提供:MSD株式会社

アドバイザー : 国立がん研究センター東病院 遺伝子診療部門 部門長 桑田 健 先生
Human epidermal growth factor receptor type2 (HER2) はがん遺伝子であるHER2遺伝子によってコードされるタンパク質で、 増殖因子受容体群HERファミリーに属している¹⁾。 HERファミリーは細胞膜を貫通する受容体型チロシンキナーゼであり、 二量体を形成してRAS/RAF/MEK/MAPK経路やPI3キナーゼ (PI3K) /AKT経路の細胞内シグナル伝達を活性化し、 細胞増殖などが促進する²⁾。

乳癌、 胃癌、 卵巣癌などの悪性腫瘍では、 HER2遺伝子増幅によりHER2タンパクが過剰発現することが報告されている⁴⁾。 HER2タンパク過剰発現は乳癌の約20%⁵⁾、 胃癌の15~20%⁶⁾、 卵巣癌の8~66%⁷⁾で認められることも示されており、 HER2タンパクは重要な治療標的となっている。
HER2検査には、 HER2タンパク過剰発現を検出する免疫組織化学 (IHC) 法や、 HER2遺伝子増幅を測定するin situ ハイブリダイゼーション (ISH) 法が臨床で使用されており¹⁾²⁾、 次世代シークエンス (NGS) 法によっても検出可能である¹⁾。 現在、 日本で承認されているHER2検査と、 がん種別の判定基準を下表に示した³⁾。


HER2検査はIHC法とISH法いずれのCDxを先に用いても診断上差し支えないが、 はじめに行う検査としては安価かつ簡便であるIHC法がより望ましい³⁾。
IHC法における判定は細胞膜の染色強度と陽性細胞の割合をもとに、 IHC 0-1+はHER2陰性、 IHC 2+はequivocal、 IHC 3+は陽性と判定される²⁾³⁾。
胃癌および大腸癌の手術検体、 ならびに乳癌と唾液腺癌では10%の腫瘍細胞に染色性が認められることが必要であるが³⁾⁴⁾、 胃癌生検検体では5個以上の陽性となる腫瘍細胞のクラスタで判定が可能であることに注意する¹⁾。
なお、 IHC法におけるIHC 3+以外の症例においてもHER2遺伝子増幅を認める症例が存在することから、 IHC 2+の症例については、 ISH法によるHER2遺伝子増幅を確認する³⁾。


Claudin (CLDN) は細胞間接着のひとつであるタイトジャンクション (密着結合) 形成に関わる細胞膜4回貫通型タンパク質であり¹⁾、 以下の機能により (特に胃において) 細胞間の透過性の調整機能などに関わっている¹⁾²⁾。

CLDNには27のアイソフォームが同定されており¹⁾、 CLDN18.1は肺胞上皮細胞に、 CLDN18.2は胃粘膜上皮細胞に発現している¹⁾。 CLDN18.2は腫瘍細胞の増殖、 分化、 転移に関与しているとの報告もある⁴⁾。

CLDNのうちCLDN18.2は、 胃癌のバイオマーカーとして位置づけられており、 治療方針決定の際にHER2検査、 PD-L1検査、 MSI/MMR判定検査と同時にCLDN18検査を実施することが推奨されている⁷⁾。
なお、 上記の4検査を同時実施しない場合でも、 4つのバイオマーカー検査が確実に実施されることが重要とされている。 少なくとも、 一次治療の開始に不可欠なHER2検査、 PD-L1検査およびCLDN18検査の3検査は、 一次治療開始前に行うことが推奨されている。 MSI/MMR判定検査においても、 二次治療以降の薬剤選択に関わるコンパニオン診断ではあるが、 対象となる患者の状態や施設の状況を鑑みた上で、 可能な限り、 一次治療開始前に行うことが推奨される⁷⁾。
現在日本で承認されているのは、 コンパニオン診断薬であるベンタナOptiView CLDN18 (43-14A) である。 本検査ではCLDN18.1とCLDN18.2の両方を認識するが、 正常胃粘膜や胃癌におけるCLDN18.1発現は極めて低いため、 検査結果をCLDN18.2の発現とみなす。






編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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Human epidermal growth factor receptor type2 (HER2) はがん遺伝子であるHER2遺伝子によってコードされるタンパク質で、 増殖因子受容体群HERファミリーに属している¹⁾。 HERファミリーは細胞膜を貫通する受容体型チロシンキナーゼであり、 二量体を形成してRAS/RAF/MEK/MAPK経路やPI3キナーゼ (PI3K) /AKT経路の細胞内シグナル伝達を活性化し、 細胞増殖などが促進する²⁾。

乳癌、 胃癌、 卵巣癌などの悪性腫瘍では、 HER2遺伝子増幅によりHER2タンパクが過剰発現することが報告されている⁴⁾。 HER2タンパク過剰発現は乳癌の約20%⁵⁾、 胃癌の15~20%⁶⁾、 卵巣癌の8~66%⁷⁾で認められることも示されており、 HER2タンパクは重要な治療標的となっている。
HER2検査には、 HER2タンパク過剰発現を検出する免疫組織化学 (IHC) 法や、 HER2遺伝子増幅を測定するin situ ハイブリダイゼーション (ISH) 法が臨床で使用されており¹⁾²⁾、 次世代シークエンス (NGS) 法によっても検出可能である¹⁾。 現在、 日本で承認されているHER2検査と、 がん種別の判定基準を下表に示した³⁾。


HER2検査はIHC法とISH法いずれのCDxを先に用いても診断上差し支えないが、 はじめに行う検査としては安価かつ簡便であるIHC法がより望ましい³⁾。
IHC法における判定は細胞膜の染色強度と陽性細胞の割合をもとに、 IHC 0-1+はHER2陰性、 IHC 2+はequivocal、 IHC 3+は陽性と判定される²⁾³⁾。
胃癌および大腸癌の手術検体、 ならびに乳癌と唾液腺癌では10%の腫瘍細胞に染色性が認められることが必要であるが³⁾⁴⁾、 胃癌生検検体では5個以上の陽性となる腫瘍細胞のクラスタで判定が可能であることに注意する¹⁾。
なお、 IHC法におけるIHC 3+以外の症例においてもHER2遺伝子増幅を認める症例が存在することから、 IHC 2+の症例については、 ISH法によるHER2遺伝子増幅を確認する³⁾。


Claudin (CLDN) は細胞間接着のひとつであるタイトジャンクション (密着結合) 形成に関わる細胞膜4回貫通型タンパク質であり¹⁾、 以下の機能により (特に胃において) 細胞間の透過性の調整機能などに関わっている¹⁾²⁾。

CLDNには27のアイソフォームが同定されており¹⁾、 CLDN18.1は肺胞上皮細胞に、 CLDN18.2は胃粘膜上皮細胞に発現している¹⁾。 CLDN18.2は腫瘍細胞の増殖、 分化、 転移に関与しているとの報告もある⁴⁾。

CLDNのうちCLDN18.2は、 胃癌のバイオマーカーとして位置づけられており、 治療方針決定の際にHER2検査、 PD-L1検査、 MSI/MMR判定検査と同時にCLDN18検査を実施することが推奨されている⁷⁾。
なお、 上記の4検査を同時実施しない場合でも、 4つのバイオマーカー検査が確実に実施されることが重要とされている。 少なくとも、 一次治療の開始に不可欠なHER2検査、 PD-L1検査およびCLDN18検査の3検査は、 一次治療開始前に行うことが推奨されている。 MSI/MMR判定検査においても、 二次治療以降の薬剤選択に関わるコンパニオン診断ではあるが、 対象となる患者の状態や施設の状況を鑑みた上で、 可能な限り、 一次治療開始前に行うことが推奨される⁷⁾。
現在日本で承認されているのは、 コンパニオン診断薬であるベンタナOptiView CLDN18 (43-14A) である。 本検査ではCLDN18.1とCLDN18.2の両方を認識するが、 正常胃粘膜や胃癌におけるCLDN18.1発現は極めて低いため、 検査結果をCLDN18.2の発現とみなす。






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