Lambertiniらは、 BRCA1/2遺伝子の病的バリアント (PV) を有する若年乳癌患者の臨床的挙動と、 診断前の検査で生殖細胞系列のBRCA遺伝子PVの状態を把握すると予後にどのような影響があるかを国際多施設共同後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 BRCA1 PVおよびBRCA2 PV保持者では臨床的挙動が異なり、 診断前にBRCA遺伝子検査を受けた患者は腫瘍サイズやリンパ節転移が抑えられ、 治療負担が少ない傾向にあることが明らかになった。 研究結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
Clinical Behavior of Breast Cancer in Young BRCA Carriers and Prediagnostic Awareness of Germline BRCA Status. J Clin Oncol. 2025 Feb 24:JCO2401334. Online ahead of print. PMID: 39993249.
Limitationに記載されていますが、 この研究は4大陸26ヵ国78施設で20年以上にわたって実施されているため、 研究期間中の医療制度の違いや診療の変化が結果に影響を及ぼした可能性があります。
遺伝学的検査は、 乳癌の診断を受けた女性に対するものであれ、 血縁者へのカスケード検査であれ、 いまだ十分に検討されていない。
そこで、 BRCA PVを有する若年乳癌患者で、 臨床的挙動と遺伝学的検査のタイミング (診断前 vs 診断時) に予後との関連があるかどうかを後ろ向きの国際多施設共同コホート研究で評価した。
2000年1月~20年12月に世界の78施設で、 BRCA1 PVまたはBRCA2 PVを有し、 I~III期の浸潤性乳癌の診断を受けた40歳以下の患者4,752例を対象とした。
BRCA1 PV保持者とBRCA2 PV保持者の間で、 患者、 腫瘍、 治療の特徴および無病生存イベントの異なるパターンとリスクが経時的に観察された。
BRCA1 PV保持者 (3,069例) では、 BRCA2 PV保持者 (1,683例) と比べホルモン受容体 (HR) 陰性 (74.4% vs 15.5%) と高悪性度腫瘍 (77.5% vs 49.1%) の頻度が高かった。
BRCA1 PV保持者とBRCA2 PV保持者では同様の転帰が観察されたが、 無病生存イベントのパターンとリスクは経時的に異なっていた。
診断前 (診断前2ヵ月まで) にBRCA遺伝子検査を受けた患者 (411例) では、 診断時 (診断前2ヵ月から診断後6ヵ月の間) にBRCA遺伝子検査を受けた患者 (1,671例) と比べて以下の特徴を示した。
診断前にBRCA遺伝子検査を受けた患者では、 全生存期間 (OS、 未調整HR 0.61 [95%CI 0.40-0.92] ) が良好であったが、 腫瘍のstageなどの潜在的交絡因子で調整した後、 統計的有意性は示されなかった (調整HR 0.74 [95%CI 0.47-1.15] )。
著者らは 「本研究により、 BRCA1およびBRCA2 PVを有する若年乳癌患者の臨床的挙動が異なることが明らかになった。 診断前にBRCA PVを同定していた場合、 乳癌が早期に診断され、 治療負担を抑えることができ、 未調整OSも良好であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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