広島大学病院 脳神経内科の音成 秀一郎先生による連載 「けいれん診療ガイド」 です。 第5回は"てんかんと急性症候性発作" について解説いただきます。
「てんかん」 とは慢性にてんかん性の発作を繰り返す状態を指し、 循環器疾患でいえば発作性心房細動のような慢性の病態に近いイメージです。
つまり 「てんかん」 とは病名または病態を表す用語であり、 対する 「てんかん発作」 は症候名です。 大事なこととして、 てんかん発作はてんかん以外の病態でも起こりうるということです。
例えるなら喘息様の呼吸症状が急性に一過性に出現しても、 それは必ずしも狭義の気管支喘息を意味しません。 てんかん発作も同じで、 頭部外傷や中枢神経感染症、 電解質異常などにより、 急性に発作が引き起こされることがあり、 これを急性症候性発作とよびます¹⁾。
遭遇した発作の鑑別ステップとしては以下の2段階で行います。
(1) 急性症候性発作の原因探索
(2) てんかんの定義を満たすかチェック
まず、 該当しうる急性症候性発作としての急性病因がないかどうかのチェックを要します。
代謝異常と急性症候性発作のカットオフ値としては下記を参考に判断します²⁾。
- 血糖 <35 mg/dl または >450 mg/dl
- 血清Na <115 mg/dl
- 血清Ca <5.0 mg/dl
- 血清Mg <0.8 mg/dl
- 尿素窒素 >100 mg/dl
- クレアチニン >10.0 mg/dl
注意として、 高齢者などでは複合的に発作を引き起こすことがあるため、 これらのカットオフ値に達していなくても発作に関わっていることがあるため、 総合的に判断して治療介入する必要があります。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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