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9時間前

【けいれん】てんかんと急性症候性発作 (音成秀一郎先生)

【けいれん】てんかんと急性症候性発作 (音成秀一郎先生)
広島大学病院 脳神経内科の音成 秀一郎先生による連載 「けいれん診療ガイド」 です。 第5回は"てんかんと急性症候性発作" について解説いただきます。

「てんかん」 と 「てんかん発作」

それぞれの言葉の定義

「てんかん」 とは慢性にてんかん性の発作を繰り返す状態を指し、 循環器疾患でいえば発作性心房細動のような慢性の病態に近いイメージです。

つまり 「てんかん」 とは病名または病態を表す用語であり、 対する 「てんかん発作」 は症候名です。 大事なこととして、 てんかん発作はてんかん以外の病態でも起こりうるということです。

"急性症候性発作" の検索が重要

例えるなら喘息様の呼吸症状が急性に一過性に出現しても、 それは必ずしも狭義の気管支喘息を意味しません。 てんかん発作も同じで、 頭部外傷や中枢神経感染症、 電解質異常などにより、 急性に発作が引き起こされることがあり、 これを急性症候性発作とよびます¹⁾。

【けいれん】てんかんと急性症候性発作 (音成秀一郎先生)

急性症候性発作とてんかんの鑑別

2ステップでの鑑別

遭遇した発作の鑑別ステップとしては以下の2段階で行います。

(1) 急性症候性発作の原因探索
(2) てんかんの定義を満たすかチェック

急性症候性発作の急性病因をチェック

まず、 該当しうる急性症候性発作としての急性病因がないかどうかのチェックを要します。

【けいれん】てんかんと急性症候性発作 (音成秀一郎先生)
〔参考文献2)を参考に筆者作成〕

代謝異常と急性症候性発作の鑑別

代謝異常と急性症候性発作のカットオフ値としては下記を参考に判断します²⁾。

- 血糖  <35 mg/dl または >450 mg/dl
- 血清Na  <115 mg/dl
- 血清Ca  <5.0 mg/dl
- 血清Mg  <0.8 mg/dl
- 尿素窒素  >100 mg/dl
- クレアチニン  >10.0 mg/dl

注意として、 高齢者などでは複合的に発作を引き起こすことがあるため、 これらのカットオフ値に達していなくても発作に関わっていることがあるため、 総合的に判断して治療介入する必要があります。

<出典>
1) 「てんかん診療ガイドライン」 作成委員会編 : てんかん診療ガイドライン2018. 2018. 医学書院
2) Epilepsia. 2010 Apr;51(4):671-5.

【けいれん】てんかんと急性症候性発作 (音成秀一郎先生)
2008年に大分大学医学部を卒業。 広島大学脳神経内科に入局後は救急系の関連病院で研修し2015年に京都大学大学院 (臨床神経学) へ国内留学。 同てんかん ・ 運動異常生理学講座の池田昭夫教授の指導のもと、 てんかんと脳波の臨床研究に従事し、 JES Prize, Excellent Presentation Award, JUHN AND MARY WADA Award, Hans Berger Awardなど日本てんかん学会の受賞歴あり。 福島県立医科大学ふたば総合医療センターでの復興医療支援を経て2019年4月から広島大学脳神経内科助教、 現在に至る。
X (旧Twitter) : https://x.com/neshige_s
noteでの連載 : https://note.com/nec283

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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