76%) であった.
  • ペントスタチン群とクロスオーバー群の生存曲線は類似していた.
  • 10年生存率、 無再発生存率共に、 若い患者 (55歳未満) で有意に高かった.
Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.より引用
  • HCLに起因する死亡は40例中2例のみであり、 死亡率及び後続の悪性腫瘍発生率は一般集団の予想よりも高くなかった.
  • ペントスタチンはHCLに対して非常に有効なレジメンであり、 持続的な完全寛解をもたらすことが示された.
  • ペントスタチンによる後続の悪性腫瘍増加は認められなかった.

参考文献

  1. Br J Haematol. 2009 Jun;145(6):733-40.
  2. Haematologica. 2001 Oct;86(10):1046-50.
  3. J Clin Oncol. 1995 Apr;13(4):974-82.
  4. Blood. 2000 Nov 1;96(9):2981-6.

最終更新:2022年6月22日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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