Angiosarcoma
軟部肉腫の約2~3%程度と報告されている。 発生部位としては皮膚が最も多く、 中でも頭頸部皮膚の発生が最多である。
欧米では100万人あたり1.5~2人程度¹⁾、 日本では100万人あたり1.1人と報告されている²⁾。
大きく以下の3つに分類される。
①頭頸部皮膚血管肉腫
高齢者に多く、 外傷や紫外線が誘因となる可能性が指摘されている。
②慢性リンパ浮腫に続発する血管肉腫
乳癌術後の上肢や子宮癌術後の下肢に生じる慢性リンパ浮腫から続発する血管肉腫はStewart-Treves症候群として知られている。 術後以外でも慢性リンパ浮腫に続発することが報告されており、 リンパ浮腫から平均10年以上経過したのちに発症する。
③放射線照射後血管肉腫
放射線照射後の晩期障害として血管肉腫が生じることが知られている。 近年では乳癌に対して乳房温存手術の後に放射線療法を受ける患者が増加していることに伴って、 放射線照射後血管肉腫も増加傾向である。 放射線療法後、 平均8年で発症すると報告されている¹⁾。
AJCC (American Joint Committee on Cancer) 第8版では皮膚血管肉腫に関しては対応する病期分類がないと記載されている。 UICC (Union for International Cancer Control) でも皮膚血管肉腫は除外すると記載されており、 皮膚血管肉腫に対する病期分類は確立していない。
以前は他の軟部肉腫同様にドキソルビシンを中心とした薬物療法が行われていたが、 タキサン系の有効性が報告されて以降、 また本邦では2011年にパクリタキセルが保険適応となったこともあり、 一次治療としてはパクリタキセルが使用されている。
パクリタキセル無効、 あるいは有害事象などで使用できない場合、 二次治療として他の肉腫に対する治療薬であるパゾパニブ、 エリブリン、 トラベクテジンなどが選択肢となる。 なお、 同じタキサン系であるドセタキセルを投与することもあり、 タキサンスイッチと呼ばれる。 皮膚血管肉腫におけるこれら薬剤の比較試験は存在しないため、 各薬剤の特性や患者の状態、 意向などから判断する。
Docetaxel Pazopanib Eribulin Trabectedin
高齢者が多い皮膚血管肉腫において使用する機会は限られるものの、 ドキソルビシンやドキソルビシン+イホスファミドも二次治療以降の選択肢となりうる。
Doxorubicin AI (Doxorubicin + Ifosfamide)
皮膚血管肉腫は悪性度が高く、 再発や転移を生じる症例が多い。 進行例では薬物療法が中心になるが、 原発巣や転移病変からの出血のコントロールに難渋することがある。
特に血管肉腫では肺転移が多く、 肺転移からの出血、 気胸を生じて血気胸となり呼吸困難を呈することがある。 胸腔ドレナージや胸膜癒着を行うが、 転移巣のコントロールが困難なことも多い。 皮膚病変からの出血制御目的に緩和的放射線療法を行うこともある。
皮膚血管肉腫は病変の境界が不明瞭であり、 非連続性に病変を認めることもあるため、 十分な切除マージンが確保することは困難であり、 手術単独では再発が多い。
そのため、 手術をして術後放射線療法、 あるいは薬物療法との併用治療を行うことがある。 日本では腫瘍径の大きな症例が多いため手術が適応とならず、 初期治療として化学放射線療法を選択することもある。 腫瘍径が5cm以内の場合、 手術が有効とされる報告もあるが、 その場合は術後の放射線療法や薬物療法を早期に開始することを考え、 また再発が多いことからも再建の侵襲とのバランスを考慮する必要がある。
出典
最終更新日 : 2025年2月11日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
軟部肉腫の約2~3%程度と報告されている。 発生部位としては皮膚が最も多く、 中でも頭頸部皮膚の発生が最多である。
欧米では100万人あたり1.5~2人程度¹⁾、 日本では100万人あたり1.1人と報告されている²⁾。
大きく以下の3つに分類される。
①頭頸部皮膚血管肉腫
高齢者に多く、 外傷や紫外線が誘因となる可能性が指摘されている。
②慢性リンパ浮腫に続発する血管肉腫
乳癌術後の上肢や子宮癌術後の下肢に生じる慢性リンパ浮腫から続発する血管肉腫はStewart-Treves症候群として知られている。 術後以外でも慢性リンパ浮腫に続発することが報告されており、 リンパ浮腫から平均10年以上経過したのちに発症する。
③放射線照射後血管肉腫
放射線照射後の晩期障害として血管肉腫が生じることが知られている。 近年では乳癌に対して乳房温存手術の後に放射線療法を受ける患者が増加していることに伴って、 放射線照射後血管肉腫も増加傾向である。 放射線療法後、 平均8年で発症すると報告されている¹⁾。
AJCC (American Joint Committee on Cancer) 第8版では皮膚血管肉腫に関しては対応する病期分類がないと記載されている。 UICC (Union for International Cancer Control) でも皮膚血管肉腫は除外すると記載されており、 皮膚血管肉腫に対する病期分類は確立していない。
以前は他の軟部肉腫同様にドキソルビシンを中心とした薬物療法が行われていたが、 タキサン系の有効性が報告されて以降、 また本邦では2011年にパクリタキセルが保険適応となったこともあり、 一次治療としてはパクリタキセルが使用されている。
パクリタキセル無効、 あるいは有害事象などで使用できない場合、 二次治療として他の肉腫に対する治療薬であるパゾパニブ、 エリブリン、 トラベクテジンなどが選択肢となる。 なお、 同じタキサン系であるドセタキセルを投与することもあり、 タキサンスイッチと呼ばれる。 皮膚血管肉腫におけるこれら薬剤の比較試験は存在しないため、 各薬剤の特性や患者の状態、 意向などから判断する。
Docetaxel Pazopanib Eribulin Trabectedin
高齢者が多い皮膚血管肉腫において使用する機会は限られるものの、 ドキソルビシンやドキソルビシン+イホスファミドも二次治療以降の選択肢となりうる。
Doxorubicin AI (Doxorubicin + Ifosfamide)
皮膚血管肉腫は悪性度が高く、 再発や転移を生じる症例が多い。 進行例では薬物療法が中心になるが、 原発巣や転移病変からの出血のコントロールに難渋することがある。
特に血管肉腫では肺転移が多く、 肺転移からの出血、 気胸を生じて血気胸となり呼吸困難を呈することがある。 胸腔ドレナージや胸膜癒着を行うが、 転移巣のコントロールが困難なことも多い。 皮膚病変からの出血制御目的に緩和的放射線療法を行うこともある。
皮膚血管肉腫は病変の境界が不明瞭であり、 非連続性に病変を認めることもあるため、 十分な切除マージンが確保することは困難であり、 手術単独では再発が多い。
そのため、 手術をして術後放射線療法、 あるいは薬物療法との併用治療を行うことがある。 日本では腫瘍径の大きな症例が多いため手術が適応とならず、 初期治療として化学放射線療法を選択することもある。 腫瘍径が5cm以内の場合、 手術が有効とされる報告もあるが、 その場合は術後の放射線療法や薬物療法を早期に開始することを考え、 また再発が多いことからも再建の侵襲とのバランスを考慮する必要がある。
出典
最終更新日 : 2025年2月11日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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