デュルバルマブ (イミフィンジ®) + 白金製剤併用化学療法
イミフィンジ®点滴静注 (デュルバルマブ)
【1コース】術前 21日間、 術後 28日間
【催吐性】併用レジメンで異なる
【FN発症】低リスク*
術前治療 : 白金製剤併用化学療法と併用し、 デュルバルマブ1500mg/body (≦30kgは20mg/kg) を3週毎に4サイクル投与

病理組織型に基づき以下の化学療法を選択。

術後治療 : デュルバルマブ1500mg/body (≦30kgは20mg/kg) を4週間毎に12サイクル投与

N Engl J Med. 2023;389(18):1672-1684.
切除可能ステージII~IIIB (N2) のNSCLC患者802例を対象に実施された第III相無作為化比較試験。 患者は、 手術前に白金製剤併用化学療法+デュルバルマブ (401例) またはプラセボ (401例) を3週毎に4サイクル投与し、 その後手術を行い、 術後はデュルバルマブまたはプラセボを4週毎に12サイクル投与した。 主要評価項目は無イベント生存期間 (EFS) *と病理学的完全奏効 (pCR) であった。
【有効性】デュルバルマブ群 (vs プラセボ群)
- EFS中央値 : 未到達 (vs 25.9ヵ月)
- pCR率 : 17.2% (vs 4.3%)
- 術前客観的奏効率 (ORR) : 56.3% (vs 38.0%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 貧血 26.2% (4.5%)
- 悪心 21.4% (0.2%)
- 脱毛 16.5% (0%)
- 好中球数減少 15.5% (9.5%)
- 好中球減少症 15.2% (9.0%)
- 食欲減退 12.2% (0%)
- 便秘 11.0% (0%)
- 倦怠感 10.5% (0%)
- 発疹 9.2% (0.5%)
- 甲状腺機能低下症 9.2% (0%)
- 無力症 8.7% (0%)
- 下痢 8.5% (0.7%)
- 白血球減少 8.5% (2.2%)
- 掻痒症 8.2% (0.2%)
- 嘔吐 8.0% (0.7%)
- ALT上昇 7.5% (0.5%)
- 血小板数減少 7.2% (1.7%)
- 白血球数減少 6.2% (2.0%)
- 血小板減少症 6.2% (1.5%)
- 関節痛 5.2% (0.2%)
AEGEAN試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- ヘモグロビン≧9.0g/dL
- 好中球≧1,500/μL
- 血小板≧10万/μL
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN
- 腎機能 : CrCl>40mL/min
AEGEAN試験³⁾ではデュルバルマブの減量は認められず、 白金製剤併用化学療法の減量は各国の標準診療や添付文書に従うこととされた。
デュルバルマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
CDDP⁴⁾ : 重篤な腎障害例への投与は禁忌
- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない
- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量
CBDCA⁴⁾ : Calvert式で投与量を算出する
GEM⁴⁾ : 腎機能低下や透析時の減量は原則不要。 ただし、 代謝産物dFdUは腎機能低下時に蓄積しやすく、 皮膚障害などの有害事象が増える可能性があるため注意
PEM⁴⁾ : 重度の腎機能障害患者には投与しない。 なお、 CrCl<45mL/minの患者は別の臨床試験で除外されている
PTX⁴⁾ :減量不要
デュルバルマブ :

👨⚕️周術期における免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法において、 初めてカルボプラチン (CBDCA) レジメンの使用が可能となった。 OSの正式な結果は、 現時点では未公表である。
本レジメンは、 切除可能なStage II、 IIIAまたは IIIB (N2) のNSCLCに適応される⁵⁾。
EGFR遺伝子変異陽性またはALK融合遺伝子陽性が確認されている患者は除外
デュルバルマブはヒトPD-L1に対するIgG1κモノクローナル抗体であり、 PD-L1と受容体PD-1の結合を阻害することで抗腫瘍免疫応答を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。
間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽・発熱などの初期症状を確認し、 胸部X線検査を行うなど十分に観察する。 必要に応じて胸部CTや血清マーカー検査も実施する。
内分泌障害 : 甲状腺・副腎・下垂体の機能障害が発現することがあるため、 投与開始前および投与中は定期的に内分泌機能検査 (TSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾールなど) を行い、 患者の状態を十分に観察する。 必要に応じて画像検査を実施する。
1型糖尿病 : 口渇・悪心・嘔吐などの症状や血糖値の上昇に十分注意する。
肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎 : 投与開始前および投与中は定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
腎障害 : 投与開始前および投与中は定期的に腎機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などを十分に観察する。
心筋炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などを十分に観察する。
重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害などを十分に観察する。
Infusion reaction : 投与時には毎回患者の状態を十分に観察する。
- 間質性肺疾患
- 大腸炎・重度の下痢
- 肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎
- 内分泌障害 (甲状腺機能障害、 副腎機能障害、 下垂体機能障害)
- 1型糖尿病
- 腎障害 (間質性腎炎等)
- 筋炎
- 心筋炎
- 重症筋無力症
- 免疫性血小板減少性紫斑病
- 脳炎
- 重度の皮膚障害
- 神経障害 (ギラン・バレー症候群を含む)
- Infusion reaction
最終更新日 : 2025年11月14日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修 : HOKUTO編集部監修医師
イミフィンジ®点滴静注 (デュルバルマブ)
【1コース】術前 21日間、 術後 28日間
【催吐性】併用レジメンで異なる
【FN発症】低リスク*
術前治療 : 白金製剤併用化学療法と併用し、 デュルバルマブ1500mg/body (≦30kgは20mg/kg) を3週毎に4サイクル投与

病理組織型に基づき以下の化学療法を選択。

術後治療 : デュルバルマブ1500mg/body (≦30kgは20mg/kg) を4週間毎に12サイクル投与

N Engl J Med. 2023;389(18):1672-1684.
切除可能ステージII~IIIB (N2) のNSCLC患者802例を対象に実施された第III相無作為化比較試験。 患者は、 手術前に白金製剤併用化学療法+デュルバルマブ (401例) またはプラセボ (401例) を3週毎に4サイクル投与し、 その後手術を行い、 術後はデュルバルマブまたはプラセボを4週毎に12サイクル投与した。 主要評価項目は無イベント生存期間 (EFS) *と病理学的完全奏効 (pCR) であった。
【有効性】デュルバルマブ群 (vs プラセボ群)
- EFS中央値 : 未到達 (vs 25.9ヵ月)
- pCR率 : 17.2% (vs 4.3%)
- 術前客観的奏効率 (ORR) : 56.3% (vs 38.0%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 貧血 26.2% (4.5%)
- 悪心 21.4% (0.2%)
- 脱毛 16.5% (0%)
- 好中球数減少 15.5% (9.5%)
- 好中球減少症 15.2% (9.0%)
- 食欲減退 12.2% (0%)
- 便秘 11.0% (0%)
- 倦怠感 10.5% (0%)
- 発疹 9.2% (0.5%)
- 甲状腺機能低下症 9.2% (0%)
- 無力症 8.7% (0%)
- 下痢 8.5% (0.7%)
- 白血球減少 8.5% (2.2%)
- 掻痒症 8.2% (0.2%)
- 嘔吐 8.0% (0.7%)
- ALT上昇 7.5% (0.5%)
- 血小板数減少 7.2% (1.7%)
- 白血球数減少 6.2% (2.0%)
- 血小板減少症 6.2% (1.5%)
- 関節痛 5.2% (0.2%)
AEGEAN試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- ヘモグロビン≧9.0g/dL
- 好中球≧1,500/μL
- 血小板≧10万/μL
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN
- 腎機能 : CrCl>40mL/min
AEGEAN試験³⁾ではデュルバルマブの減量は認められず、 白金製剤併用化学療法の減量は各国の標準診療や添付文書に従うこととされた。
デュルバルマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
CDDP⁴⁾ : 重篤な腎障害例への投与は禁忌
- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない
- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量
CBDCA⁴⁾ : Calvert式で投与量を算出する
GEM⁴⁾ : 腎機能低下や透析時の減量は原則不要。 ただし、 代謝産物dFdUは腎機能低下時に蓄積しやすく、 皮膚障害などの有害事象が増える可能性があるため注意
PEM⁴⁾ : 重度の腎機能障害患者には投与しない。 なお、 CrCl<45mL/minの患者は別の臨床試験で除外されている
PTX⁴⁾ :減量不要
デュルバルマブ :

👨⚕️周術期における免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法において、 初めてカルボプラチン (CBDCA) レジメンの使用が可能となった。 OSの正式な結果は、 現時点では未公表である。
本レジメンは、 切除可能なStage II、 IIIAまたは IIIB (N2) のNSCLCに適応される⁵⁾。
EGFR遺伝子変異陽性またはALK融合遺伝子陽性が確認されている患者は除外
デュルバルマブはヒトPD-L1に対するIgG1κモノクローナル抗体であり、 PD-L1と受容体PD-1の結合を阻害することで抗腫瘍免疫応答を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。
間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽・発熱などの初期症状を確認し、 胸部X線検査を行うなど十分に観察する。 必要に応じて胸部CTや血清マーカー検査も実施する。
内分泌障害 : 甲状腺・副腎・下垂体の機能障害が発現することがあるため、 投与開始前および投与中は定期的に内分泌機能検査 (TSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾールなど) を行い、 患者の状態を十分に観察する。 必要に応じて画像検査を実施する。
1型糖尿病 : 口渇・悪心・嘔吐などの症状や血糖値の上昇に十分注意する。
肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎 : 投与開始前および投与中は定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
腎障害 : 投与開始前および投与中は定期的に腎機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などを十分に観察する。
心筋炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などを十分に観察する。
重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害などを十分に観察する。
Infusion reaction : 投与時には毎回患者の状態を十分に観察する。
- 間質性肺疾患
- 大腸炎・重度の下痢
- 肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎
- 内分泌障害 (甲状腺機能障害、 副腎機能障害、 下垂体機能障害)
- 1型糖尿病
- 腎障害 (間質性腎炎等)
- 筋炎
- 心筋炎
- 重症筋無力症
- 免疫性血小板減少性紫斑病
- 脳炎
- 重度の皮膚障害
- 神経障害 (ギラン・バレー症候群を含む)
- Infusion reaction
最終更新日 : 2025年11月14日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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