Adnexal Carcinoma
皮膚の付属器である毛包、 脂腺、 汗腺、 立毛筋から発生するとされるが、 どの付属器から発生したものか分からないものもある¹⁾。
稀な悪性腫瘍であり、 米国では年齢調整罹患率は0.59/10万人年²⁾、 本邦の全国がん登録情報では全皮膚がんに占める割合は2.9%、 年齢調整罹患率は0.27/10万人年と報告されている³⁾。
診断時の年齢の中央値は64歳で、 やや男性に多い。 推定10年疾患特異的生存率は97%と予後良好である⁴⁾。 ⼈種差として、 ⽩⼈に多いことが知られている⁵⁾。
組織型は腫瘍細胞の由来する付属器によって毛包系腫瘍、 脂腺系腫瘍、 汗腺系腫瘍、 その他に分類される。 本邦で実施されてデータベース研究では、 1930例の主な組織型は以下であった⁶⁾。
一方で、 組織診断や分類は専門医間でも意見が分かれる事が多く、 現在も議論が続いている。
病期分類については、 ⼀般にAJCC (American Joint Committee on Cancer)/UICC (Union for International Cancer Control) 分類を⽤いる。 皮膚有棘細胞癌の同分類に準ずる。
外科的切除が基本となる。 多くは皮膚に限局しており、 切除し断端陰性となれば予後は良好である。 一方でリンパ節転移や遠隔転移を起こすと予後は不良である。
進行例は一般的に予後不良であり、 ステージIVの皮膚付属器癌の5年生存率は32.4%である⁶⁾。
進行例にはパクリタキセル、 ドセタキセルなどの化学療法が従来行われてきたが、 いずれも保険適応外であった。 2024年にはニボルマブ (オプジーボ®) が上皮系皮膚悪性腫瘍に承認され、 皮膚付属器癌に対しても保険適応となった。
一方、 ニボルマブの効果が皮膚付属器癌に対して認められたとする報告はない。 国内第Ⅱ相試験 (KCTR-D014試験) に参加した皮膚付属器癌5例に対し、 ニボルマブの奏効率は0%であった⁷⁾。 症状緩和のために放射線療法を併用することも多い。
腫瘍が皮膚に限局している場合、 腫瘍切除を行うことができる。 皮膚欠損は単純縫縮し、 巨大な皮膚欠損に対しては植皮、 皮弁などで再建する。 数cmマージンを取って切除し、 病理検査にて断端が陽性となった症例に対しては追加切除を検討する。 周術期化学療法は通常行われない。
出典
最終更新日 : 2025年2月11日
執筆医師 : 和田昇悟先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生
皮膚の付属器である毛包、 脂腺、 汗腺、 立毛筋から発生するとされるが、 どの付属器から発生したものか分からないものもある¹⁾。
稀な悪性腫瘍であり、 米国では年齢調整罹患率は0.59/10万人年²⁾、 本邦の全国がん登録情報では全皮膚がんに占める割合は2.9%、 年齢調整罹患率は0.27/10万人年と報告されている³⁾。
診断時の年齢の中央値は64歳で、 やや男性に多い。 推定10年疾患特異的生存率は97%と予後良好である⁴⁾。 ⼈種差として、 ⽩⼈に多いことが知られている⁵⁾。
組織型は腫瘍細胞の由来する付属器によって毛包系腫瘍、 脂腺系腫瘍、 汗腺系腫瘍、 その他に分類される。 本邦で実施されてデータベース研究では、 1930例の主な組織型は以下であった⁶⁾。
一方で、 組織診断や分類は専門医間でも意見が分かれる事が多く、 現在も議論が続いている。
病期分類については、 ⼀般にAJCC (American Joint Committee on Cancer)/UICC (Union for International Cancer Control) 分類を⽤いる。 皮膚有棘細胞癌の同分類に準ずる。
外科的切除が基本となる。 多くは皮膚に限局しており、 切除し断端陰性となれば予後は良好である。 一方でリンパ節転移や遠隔転移を起こすと予後は不良である。
進行例は一般的に予後不良であり、 ステージIVの皮膚付属器癌の5年生存率は32.4%である⁶⁾。
進行例にはパクリタキセル、 ドセタキセルなどの化学療法が従来行われてきたが、 いずれも保険適応外であった。 2024年にはニボルマブ (オプジーボ®) が上皮系皮膚悪性腫瘍に承認され、 皮膚付属器癌に対しても保険適応となった。
一方、 ニボルマブの効果が皮膚付属器癌に対して認められたとする報告はない。 国内第Ⅱ相試験 (KCTR-D014試験) に参加した皮膚付属器癌5例に対し、 ニボルマブの奏効率は0%であった⁷⁾。 症状緩和のために放射線療法を併用することも多い。
腫瘍が皮膚に限局している場合、 腫瘍切除を行うことができる。 皮膚欠損は単純縫縮し、 巨大な皮膚欠損に対しては植皮、 皮弁などで再建する。 数cmマージンを取って切除し、 病理検査にて断端が陽性となった症例に対しては追加切除を検討する。 周術期化学療法は通常行われない。
出典
最終更新日 : 2025年2月11日
執筆医師 : 和田昇悟先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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