概要
監修医師
リブタヨ®は従来がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌に適応を有していたが、 2025年9月19日に 「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」 が追加承認された。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

リブタヨ®点滴静注350mg (セミプリマブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*

*リジェネロン・ジャパン株式会社の外部サイトへ遷移します。

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】最小度
【FN発症】低リスク*
*EMPOWER-Lung 1試験³⁾のFN発生率0%を基に編集部が分類

セミプリマブ350mgを3週ごとに30分で点滴

リブタヨ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

Key Data|臨床試験結果

📊 EMPOWER-Lung 1試験

Lancet Oncol. 2023;24(9):989-1001.

未治療でPD-L1発現率50%以上、 かつEGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子・ROS1融合遺伝子陰性の切除不能・局所進行・再発または転移性NSCLC患者565例を対象とした第III相無作為化比較試験。 セミプリマブ群と医師選択治療群*に1:1で割付し、 主要評価項目はOSとPFSとされた。 2018年8月のプロトコール改訂以降、 セミプリマブ群で病勢進行した患者は、 セミプリマブを継続しつつ最大4サイクルの白金製剤併用化学療法の追加が認められた。 
*白金系抗癌薬 (カルボプラチン又はシスプラチン) と、 パクリタキセル、 ゲムシタビン塩酸塩又はペメトレキセドとの併用

【有効性】セミプリマブ (vs 医師選択治療)

- OS中央値 26.1ヵ月 (vs 13.3ヵ月)

  • HR 0.57 (95%CI 0.46–0.71) 

- PFS中央値 8.1ヵ月 (vs 5.3ヵ月)

  • HR 0.51 (95%CI 0.42–0.62)

- 奏効率 (ORR) 46% (vs 21%)

- 奏効期間中央値 23.6ヵ月 (vs 5.9ヵ月)

PD-L1発現別の治療効果 :

【安全性】主な有害事象 Grade1-2 (Grade≧3)

Lancet. 2021;397(10274):592-604.より発現率≧3%を抜粋

- ALT上昇 5% (1%)

- 食欲減退 5% (<1%)

- AST上昇 5% (1%)

- 貧血 5% (1%)

- 発疹 4% (1%)

- 下痢 4% (<1%)

- 悪心 4% (0%)

- 関節痛 4% (0%)

- 倦怠感 3% (1%)

- 嘔吐 3% (0%)

- アミラーゼ上昇 3% (<1%)

- 肺炎 3% (<1%)

- 便秘 3% (0%)

- ALP上昇 3% (1%)

各プロトコル

適格基準

EMPOWER-Lung 1試験³⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1,500/mm³

- 血小板数≧10万/mm³

- ヘモグロビン≧9.0g/dL

- 腎機能: GFR>30mL/min/1.73m²

- 肝機能: T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦3×ULN

用量レベル

EMPOWER-Lung 1試験³⁾では、 セミプリマブは減量規定がなく、 有害事象発現時は投与中止または延期で対応した。

腎障害患者に対する用量調整

セミプリマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

リブタヨ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

>> CTCAEを確認する

レジメンの特徴と注意点

本レジメンの位置付け

化学療法未治療でEGFR遺伝子変異、 ALK融合遺伝子、 ROS1融合遺伝子が陰性、 かつPD-L1陽性 (発現率50%以上) の切除不能進行・再発NSCLC患者において有効性が示されている⁴⁾。

化学療法歴のない、 PD-L1発現率50%未満の患者は投与対象とならない⁴⁾。 

作用機序の特徴

セミプリマブはヒト抗PD-1抗体で、 PD-1とPD-L1/PD-L2の結合を阻害し、 がん抗原特異的T細胞の増殖・活性化・腫瘍細胞への細胞傷害活性を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。

レジメン適用時の注意事項

過度の免疫反応 : 本剤のT細胞活性化作用により様々な疾患・病態が出現し得る。 異常時は免疫反応に起因する副作用を考慮し、 鑑別診断を行う。 投与終了後も重篤な副作用が出現することがあるため継続的に観察する。

間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽等の初期症状を確認し、 胸部X線を実施する。 必要に応じてCTや血清マーカーも検査する。

肝障害 : 肝不全、 肝機能障害、 肝炎があらわれることがあるため、 投与前および投与中に定期的に肝機能検査を行う。

内分泌障害 : 甲状腺機能障害、 下垂体機能障害、 副腎機能障害があらわれることがある。 投与前および投与中にTSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾール等を定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。

1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖値上昇に注意する。

腎障害 : 投与前および投与中に定期的に腎機能検査を行い観察する。

筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などに注意して観察する。

重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害があらわれることがあるため十分に観察する。

心筋炎・心膜炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などがあらわれることがあるため注意して観察する。

RMP【重要な特定されたリスク】

リブタヨ®医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- Infusion reaction

- 大腸炎・重度の下痢

- 筋炎・横紋筋融解症・重症筋無力症

- 心筋炎・心膜炎

- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎等)

- 内分泌障害 (甲状腺機能障害・副腎機能障害・下垂体機能障害等)

- 1型糖尿病

- 重度の皮膚障害

- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)

- 脳炎・髄膜炎

- 肝不全・肝機能障害・肝炎

- 間質性肺疾患

- 臓器移植歴患者での使用

- 静脈血栓塞栓症

- 免疫性血小板減少症

コンパニオン診断薬の情報

本剤の適応判定に利用可能なコンパニオン診断薬は以下のとおり。

- PD-L1 IHC 22C3 pharmDx 「ダコ」

>> 肺癌コンパニオン診断薬 を確認する

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出典

  1. リジェネロン・ジャパン株式会社. リブタヨ点滴静注350mg 電子添文. 2025年9月改訂 第9版
  2. リジェネロン・ジャパン株式会社. リブタヨ点滴静注350mg. 適正使用ガイド 2025年9月作成
  3. Lancet Oncol. 2023;24(9):989-1001.
  4. 厚生労働省. 最適使用推進ガイドライン セミプリマブ (遺伝子組換え) ~非小細胞肺癌~ 令和7年9月.
最終更新日 : 2025年10月12日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

リブタヨ®点滴静注350mg (セミプリマブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*

*リジェネロン・ジャパン株式会社の外部サイトへ遷移します。

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】最小度
【FN発症】低リスク*
*EMPOWER-Lung 1試験³⁾のFN発生率0%を基に編集部が分類

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Key Data|臨床試験結果

📊 EMPOWER-Lung 1試験

Lancet Oncol. 2023;24(9):989-1001.

未治療でPD-L1発現率50%以上、 かつEGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子・ROS1融合遺伝子陰性の切除不能・局所進行・再発または転移性NSCLC患者565例を対象とした第III相無作為化比較試験。 セミプリマブ群と医師選択治療群*に1:1で割付し、 主要評価項目はOSとPFSとされた。 2018年8月のプロトコール改訂以降、 セミプリマブ群で病勢進行した患者は、 セミプリマブを継続しつつ最大4サイクルの白金製剤併用化学療法の追加が認められた。 
*白金系抗癌薬 (カルボプラチン又はシスプラチン) と、 パクリタキセル、 ゲムシタビン塩酸塩又はペメトレキセドとの併用

【有効性】セミプリマブ (vs 医師選択治療)

- OS中央値 26.1ヵ月 (vs 13.3ヵ月)

  • HR 0.57 (95%CI 0.46–0.71) 

- PFS中央値 8.1ヵ月 (vs 5.3ヵ月)

  • HR 0.51 (95%CI 0.42–0.62)

- 奏効率 (ORR) 46% (vs 21%)

- 奏効期間中央値 23.6ヵ月 (vs 5.9ヵ月)

PD-L1発現別の治療効果 :

【安全性】主な有害事象 Grade1-2 (Grade≧3)

Lancet. 2021;397(10274):592-604.より発現率≧3%を抜粋

- ALT上昇 5% (1%)

- 食欲減退 5% (<1%)

- AST上昇 5% (1%)

- 貧血 5% (1%)

- 発疹 4% (1%)

- 下痢 4% (<1%)

- 悪心 4% (0%)

- 関節痛 4% (0%)

- 倦怠感 3% (1%)

- 嘔吐 3% (0%)

- アミラーゼ上昇 3% (<1%)

- 肺炎 3% (<1%)

- 便秘 3% (0%)

- ALP上昇 3% (1%)

各プロトコル

適格基準

EMPOWER-Lung 1試験³⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1,500/mm³

- 血小板数≧10万/mm³

- ヘモグロビン≧9.0g/dL

- 腎機能: GFR>30mL/min/1.73m²

- 肝機能: T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦3×ULN

用量レベル

EMPOWER-Lung 1試験³⁾では、 セミプリマブは減量規定がなく、 有害事象発現時は投与中止または延期で対応した。

腎障害患者に対する用量調整

セミプリマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

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レジメンの特徴と注意点

本レジメンの位置付け

化学療法未治療でEGFR遺伝子変異、 ALK融合遺伝子、 ROS1融合遺伝子が陰性、 かつPD-L1陽性 (発現率50%以上) の切除不能進行・再発NSCLC患者において有効性が示されている⁴⁾。

化学療法歴のない、 PD-L1発現率50%未満の患者は投与対象とならない⁴⁾。 

作用機序の特徴

セミプリマブはヒト抗PD-1抗体で、 PD-1とPD-L1/PD-L2の結合を阻害し、 がん抗原特異的T細胞の増殖・活性化・腫瘍細胞への細胞傷害活性を高め、 腫瘍増殖を抑制すると考えられる。

レジメン適用時の注意事項

過度の免疫反応 : 本剤のT細胞活性化作用により様々な疾患・病態が出現し得る。 異常時は免疫反応に起因する副作用を考慮し、 鑑別診断を行う。 投与終了後も重篤な副作用が出現することがあるため継続的に観察する。

間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳嗽等の初期症状を確認し、 胸部X線を実施する。 必要に応じてCTや血清マーカーも検査する。

肝障害 : 肝不全、 肝機能障害、 肝炎があらわれることがあるため、 投与前および投与中に定期的に肝機能検査を行う。

内分泌障害 : 甲状腺機能障害、 下垂体機能障害、 副腎機能障害があらわれることがある。 投与前および投与中にTSH、 遊離T3、 遊離T4、 ACTH、 血中コルチゾール等を定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。

1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖値上昇に注意する。

腎障害 : 投与前および投与中に定期的に腎機能検査を行い観察する。

筋炎・横紋筋融解症 : 筋力低下、 筋肉痛、 CK上昇、 血中・尿中ミオグロビン上昇などに注意して観察する。

重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害があらわれることがあるため十分に観察する。

心筋炎・心膜炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常などがあらわれることがあるため注意して観察する。

RMP【重要な特定されたリスク】

リブタヨ®医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- Infusion reaction

- 大腸炎・重度の下痢

- 筋炎・横紋筋融解症・重症筋無力症

- 心筋炎・心膜炎

- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎等)

- 内分泌障害 (甲状腺機能障害・副腎機能障害・下垂体機能障害等)

- 1型糖尿病

- 重度の皮膚障害

- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)

- 脳炎・髄膜炎

- 肝不全・肝機能障害・肝炎

- 間質性肺疾患

- 臓器移植歴患者での使用

- 静脈血栓塞栓症

- 免疫性血小板減少症

コンパニオン診断薬の情報

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- PD-L1 IHC 22C3 pharmDx 「ダコ」

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出典

  1. リジェネロン・ジャパン株式会社. リブタヨ点滴静注350mg 電子添文. 2025年9月改訂 第9版
  2. リジェネロン・ジャパン株式会社. リブタヨ点滴静注350mg. 適正使用ガイド 2025年9月作成
  3. Lancet Oncol. 2023;24(9):989-1001.
  4. 厚生労働省. 最適使用推進ガイドライン セミプリマブ (遺伝子組換え) ~非小細胞肺癌~ 令和7年9月.
最終更新日 : 2025年10月12日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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