サシツズマブ ゴビテカン (トロデルビ®)
【1コース】21日間
【催吐性】 高度催吐性*
【FN発症】中等度リスク(発症率10~20%)**
1回10mg/kgを、 21日間を1サイクルとし、 各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。
投与時間は3時間とし、 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は1~2時間に短縮できる。 なお、 患者の状態により適宜減量する。
輸液バッグを遮光して投与。 タキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のある患者を対象とする。
海外第III相臨床試験 (ASCENT) と国内第II相臨床試験 (ASCENT-J02) の結果に基づく承認である。
2つ以上の化学療法歴のある*¹ホルモン受容体陰性かつHER2陰性*²の手術不能又は再発乳癌患者529例を対象に、 本剤 (267例) と医師選択治療*³ (262例) の有効性及び安全性を比較した海外第Ⅲ相無作為化非盲検比較試験
有効性|本剤投与群 最終解析結果³⁾
- mPFS : 4.8ヵ月
- mOS : 11.8ヵ月
安全性|本剤投与群 最終解析結果³⁾
安全性プロファイルは管理可能であり、 治療関連死亡は認められなかった。 有害事象 (AE) による治療中止率は5%以下であった。
好中球数 (各サイクル)
Day1 ≧1,500/mm³、 Day8 ≧1,000/mm³
各サイクル Day8の投与予定日に1,000/mm³未満で、 1週間を超えても1,000/mm³以上に回復しない場合には、 次回投与は1,500/mm³以上に回復してから再開する。
本レジメンは、 化学療法歴があり、 タキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴を有するホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌に適用される。
サシツズマブ ゴビテカンは、 TROP-2に対するヒト化モノクローナル抗体に、 トポイソメラーゼI阻害薬SN-38をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 TROP-2陽性腫瘍細胞に取り込まれた後、 SN-38が細胞内で遊離し、 DNA合成を阻害して抗腫瘍効果を発揮する。
UGT1A1 (本剤を構成するSN-38の主な代謝酵素) によるSN-38の代謝が減少し、 重篤な副作用が発現する可能性がある。 以下に臨床試験の報告例を示す。
UGT1A1*6または*28のホモ接合体、 あるいは両アレルの複合ヘテロ接合体を有する患者では、 SN-38の代謝が低下し、 骨髄抑制や下痢などの重篤な副作用のリスクがあるため、 十分に注意すること。
2025年5月現在、 ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳癌に対しても承認申請中であり (TROPiCS-02試験、 ASCENTJ02試験)、 進行トリプルネガティブ乳癌における1次治療としては、 PD-L1発現陽性例に対するペムブロリズマブ併用 (ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験) およびPD-L1陰性例に対する単剤投与 (ASCENT-03試験) でPFS延長が報告されている。
催吐性リスクは、 日本の制吐薬ガイドライン (2023年版) では中等度、 NCCNガイドラインでは高度に分類されている。
発熱性好中球減少症はASCENT試験で5.8%に認められ、 G-CSF製剤の使用はリスク因子や好中球減少症の発現状況に応じて検討される。
UGT1A1*28/*28型患者ではGrade≧3の好中球減少症、 発熱性好中球減少症、 貧血、 下痢などの発現率が高い傾向にあるが、 有害事象発現との明確な関連は確立しておらず、 遺伝子多型検査は必須とはされていない。
骨髄抑制・感染症 : 投与前後に定期的な血液検査を行い、 必要に応じてG-CSF製剤の使用を検討。
Infusion reaction : 重度の反応に備え緊急対応体制下で投与し、 予防のために解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン薬・H₂受容体拮抗薬の前投与を考慮。
間質性肺疾患 : 投与時は呼吸困難・咳嗽・発熱などの初期症状に留意し、 定期的に胸部画像検査を実施。
- 骨髄抑制
- 感染症
- 重度の下痢・腸炎
- Infusion reaction
- 間質性肺疾患
1) ギリアド・サイエンシズ株式会社. トロデルビ®添付文書 2024年9月作成 第1版
2) N Engl J Med. 2021;384(16):1529-1541.
3) J Clin Oncol. 2024;42(15):1738-1744.
最終更新 : 2025年6月30日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
【1コース】21日間
【催吐性】 高度催吐性*
【FN発症】中等度リスク(発症率10~20%)**
1回10mg/kgを、 21日間を1サイクルとし、 各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。
投与時間は3時間とし、 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は1~2時間に短縮できる。 なお、 患者の状態により適宜減量する。
輸液バッグを遮光して投与。 タキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のある患者を対象とする。
海外第III相臨床試験 (ASCENT) と国内第II相臨床試験 (ASCENT-J02) の結果に基づく承認である。
2つ以上の化学療法歴のある*¹ホルモン受容体陰性かつHER2陰性*²の手術不能又は再発乳癌患者529例を対象に、 本剤 (267例) と医師選択治療*³ (262例) の有効性及び安全性を比較した海外第Ⅲ相無作為化非盲検比較試験
有効性|本剤投与群 最終解析結果³⁾
- mPFS : 4.8ヵ月
- mOS : 11.8ヵ月
安全性|本剤投与群 最終解析結果³⁾
安全性プロファイルは管理可能であり、 治療関連死亡は認められなかった。 有害事象 (AE) による治療中止率は5%以下であった。
好中球数 (各サイクル)
Day1 ≧1,500/mm³、 Day8 ≧1,000/mm³
各サイクル Day8の投与予定日に1,000/mm³未満で、 1週間を超えても1,000/mm³以上に回復しない場合には、 次回投与は1,500/mm³以上に回復してから再開する。
本レジメンは、 化学療法歴があり、 タキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴を有するホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌に適用される。
サシツズマブ ゴビテカンは、 TROP-2に対するヒト化モノクローナル抗体に、 トポイソメラーゼI阻害薬SN-38をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 TROP-2陽性腫瘍細胞に取り込まれた後、 SN-38が細胞内で遊離し、 DNA合成を阻害して抗腫瘍効果を発揮する。
UGT1A1 (本剤を構成するSN-38の主な代謝酵素) によるSN-38の代謝が減少し、 重篤な副作用が発現する可能性がある。 以下に臨床試験の報告例を示す。
UGT1A1*6または*28のホモ接合体、 あるいは両アレルの複合ヘテロ接合体を有する患者では、 SN-38の代謝が低下し、 骨髄抑制や下痢などの重篤な副作用のリスクがあるため、 十分に注意すること。
2025年5月現在、 ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳癌に対しても承認申請中であり (TROPiCS-02試験、 ASCENTJ02試験)、 進行トリプルネガティブ乳癌における1次治療としては、 PD-L1発現陽性例に対するペムブロリズマブ併用 (ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験) およびPD-L1陰性例に対する単剤投与 (ASCENT-03試験) でPFS延長が報告されている。
催吐性リスクは、 日本の制吐薬ガイドライン (2023年版) では中等度、 NCCNガイドラインでは高度に分類されている。
発熱性好中球減少症はASCENT試験で5.8%に認められ、 G-CSF製剤の使用はリスク因子や好中球減少症の発現状況に応じて検討される。
UGT1A1*28/*28型患者ではGrade≧3の好中球減少症、 発熱性好中球減少症、 貧血、 下痢などの発現率が高い傾向にあるが、 有害事象発現との明確な関連は確立しておらず、 遺伝子多型検査は必須とはされていない。
骨髄抑制・感染症 : 投与前後に定期的な血液検査を行い、 必要に応じてG-CSF製剤の使用を検討。
Infusion reaction : 重度の反応に備え緊急対応体制下で投与し、 予防のために解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン薬・H₂受容体拮抗薬の前投与を考慮。
間質性肺疾患 : 投与時は呼吸困難・咳嗽・発熱などの初期症状に留意し、 定期的に胸部画像検査を実施。
- 骨髄抑制
- 感染症
- 重度の下痢・腸炎
- Infusion reaction
- 間質性肺疾患
1) ギリアド・サイエンシズ株式会社. トロデルビ®添付文書 2024年9月作成 第1版
2) N Engl J Med. 2021;384(16):1529-1541.
3) J Clin Oncol. 2024;42(15):1738-1744.
最終更新 : 2025年6月30日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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