セミプリマブ (リブタヨ®) +白金製剤併用化学療法
リブタヨ®点滴静注350mg (セミプリマブ)
【1コース】21日間
【催吐性】併用レジメンよって異なる
【FN発症】低リスク*

セミプリマブ350mgを3週ごとに30分で点滴
セミプリマブと併用して、 以下の白金製剤併用化学療法を4サイクル施行する。 非扁平上皮癌でPEMを選択した患者は維持療法を継続する。 他の抗癌薬との併用は認められていない。

Nat Med. 2022;28(11):2374-2380.
未治療の局所進行・転移性NSCLC466例 (EGFR、 ALK、 ROS1変異除外) を対象とした第III相無作為化比較試験。 セミプリマブ+化学療法群312例とプラセボ+化学療法群154例に2:1で無作為化し、 主要評価項目はOSとした。
【有効性】セミプリマブ群 (vs プラセボ群)
- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 13.0ヵ月)

- PFS中央値 8.2ヵ月 (vs 5.0ヵ月)
- 奏効率 43.3% (vs 22.7%)
- 奏効期間中央値 15.6ヵ月 (vs 7.3ヵ月)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 貧血 43.6% (9.9%)
- 脱毛症 36.9% (0%)
- 悪心 25.0% (0%)
- 高血糖 17.6% (1.9%)
- 食欲減退 17.0% (1.0%)
- ALT増加 16.3% (2.2%)
- 関節痛 15.4% (0.6%)
- 好中球減少症 15.4% (5.8%)
- AST増加 14.7% (0.3%)
- 便秘 13.8% (0.3%)
- 血小板減少症 13.1% (2.6%)
- 呼吸困難 12.5% (2.2%)
- 無力症 12.2% (1.9%)
- 疲労 12.2% (2.2%)
- 嘔吐 12.2% (0%)
- 体重減少 11.2% (1.3%)
- 不眠症 10.9% (0%)
- 下痢 10.6% (1.3%)
- 低アルブミン血症 10.3% (0.6%)
EMPOWER-Lung 3試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1,500/mm³
- 血小板数≧10万/mm³
- ヘモグロビン≧10.0g/dL
- 腎機能 : GFR≧30mL/min/1.73m²
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦3×ULN
EMPOWER-Lung 3試験³⁾では、 セミプリマブは減量規定がなく、 有害事象発現時は投与中止または延期で対応した。
白金製剤併用化学療法は、 各薬剤の処方情報や実臨床ガイドラインに基づき減量・休薬を行い、 安全性や毒性により忍容困難となった場合は永久中止とされた。
EMPOWER-Lung 3試験³⁾では、 GFR<50mL/min/1.73m²の患者にはCDDP併用レジメンは使用しないこととされた。
CDDP⁴⁾ :
- 重篤な腎障害例への投与は禁忌
- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない
- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量
CBDCA⁴⁾ :
- Calvert式で投与量を算出する
PEM⁴⁾ :
- 重度の腎機能障害患者には投与しない。 なお、 CrCl<45mL/minの患者は別の臨床試験で除外されている
PTX⁴⁾ :
- 減量不要

化学療法未治療かつEGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子/ROS1融合遺伝子陰性の切除不能進行・再発NSCLCにおいて有効性が示されている⁵⁾。
PD-L1発現率により有効性が異なる傾向があるため、PD-L1発現率を確認して投与可否を判断することが望ましい。 PD-L1発現率<1%の患者では他の治療選択肢も考慮する⁵⁾。
セミプリマブはヒト抗PD-1抗体で、 PD-1とPD-L1/PD-L2の結合を阻害し、 がん抗原特異的T細胞の増殖・活性化・腫瘍細胞への細胞傷害活性を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。
- CDDPによる腎障害予防のための十分な水分負荷と利尿管理を行う
- 水分負荷に対する心機能の耐容性を事前に確認する
- PEM関連の皮疹が認められた場合、 次コースより予防的ステロイド投与を検討する
過度の免疫反応 : 本剤のT細胞活性化作用により様々な疾患・病態が出現し得る。 異常時は免疫反応に起因する副作用を考慮し、 鑑別診断を行う。 投与終了後も重篤な副作用が出現することがあるため継続的に観察する。
間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽等の初期症状を確認し、 胸部X線を実施する。 必要に応じてCTや血清マーカーも検査する。
肝障害 : 肝不全、 肝機能障害、 肝炎があらわれることがあるため、 投与前および投与中に定期的に肝機能検査を行う。
内分泌障害 : 甲状腺機能障害、 下垂体機能障害、 副腎機能障害があらわれることがある。 投与前および投与中にTSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾール等を定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。
1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖値上昇に注意する。
腎障害 : 投与前および投与中に定期的に腎機能検査を行い観察する。
筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などに注意して観察する。
重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害があらわれることがあるため十分に観察する。
心筋炎・心膜炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などがあらわれることがあるため注意して観察する。
- Infusion reaction
- 大腸炎・重度の下痢
- 筋炎・横紋筋融解症・重症筋無力症
- 心筋炎・心膜炎
- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎等)
- 内分泌障害 (甲状腺機能障害・副腎機能障害・下垂体機能障害等)
- 1型糖尿病
- 重度の皮膚障害
- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)
- 脳炎・髄膜炎
- 肝不全・肝機能障害・肝炎
- 間質性肺疾患
- 臓器移植歴患者での使用
- 静脈血栓塞栓症
- 免疫性血小板減少症
最終更新日 : 2025年10月19日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修 : HOKUTO編集部監修医師
リブタヨ®点滴静注350mg (セミプリマブ)
【1コース】21日間
【催吐性】併用レジメンよって異なる
【FN発症】低リスク*

セミプリマブ350mgを3週ごとに30分で点滴
セミプリマブと併用して、 以下の白金製剤併用化学療法を4サイクル施行する。 非扁平上皮癌でPEMを選択した患者は維持療法を継続する。 他の抗癌薬との併用は認められていない。

Nat Med. 2022;28(11):2374-2380.
未治療の局所進行・転移性NSCLC466例 (EGFR、 ALK、 ROS1変異除外) を対象とした第III相無作為化比較試験。 セミプリマブ+化学療法群312例とプラセボ+化学療法群154例に2:1で無作為化し、 主要評価項目はOSとした。
【有効性】セミプリマブ群 (vs プラセボ群)
- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 13.0ヵ月)

- PFS中央値 8.2ヵ月 (vs 5.0ヵ月)
- 奏効率 43.3% (vs 22.7%)
- 奏効期間中央値 15.6ヵ月 (vs 7.3ヵ月)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 貧血 43.6% (9.9%)
- 脱毛症 36.9% (0%)
- 悪心 25.0% (0%)
- 高血糖 17.6% (1.9%)
- 食欲減退 17.0% (1.0%)
- ALT増加 16.3% (2.2%)
- 関節痛 15.4% (0.6%)
- 好中球減少症 15.4% (5.8%)
- AST増加 14.7% (0.3%)
- 便秘 13.8% (0.3%)
- 血小板減少症 13.1% (2.6%)
- 呼吸困難 12.5% (2.2%)
- 無力症 12.2% (1.9%)
- 疲労 12.2% (2.2%)
- 嘔吐 12.2% (0%)
- 体重減少 11.2% (1.3%)
- 不眠症 10.9% (0%)
- 下痢 10.6% (1.3%)
- 低アルブミン血症 10.3% (0.6%)
EMPOWER-Lung 3試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1,500/mm³
- 血小板数≧10万/mm³
- ヘモグロビン≧10.0g/dL
- 腎機能 : GFR≧30mL/min/1.73m²
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦3×ULN
EMPOWER-Lung 3試験³⁾では、 セミプリマブは減量規定がなく、 有害事象発現時は投与中止または延期で対応した。
白金製剤併用化学療法は、 各薬剤の処方情報や実臨床ガイドラインに基づき減量・休薬を行い、 安全性や毒性により忍容困難となった場合は永久中止とされた。
EMPOWER-Lung 3試験³⁾では、 GFR<50mL/min/1.73m²の患者にはCDDP併用レジメンは使用しないこととされた。
CDDP⁴⁾ :
- 重篤な腎障害例への投与は禁忌
- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない
- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量
CBDCA⁴⁾ :
- Calvert式で投与量を算出する
PEM⁴⁾ :
- 重度の腎機能障害患者には投与しない。 なお、 CrCl<45mL/minの患者は別の臨床試験で除外されている
PTX⁴⁾ :
- 減量不要

化学療法未治療かつEGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子/ROS1融合遺伝子陰性の切除不能進行・再発NSCLCにおいて有効性が示されている⁵⁾。
PD-L1発現率により有効性が異なる傾向があるため、PD-L1発現率を確認して投与可否を判断することが望ましい。 PD-L1発現率<1%の患者では他の治療選択肢も考慮する⁵⁾。
セミプリマブはヒト抗PD-1抗体で、 PD-1とPD-L1/PD-L2の結合を阻害し、 がん抗原特異的T細胞の増殖・活性化・腫瘍細胞への細胞傷害活性を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。
- CDDPによる腎障害予防のための十分な水分負荷と利尿管理を行う
- 水分負荷に対する心機能の耐容性を事前に確認する
- PEM関連の皮疹が認められた場合、 次コースより予防的ステロイド投与を検討する
過度の免疫反応 : 本剤のT細胞活性化作用により様々な疾患・病態が出現し得る。 異常時は免疫反応に起因する副作用を考慮し、 鑑別診断を行う。 投与終了後も重篤な副作用が出現することがあるため継続的に観察する。
間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽等の初期症状を確認し、 胸部X線を実施する。 必要に応じてCTや血清マーカーも検査する。
肝障害 : 肝不全、 肝機能障害、 肝炎があらわれることがあるため、 投与前および投与中に定期的に肝機能検査を行う。
内分泌障害 : 甲状腺機能障害、 下垂体機能障害、 副腎機能障害があらわれることがある。 投与前および投与中にTSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾール等を定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。
1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖値上昇に注意する。
腎障害 : 投与前および投与中に定期的に腎機能検査を行い観察する。
筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などに注意して観察する。
重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害があらわれることがあるため十分に観察する。
心筋炎・心膜炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などがあらわれることがあるため注意して観察する。
- Infusion reaction
- 大腸炎・重度の下痢
- 筋炎・横紋筋融解症・重症筋無力症
- 心筋炎・心膜炎
- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎等)
- 内分泌障害 (甲状腺機能障害・副腎機能障害・下垂体機能障害等)
- 1型糖尿病
- 重度の皮膚障害
- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)
- 脳炎・髄膜炎
- 肝不全・肝機能障害・肝炎
- 間質性肺疾患
- 臓器移植歴患者での使用
- 静脈血栓塞栓症
- 免疫性血小板減少症
最終更新日 : 2025年10月19日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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