ダトポタマブ デルクステカン (ダトロウェイ®)
【1コース】21日間
【催吐性】高度*
【FN発症】低リスク**
6mg/kgを3週ごとに90分かけて点滴静注。 初回投与の忍容性が良好な場合、 2回目以降は30分まで短縮可能。
Infusion reaction軽減のため、 抗ヒスタミン薬および解熱鎮痛薬を前投与し、 必要に応じて副腎皮質ステロイドの併用も考慮。
化学療法歴のあるホルモン受容体陽性・HER2陰性 (HER2陰性は、 IHC 2+ かつ ISH 陰性、 IHC 1+、 または IHC 0 と定義) の手術不能または再発乳癌患者732例を対象とした、 国際共同の非盲検無作為化第III相比較試験である。 Dato-DXd群 (365例) と医師選択治療群 (367例) に1:1で無作為に割り付け、 主要評価項目として、 PFSおよびOSが設定された。
【有効性】Dato-DXd群 (vs 医師選択治療群)
- PFS中央値 : 6.9ヵ月 (vs 4.9ヵ月)
- OS : データ未成熟 (ハザード比0.84)
- 奏効率 : 36.4% (vs 22.9%)
- 奏効期間中央値 : 6.7ヵ月 (vs 5.7ヵ月)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
TROPION-Breast01試験の主な適格基準
ダトポタマブ デルクステカンは、 TROP-2に対するヒト化モノクローナル抗体に、 トポイソメラーゼ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 TROP-2を発現する腫瘍細胞膜に結合後、 細胞内に取り込まれてリンカーが加水分解され、 遊離したカンプトテシン誘導体がDNA損傷およびアポトーシスを誘導することで、 腫瘍増殖を抑制すると考えられている。
国内では、 抗TROP2抗体薬物複合体として、 サシツズマブ ゴビテカン (トロデルビ®) が2024年11月に発売されているが、 適応は異なる。
トロデルビ® ・・・・・HR陰性HER2陰性
ダトロウェイ® ・・・HR陽性HER2陰性
本レジメンは、 内分泌療法の適応とならない手術不能または再発乳癌に対し、 1~2レジメンの化学療法歴があり、 かつアントラサイクリン系またはタキサン系抗悪性腫瘍薬の治療歴を有する患者に適用される。
2025年2月12日のESMO Virtual Plenaryにおいて、 TROPION-Breast01試験の最終解析結果が報告され、 OSのハザード比は1.01 (95%CI 0.83–1.22、 p=0.94) であった。 本結果を踏まえ、 HER2低発現例においては、 DESTINY-Breast04試験にてOSおよびPFSの有意な改善が示されたT-DXdが第一選択と考えられている。
眼障害の予防²⁾ : 投与期間中はコンタクトレンズの使用を控え、 人工涙液*を1日6回程度の頻度で使用する。 防腐剤による角膜炎の悪化を避けるため、 防腐剤無添加の点眼薬を用いること。 また、 ヒアルロン酸ナトリウムなどの粘稠性の高い点眼薬は、 抗がん剤を含む涙液の滞留を助長するおそれがあるため使用を避ける。
口内炎の予防²⁾ : 治療開始前および投与中に歯科医師による定期的な口腔ケアを実施することが望ましい。 また、 投与中は氷片などによる口腔内冷却 (クライオセラピー) が推奨されている。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は、 呼吸状態・咳・発熱などの臨床症状を観察し、 定期的にSpO₂測定、 胸部X線・CTを実施。 必要に応じて血清マーカー等も測定し、 画像診断には呼吸器疾患に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状出現時の速やかな受診を指導。
角膜障害 : 定期的に眼症状の有無を確認し、 異常があれば速やかに眼科受診を指導。
Infusion reaction : 重度の反応に備え、 緊急時対応可能な体制下で投与を開始。
骨髄抑制 : 定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察。
最終更新日 : 2025年6月30日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
【1コース】21日間
【催吐性】高度*
【FN発症】低リスク**
6mg/kgを3週ごとに90分かけて点滴静注。 初回投与の忍容性が良好な場合、 2回目以降は30分まで短縮可能。
Infusion reaction軽減のため、 抗ヒスタミン薬および解熱鎮痛薬を前投与し、 必要に応じて副腎皮質ステロイドの併用も考慮。
化学療法歴のあるホルモン受容体陽性・HER2陰性 (HER2陰性は、 IHC 2+ かつ ISH 陰性、 IHC 1+、 または IHC 0 と定義) の手術不能または再発乳癌患者732例を対象とした、 国際共同の非盲検無作為化第III相比較試験である。 Dato-DXd群 (365例) と医師選択治療群 (367例) に1:1で無作為に割り付け、 主要評価項目として、 PFSおよびOSが設定された。
【有効性】Dato-DXd群 (vs 医師選択治療群)
- PFS中央値 : 6.9ヵ月 (vs 4.9ヵ月)
- OS : データ未成熟 (ハザード比0.84)
- 奏効率 : 36.4% (vs 22.9%)
- 奏効期間中央値 : 6.7ヵ月 (vs 5.7ヵ月)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
TROPION-Breast01試験の主な適格基準
ダトポタマブ デルクステカンは、 TROP-2に対するヒト化モノクローナル抗体に、 トポイソメラーゼ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 TROP-2を発現する腫瘍細胞膜に結合後、 細胞内に取り込まれてリンカーが加水分解され、 遊離したカンプトテシン誘導体がDNA損傷およびアポトーシスを誘導することで、 腫瘍増殖を抑制すると考えられている。
国内では、 抗TROP2抗体薬物複合体として、 サシツズマブ ゴビテカン (トロデルビ®) が2024年11月に発売されているが、 適応は異なる。
トロデルビ® ・・・・・HR陰性HER2陰性
ダトロウェイ® ・・・HR陽性HER2陰性
本レジメンは、 内分泌療法の適応とならない手術不能または再発乳癌に対し、 1~2レジメンの化学療法歴があり、 かつアントラサイクリン系またはタキサン系抗悪性腫瘍薬の治療歴を有する患者に適用される。
2025年2月12日のESMO Virtual Plenaryにおいて、 TROPION-Breast01試験の最終解析結果が報告され、 OSのハザード比は1.01 (95%CI 0.83–1.22、 p=0.94) であった。 本結果を踏まえ、 HER2低発現例においては、 DESTINY-Breast04試験にてOSおよびPFSの有意な改善が示されたT-DXdが第一選択と考えられている。
眼障害の予防²⁾ : 投与期間中はコンタクトレンズの使用を控え、 人工涙液*を1日6回程度の頻度で使用する。 防腐剤による角膜炎の悪化を避けるため、 防腐剤無添加の点眼薬を用いること。 また、 ヒアルロン酸ナトリウムなどの粘稠性の高い点眼薬は、 抗がん剤を含む涙液の滞留を助長するおそれがあるため使用を避ける。
口内炎の予防²⁾ : 治療開始前および投与中に歯科医師による定期的な口腔ケアを実施することが望ましい。 また、 投与中は氷片などによる口腔内冷却 (クライオセラピー) が推奨されている。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は、 呼吸状態・咳・発熱などの臨床症状を観察し、 定期的にSpO₂測定、 胸部X線・CTを実施。 必要に応じて血清マーカー等も測定し、 画像診断には呼吸器疾患に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状出現時の速やかな受診を指導。
角膜障害 : 定期的に眼症状の有無を確認し、 異常があれば速やかに眼科受診を指導。
Infusion reaction : 重度の反応に備え、 緊急時対応可能な体制下で投与を開始。
骨髄抑制 : 定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察。
最終更新日 : 2025年6月30日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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