Merkel cell carcinoma
これまで神経末端に存在するメルケル細胞由来と考えられてきたが、 近年では別の細胞由来と考えられている¹⁾。
高齢者の顔面などの露光部に好発し、 人種差があることも知られており白人で多い。 メルケル細胞ポリオーマウイルスが関連することが知られているが、 ウイルス陰性例では紫外線の影響があると考えられる。 免疫抑制状態でも発症しやすい。
非常にまれな疾患だが近年増加傾向であり、 アメリカでは2013年に0.7/10万人年で2000年より95%増加している²⁾。 日本では0.17/10万人年と報告されている³⁾。
病期分類については、 AJCC (American Joint Committee on Cancer)分類⁴⁾を用いる。
免疫チェックポイント阻害薬の登場以前は細胞学的な特徴の類似性から同じ神経内分泌腫瘍である小細胞肺癌 (SCLC) に準じた化学療法が行われてきたが、 生命予後の改善を実証したレジメンは無かった。 プラチナ系薬剤、 エトポシド、 シクロホスファミドやタキサン系薬剤などが単剤あるいは併用で比較的高い奏効率報告されているものの、 奏効の持続は短い。
現在、 日本では抗PD-L1抗体のアベルマブ (バベンチオ®) が第一選択として使用される。 アベルマブ (バベンチオ®) が無効あるいは不応となった場合、 あるいは免疫チェックポイント阻害薬が使用できない患者に対しては上記のような殺細胞性抗がん薬が選択肢となる。
また使用できる施設は限られるものの、 ソマトスタチン受容体シンチグラフィー (オクトレオスキャン) で適応があると判断された場合は、 ペプチド受容体放射性核種療法 (ルタテラ®) も選択肢となることがある。
手術や放射線治療などの局所治療で根治が見込めない進行期症例に対して、 まず薬物療法を検討する。 日本ではアベルマブが使用可能であるため、 PSなどの全身状態や合併症などを評価しアベルマブ使用の可否を判断する。
メルケル細胞癌は放射線感受性が高く局所制御目的に治療選択肢となりうる。 解剖学的な問題や整容面、 再建の困難さ、 合併症等の問題から手術では根治切除が困難な場合は放射線治療を選択することがある。 また、 再発や転移によって出血や疼痛などの症状がある場合に放射線治療による局所制御が有効なこともある。
再発や転移が単発あるいは少数である場合は手術も選択肢となりうる。 遠隔転移がある症例では前述のように薬物療法をまず検討するが、 病変が少数の場合や、 切除不能例に薬物療法を開始したが手術可能になった場合には、 手術を検討することがある。
術後補助療法として放射線治療の有効性が示されている。 腫瘍径が1cm未満の小型の病変の場合や広範囲切除で脈管侵襲や免疫抑制などの予後不良因子が無い場合には、 経過観察も選択肢ではあるが、 それ以外の場合は術後放射線治療を検討する。
なお、 免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前あるいは術後補助薬物療法については現在臨床試験が進行中ではあるが、 現時点では推奨されない。
出典
最終更新日 : 2025年2月8日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
これまで神経末端に存在するメルケル細胞由来と考えられてきたが、 近年では別の細胞由来と考えられている¹⁾。
高齢者の顔面などの露光部に好発し、 人種差があることも知られており白人で多い。 メルケル細胞ポリオーマウイルスが関連することが知られているが、 ウイルス陰性例では紫外線の影響があると考えられる。 免疫抑制状態でも発症しやすい。
非常にまれな疾患だが近年増加傾向であり、 アメリカでは2013年に0.7/10万人年で2000年より95%増加している²⁾。 日本では0.17/10万人年と報告されている³⁾。
病期分類については、 AJCC (American Joint Committee on Cancer)分類⁴⁾を用いる。
免疫チェックポイント阻害薬の登場以前は細胞学的な特徴の類似性から同じ神経内分泌腫瘍である小細胞肺癌 (SCLC) に準じた化学療法が行われてきたが、 生命予後の改善を実証したレジメンは無かった。 プラチナ系薬剤、 エトポシド、 シクロホスファミドやタキサン系薬剤などが単剤あるいは併用で比較的高い奏効率報告されているものの、 奏効の持続は短い。
現在、 日本では抗PD-L1抗体のアベルマブ (バベンチオ®) が第一選択として使用される。 アベルマブ (バベンチオ®) が無効あるいは不応となった場合、 あるいは免疫チェックポイント阻害薬が使用できない患者に対しては上記のような殺細胞性抗がん薬が選択肢となる。
また使用できる施設は限られるものの、 ソマトスタチン受容体シンチグラフィー (オクトレオスキャン) で適応があると判断された場合は、 ペプチド受容体放射性核種療法 (ルタテラ®) も選択肢となることがある。
手術や放射線治療などの局所治療で根治が見込めない進行期症例に対して、 まず薬物療法を検討する。 日本ではアベルマブが使用可能であるため、 PSなどの全身状態や合併症などを評価しアベルマブ使用の可否を判断する。
メルケル細胞癌は放射線感受性が高く局所制御目的に治療選択肢となりうる。 解剖学的な問題や整容面、 再建の困難さ、 合併症等の問題から手術では根治切除が困難な場合は放射線治療を選択することがある。 また、 再発や転移によって出血や疼痛などの症状がある場合に放射線治療による局所制御が有効なこともある。
再発や転移が単発あるいは少数である場合は手術も選択肢となりうる。 遠隔転移がある症例では前述のように薬物療法をまず検討するが、 病変が少数の場合や、 切除不能例に薬物療法を開始したが手術可能になった場合には、 手術を検討することがある。
術後補助療法として放射線治療の有効性が示されている。 腫瘍径が1cm未満の小型の病変の場合や広範囲切除で脈管侵襲や免疫抑制などの予後不良因子が無い場合には、 経過観察も選択肢ではあるが、 それ以外の場合は術後放射線治療を検討する。
なお、 免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前あるいは術後補助薬物療法については現在臨床試験が進行中ではあるが、 現時点では推奨されない。
出典
最終更新日 : 2025年2月8日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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