概要
監修医師
2024年7月22日、 「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」 を対象に製造販売承認を申請、 2025年6月24日に正式承認された
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ウェリレグ® (添付文書¹⁾)

低酸素誘導因子2アルファ (HIF-2α) 阻害剤

投与スケジュール

がん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
【1コース】連日服用
【催吐性】 軽度~最小度*
【FN発症】未報告**
*NCCN Guidelines Version 2.2025 Antiemesisを引用
**LITESPARK-005試験²⁾では未報告

1日1回120mgを経口投与

Key Data|臨床試験結果

📊 LITESPARK-005試験

N Engl J Med. 2024;391(8):710-721.

進行性淡明細胞型腎細胞癌 (RCC) 患者746例 を対象とした国際共同無作為化第III相試験。 対象は、 PD-1/PD-L1阻害薬とVEGFR-TKIの両方による治療歴があり、 いずれかの治療中または治療後に病勢進行が確認された、 全身療法歴3ライン以内の患者であった。 参加者は、 ベルズチファン120mg群とエベロリムス10mg群に1:1の比率で無作為に割り付けられ、 主要評価項目はPFSおよびOSとされた。 

有効性 : ベルズチファン群 (vs エベロリムス群)

- PFS中央値 : 5.6ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • 18ヵ月時点のPFS率 : 24.0% (vs 8.3%)

- OS中央値 : 21.4ヵ月 (vs 18.1ヵ月)

  • 18ヵ月時点のOS率 : 55.2% (vs 50.6%)

- 奏効率 : 21.9% (vs 3.5%)

- 奏効期間中央値 : 19.5ヵ月 (vs 13.7ヵ月)

安全性 : 主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

  • 貧血 82.8% (32.5%)
  • 疲労 31.5% (1.6%)
  • 悪心 18.0% (0.5%)
  • 便秘 16.7% (0%)
  • 末梢性浮腫 16.1% (0%)
  • 呼吸困難 15.1% (1.6%)
  • 背部痛 14.8% (0.8%)
  • 関節痛 14.5% (0.5%)
  • 無力症 14.5% (1.9%)
  • 食欲減退 14.5% (1.1%)
  • 低酸素症 14.5% (10.5%)
  • 嘔吐 12.9% (0.8%)
  • 浮動性めまい 12.4% (0%)
  • ALT増加 12.1% (1.3%)
  • 頭痛 12.1% (0.5%)
  • 下痢 11.8% (1.1%)
  • AST増加 11.6% (1.3%)
  • 血中クレアチニン増加
  • 咳嗽 8.3% (0%)
  • 掻痒 7.8% (0%)
  • 発熱 5.9% (0.8%)
  • 皮疹 4.6% (0%)
  • 高トリグリセリド血症 3.8% (0%) 
  • 口内炎 3.5% (0%)
  • 高血糖 2.7% (0.5%)
  • 肺臓炎 0.8% (0.3%)

各プロトコル

適格基準

LITESPARK-005試験²⁾の主な適格基準

- 年齢 : 18歳以上

- PS : KPSスコア≧70

- 好中球数 : ≧1500/mm³

- 血小板数 : ≧10万/mm³

- ヘモグロビン : ≧10.0g/dL

- 腎機能 : Cre≦1.5×ULNまたはCrCl≧51mL/min

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5xULN

用量レベル

ウェリレグ®電子添文を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

尿中未変化体排泄率は6%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調節は不要と考えられる。

ウェリレグ®錠40mgインタビューフォームを基に編集部が評価

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ウェリレグ®電子添文を基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の治療歴がある患者を対象に行ったランダム化比較第III相試験において、 エベロリムスと比較しPFSとRRを改善した。 HIF2α阻害薬特有の有害事象である貧血・低酸素血症は、 休薬や減量でコントロール可能である。
国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤千紘先生

本レジメンの位置づけ

本レジメンは、 PD-1/PD-L1阻害薬およびVEGFR-TKI治療歴のある患者に適用される。

作用機序の特徴

ベルズチファンは、 低酸素誘導因子2α (HIF-2α) に結合し、 HIF-2とARNTの結合を阻害することで、 HIF-2標的遺伝子の転写を抑制し、 細胞周期の停止や血管新生の抑制を介して腫瘍増殖を抑制すると考えられている。

レジメン適用時の注意事項

貧血 : 投与前および投与中は定期的にヘモグロビン値などの血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察。 EPO減少に伴う貧血が生じる可能性があるため、 必要に応じて輸血や赤血球造血刺激因子製剤の使用を検討。

低酸素症 : 投与前および投与中はSpO₂を定期的に測定し、 患者の状態を十分に観察。

肝機能障害患者 : 中等度以上の肝機能障害 (Child-Pugh BまたはC) では血中濃度が上昇し、 副作用の頻度・重症度が増すおそれがあるため、 減量を考慮しつつ慎重に観察。

RMP【重要な特定されたリスク】

未公表

出典

  1. MSD株式会社. ウェリレグ錠40mg 電子添文 2025年6月作成(第1版).
  2. N Engl J Med. 2024;391(8):710-721.
最終更新 : 2025年7月3日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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薬剤情報

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低酸素誘導因子2アルファ (HIF-2α) 阻害剤

投与スケジュール

がん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
【1コース】連日服用
【催吐性】 軽度~最小度*
【FN発症】未報告**
*NCCN Guidelines Version 2.2025 Antiemesisを引用
**LITESPARK-005試験²⁾では未報告

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📊 LITESPARK-005試験

N Engl J Med. 2024;391(8):710-721.

進行性淡明細胞型腎細胞癌 (RCC) 患者746例 を対象とした国際共同無作為化第III相試験。 対象は、 PD-1/PD-L1阻害薬とVEGFR-TKIの両方による治療歴があり、 いずれかの治療中または治療後に病勢進行が確認された、 全身療法歴3ライン以内の患者であった。 参加者は、 ベルズチファン120mg群とエベロリムス10mg群に1:1の比率で無作為に割り付けられ、 主要評価項目はPFSおよびOSとされた。 

有効性 : ベルズチファン群 (vs エベロリムス群)

- PFS中央値 : 5.6ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • 18ヵ月時点のPFS率 : 24.0% (vs 8.3%)

- OS中央値 : 21.4ヵ月 (vs 18.1ヵ月)

  • 18ヵ月時点のOS率 : 55.2% (vs 50.6%)

- 奏効率 : 21.9% (vs 3.5%)

- 奏効期間中央値 : 19.5ヵ月 (vs 13.7ヵ月)

安全性 : 主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

  • 貧血 82.8% (32.5%)
  • 疲労 31.5% (1.6%)
  • 悪心 18.0% (0.5%)
  • 便秘 16.7% (0%)
  • 末梢性浮腫 16.1% (0%)
  • 呼吸困難 15.1% (1.6%)
  • 背部痛 14.8% (0.8%)
  • 関節痛 14.5% (0.5%)
  • 無力症 14.5% (1.9%)
  • 食欲減退 14.5% (1.1%)
  • 低酸素症 14.5% (10.5%)
  • 嘔吐 12.9% (0.8%)
  • 浮動性めまい 12.4% (0%)
  • ALT増加 12.1% (1.3%)
  • 頭痛 12.1% (0.5%)
  • 下痢 11.8% (1.1%)
  • AST増加 11.6% (1.3%)
  • 血中クレアチニン増加
  • 咳嗽 8.3% (0%)
  • 掻痒 7.8% (0%)
  • 発熱 5.9% (0.8%)
  • 皮疹 4.6% (0%)
  • 高トリグリセリド血症 3.8% (0%) 
  • 口内炎 3.5% (0%)
  • 高血糖 2.7% (0.5%)
  • 肺臓炎 0.8% (0.3%)

各プロトコル

適格基準

LITESPARK-005試験²⁾の主な適格基準

- 年齢 : 18歳以上

- PS : KPSスコア≧70

- 好中球数 : ≧1500/mm³

- 血小板数 : ≧10万/mm³

- ヘモグロビン : ≧10.0g/dL

- 腎機能 : Cre≦1.5×ULNまたはCrCl≧51mL/min

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5xULN

用量レベル

ウェリレグ®電子添文を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

尿中未変化体排泄率は6%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調節は不要と考えられる。

ウェリレグ®錠40mgインタビューフォームを基に編集部が評価

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ウェリレグ®電子添文を基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の治療歴がある患者を対象に行ったランダム化比較第III相試験において、 エベロリムスと比較しPFSとRRを改善した。 HIF2α阻害薬特有の有害事象である貧血・低酸素血症は、 休薬や減量でコントロール可能である。
国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤千紘先生

本レジメンの位置づけ

本レジメンは、 PD-1/PD-L1阻害薬およびVEGFR-TKI治療歴のある患者に適用される。

作用機序の特徴

ベルズチファンは、 低酸素誘導因子2α (HIF-2α) に結合し、 HIF-2とARNTの結合を阻害することで、 HIF-2標的遺伝子の転写を抑制し、 細胞周期の停止や血管新生の抑制を介して腫瘍増殖を抑制すると考えられている。

レジメン適用時の注意事項

貧血 : 投与前および投与中は定期的にヘモグロビン値などの血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察。 EPO減少に伴う貧血が生じる可能性があるため、 必要に応じて輸血や赤血球造血刺激因子製剤の使用を検討。

低酸素症 : 投与前および投与中はSpO₂を定期的に測定し、 患者の状態を十分に観察。

肝機能障害患者 : 中等度以上の肝機能障害 (Child-Pugh BまたはC) では血中濃度が上昇し、 副作用の頻度・重症度が増すおそれがあるため、 減量を考慮しつつ慎重に観察。

RMP【重要な特定されたリスク】

未公表

出典

  1. MSD株式会社. ウェリレグ錠40mg 電子添文 2025年6月作成(第1版).
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最終更新 : 2025年7月3日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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