提供:MSD株式会社
アドバイザー : 国立がん研究センター中央病院 病理診断科 科長 谷田部 恭 先生、 近畿大学医学部 ゲノム生物学教室 教授 西尾 和人 先生
がん遺伝子パネル検査は、 その機能から、 「マルチプレックスコンパニオン診断薬」 と 「がんゲノムプロファイリング検査」 の2種類に大別できる¹⁾。
MSI、 TMBの詳細につきましては、 以下を参照ください。 MSI/MMR TMB
主ながんゲノムプロファイリング検査の特徴を表に示した。 このうち、 FoundationOne® CDx及びLiquid CDx、 Guardant360 CDxはマルチプレックスコンパニオン診断薬としての機能も有している。
保険診療における対象患者
保険診療におけるがんゲノムプロファイリング検査の対象は、 標準治療がない固形がん患者、 または標準治療が終了となった局所進行/転移を有する固形がん患者とされている¹³⁾。
本検査は、 標準治療がない*¹固形がん患者又は局所進行若しくは転移が認められ標準治療が終了*²となった固形がん患者 (終了が見込まれる者を含む。 )
かつ
関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、 全身状態及び臓器機能等から、 本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者¹⁴⁾
がんゲノムプロファイリング検査関連の保険点数は、 事前の患者説明及び同意取得後、 検体を検査機関に提出した時点で44,000点、 エキスパートパネルで解析レポートについて検討し、 その結果と治療方針等について患者に説明を行った時点で12,000点を算定することができる¹³⁾¹⁶⁾。
がんゲノムプロファイリング検査は、 厚生労働大臣が指定した 「がんゲノム医療中核拠点病院 (中核拠点病院) 」、 「がんゲノム医療拠点病院 (拠点病院) 」、 「がんゲノム医療連携病院 (連携病院) 」 でのみ検査実施が可能となっている¹⁾。
最新のがんゲノム医療中核拠点病院等の一覧については厚生労働省ホームページをご参照ください。
がんゲノム医療を必要とする患者が全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられるように、 がんゲノム医療を牽引する中核拠点病院、 中核拠点病院と連携しながらゲノム医療を行う医療機関として拠点病院及び連携病院による体制が整備されている²⁾³⁾。
「二次的所見」 とは、 がんの治療方針の策定という本来の検査目的ではない所見、 特に生殖細胞系列に病的と確定できる遺伝子変異 (バリアント) が検出されることを指す¹⁾。
がんゲノムプロファイリング検査の事前説明の段階で、 二次的所見が得られる可能性があること、 そして二次的所見がみられた場合の結果の開示を希望するか否かを確認する必要がある¹⁾。 日本医療研究開発機構 (AMED) の研究班や厚生労働省のワーキンググループから、 二次的所見の説明・同意のポイントをまとめたフローや患者説明文書案等が公開されている。
二次的所見に関する説明・同意のフロー²⁾
T/Nペア検査 : 腫瘍部組織と生殖細胞系列の変異を (正常細胞や採血等により) 同時に調べるパネル検査
T only検査 : 腫瘍部組織のみを調べるパネル検査
患者説明文書・同意文書 (モデル文書) ³⁾
「がん遺伝子パネル検査に関する説明文書案 (モデル文書) 」
エキスパートパネルにおいて病歴や家族歴から遺伝性腫瘍の可能性が指摘された場合や、 結果開示の説明において、 患者・家族から遺伝性腫瘍についての懸念が示された場合は、 遺伝カウンセリングを含めた専門家による対応が求められる¹⁾。
悪性腫瘍の治療選択を目的としたMSI/MMR IHC検査を実施する際の患者説明と遺伝カウンセリングについては、 MSI/MMRをご参照ください。
リキッドバイオプシーとは血液や胸水、 尿などの中に存在する腫瘍由来の細胞やDNAなどを用いた解析である¹⁾²⁾。 本項では、 血液を中心に紹介する。
リキッドバイオプシーの解析対象には血中遊離DNA (cfDNA)、 血中循環腫瘍DNA (ctDNA)、 血中循環腫瘍細胞 (CTC) などがあるが、 ctDNAを用いたバイオマーカーの研究が盛んに行われている¹⁾³⁾。
末梢血中のctDNAを対象としたリキッドバイオプシーは、 組織生検と比較して低侵襲であり、 繰り返し検体を採取することが可能である¹⁾³⁾。 また、 ctDNAの量は腫瘍量と相関し、 半減期は約2時間であることから、 ctDNAは腫瘍の不均一性やサブクローン変異、 腫瘍量などの変化を、 経時的かつリアルタイムに確認できると考えられている¹⁾³⁾⁴⁾。
ctDNAはリアルタイムにがんの遺伝的情報を確認することができることから、 がんの早期診断や再発の発見、 予後予測、 治療効果判定や薬剤耐性の検出などの臨床応用が期待される¹⁾⁴⁻⁶⁾。
ctDNAの解析には、 PCR法や次世代シーケンサー (NGS) をベースとした検査方法が用いられる。 これらの検査は感度、 検出可能な遺伝子の数・範囲などが異なり、 それぞれに利点や課題がある¹⁻³⁾。
国内で使用可能なリキッドバイオプシーは、 主に包括的なゲノムプロファイルの取得、 医薬品の適応判定の補助に用いられている¹⁻⁴⁾。
リキッドバイオプシーは低侵襲かつ検体採取が容易であるが、 ctDNA検査では十分な量のctDNAを採取できなければ遺伝子変異の検出率に影響し、 偽陰性となる恐れがある。 また、 正常細胞内のクローン造血由来の遺伝子変異 (clonal hematopoiesis of indeterminate potential; CHIP) との鑑別が困難であり、 偽陽性となる可能性もある⁵⁾。 組織検体においても、 検体の経年劣化や検体の処理、 保管条件などが影響して、 十分な核酸品質が得られない可能性があり、 実臨床では個々の患者の状態に応じて、 適切な検体を選択することが重要となる⁵⁾⁶⁾。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
アドバイザー : 国立がん研究センター中央病院 病理診断科 科長 谷田部 恭 先生、 近畿大学医学部 ゲノム生物学教室 教授 西尾 和人 先生
がん遺伝子パネル検査は、 その機能から、 「マルチプレックスコンパニオン診断薬」 と 「がんゲノムプロファイリング検査」 の2種類に大別できる¹⁾。
MSI、 TMBの詳細につきましては、 以下を参照ください。 MSI/MMR TMB
主ながんゲノムプロファイリング検査の特徴を表に示した。 このうち、 FoundationOne® CDx及びLiquid CDx、 Guardant360 CDxはマルチプレックスコンパニオン診断薬としての機能も有している。
保険診療における対象患者
保険診療におけるがんゲノムプロファイリング検査の対象は、 標準治療がない固形がん患者、 または標準治療が終了となった局所進行/転移を有する固形がん患者とされている¹³⁾。
本検査は、 標準治療がない*¹固形がん患者又は局所進行若しくは転移が認められ標準治療が終了*²となった固形がん患者 (終了が見込まれる者を含む。 )
かつ
関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、 全身状態及び臓器機能等から、 本検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した患者¹⁴⁾
がんゲノムプロファイリング検査関連の保険点数は、 事前の患者説明及び同意取得後、 検体を検査機関に提出した時点で44,000点、 エキスパートパネルで解析レポートについて検討し、 その結果と治療方針等について患者に説明を行った時点で12,000点を算定することができる¹³⁾¹⁶⁾。
がんゲノムプロファイリング検査は、 厚生労働大臣が指定した 「がんゲノム医療中核拠点病院 (中核拠点病院) 」、 「がんゲノム医療拠点病院 (拠点病院) 」、 「がんゲノム医療連携病院 (連携病院) 」 でのみ検査実施が可能となっている¹⁾。
最新のがんゲノム医療中核拠点病院等の一覧については厚生労働省ホームページをご参照ください。
がんゲノム医療を必要とする患者が全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられるように、 がんゲノム医療を牽引する中核拠点病院、 中核拠点病院と連携しながらゲノム医療を行う医療機関として拠点病院及び連携病院による体制が整備されている²⁾³⁾。
「二次的所見」 とは、 がんの治療方針の策定という本来の検査目的ではない所見、 特に生殖細胞系列に病的と確定できる遺伝子変異 (バリアント) が検出されることを指す¹⁾。
がんゲノムプロファイリング検査の事前説明の段階で、 二次的所見が得られる可能性があること、 そして二次的所見がみられた場合の結果の開示を希望するか否かを確認する必要がある¹⁾。 日本医療研究開発機構 (AMED) の研究班や厚生労働省のワーキンググループから、 二次的所見の説明・同意のポイントをまとめたフローや患者説明文書案等が公開されている。
二次的所見に関する説明・同意のフロー²⁾
T/Nペア検査 : 腫瘍部組織と生殖細胞系列の変異を (正常細胞や採血等により) 同時に調べるパネル検査
T only検査 : 腫瘍部組織のみを調べるパネル検査
患者説明文書・同意文書 (モデル文書) ³⁾
「がん遺伝子パネル検査に関する説明文書案 (モデル文書) 」
エキスパートパネルにおいて病歴や家族歴から遺伝性腫瘍の可能性が指摘された場合や、 結果開示の説明において、 患者・家族から遺伝性腫瘍についての懸念が示された場合は、 遺伝カウンセリングを含めた専門家による対応が求められる¹⁾。
悪性腫瘍の治療選択を目的としたMSI/MMR IHC検査を実施する際の患者説明と遺伝カウンセリングについては、 MSI/MMRをご参照ください。
リキッドバイオプシーとは血液や胸水、 尿などの中に存在する腫瘍由来の細胞やDNAなどを用いた解析である¹⁾²⁾。 本項では、 血液を中心に紹介する。
リキッドバイオプシーの解析対象には血中遊離DNA (cfDNA)、 血中循環腫瘍DNA (ctDNA)、 血中循環腫瘍細胞 (CTC) などがあるが、 ctDNAを用いたバイオマーカーの研究が盛んに行われている¹⁾³⁾。
末梢血中のctDNAを対象としたリキッドバイオプシーは、 組織生検と比較して低侵襲であり、 繰り返し検体を採取することが可能である¹⁾³⁾。 また、 ctDNAの量は腫瘍量と相関し、 半減期は約2時間であることから、 ctDNAは腫瘍の不均一性やサブクローン変異、 腫瘍量などの変化を、 経時的かつリアルタイムに確認できると考えられている¹⁾³⁾⁴⁾。
ctDNAはリアルタイムにがんの遺伝的情報を確認することができることから、 がんの早期診断や再発の発見、 予後予測、 治療効果判定や薬剤耐性の検出などの臨床応用が期待される¹⁾⁴⁻⁶⁾。
ctDNAの解析には、 PCR法や次世代シーケンサー (NGS) をベースとした検査方法が用いられる。 これらの検査は感度、 検出可能な遺伝子の数・範囲などが異なり、 それぞれに利点や課題がある¹⁻³⁾。
国内で使用可能なリキッドバイオプシーは、 主に包括的なゲノムプロファイルの取得、 医薬品の適応判定の補助に用いられている¹⁻⁴⁾。
リキッドバイオプシーは低侵襲かつ検体採取が容易であるが、 ctDNA検査では十分な量のctDNAを採取できなければ遺伝子変異の検出率に影響し、 偽陰性となる恐れがある。 また、 正常細胞内のクローン造血由来の遺伝子変異 (clonal hematopoiesis of indeterminate potential; CHIP) との鑑別が困難であり、 偽陽性となる可能性もある⁵⁾。 組織検体においても、 検体の経年劣化や検体の処理、 保管条件などが影響して、 十分な核酸品質が得られない可能性があり、 実臨床では個々の患者の状態に応じて、 適切な検体を選択することが重要となる⁵⁾⁶⁾。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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