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4日前

【JAMA Oncol】ERBB2陽性乳癌、 TILは術後療法de-escalationの指標

【JAMA Oncol】ERBB2陽性乳癌、 TILは術後療法de-escalationの指標
Vittoriaらは、 イタリアにおけるERBB2 (HER2) 陽性早期乳癌患者を対象に、 腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) が予後予測を改善し、 術後療法de-escalationのバイオマーカーとなるかどうかを第Ⅲ相多施設共同無作為化試験ShortHERの10年追跡で検討した。 その結果、 TILの増加に全生存 (OS) 率改善との有意な関連を認め、 TILが高い患者では補助療法をde-escalationしてもOS率が維持されることが明らかとなった。 研究結果はJAMA Oncol誌に発表された。 

📘原著論文

Tumor-Infiltrating Lymphocytes and Survival Outcomes in Early ERBB2-Positive Breast Cancer: 10-Year Analysis of the ShortHER Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2025 Feb 13:e246872. Online ahead of print. PMID: 39946142

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本文にはlimitationを 「本研究がプロトコールに規定されていない探索的分析であること」 と、 どの論文よりも最短の、 一文のみで記載されています。


背景

術後de-escalationの指標は?

ERBB2陽性の早期乳癌は、 患者の多くで長期生存が得られ、 豊富な治療選択肢がある。 そのため、 患者のリスク・ベネフィットに基づく個別化治療戦略を確立する必要があり、 予後予測を改善し、 術後療法のde-escalationの指標となるバイオマーカーの特定が求められている。

この研究では、 腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) がそのバイオマーカーになるか第Ⅲ相試験ShortHERで評価した。

研究デザイン

主要評価項目はDDFSとOS

イタリアの多施設において、 TIL評価が可能なERBB2陽性早期乳癌女性患者866例が無作為化により以下の2群に割り付けられた。

  • トラスツズマブ+化学療法1年投与群
アントラサイクリン系を4サイクル投与後、 トラスツズマブ+タキサン系4サイクルを1年間実施
  • トラスツズマブ+化学療法9週投与群 
トラスツズマブ+タキサン系3サイクルを9週間実施後、 減量したアントラサイクリン系を3サイクル投与

主要評価項目は遠隔無病生存期間 (DDFS) および全生存期間 (OS) であった。 TILとの関連性をCoxモデルで評価した。

結果

TILが5%増加するごとにDDFS・OS率は有意に改善

追跡期間中央値は9年であった。

DDFS (HR 0.87 [95%CI 0.80-0.95]、 p=0.001) およびOS (HR 0.89 [95%CI 0.81-0.98]、 p=0.01) は、 TILが5%増加するごとに有意に改善した。

10年OS率は以下の通りであり、 TILの増加に伴いOS率も高くなった。

  • TIL≥20%の患者 : 91.3%
  • TIL≥30%の患者 : 93.3%
  • TIL≥50%の患者 : 98.1%

TIL≥20%では9週投与群が転帰良好

10年DDFS率では、 TIL<20%の患者では、 1年投与群の転帰が9週投与群と比べて良好であったが (88.7% vs 81.0%)、 TIL≥20%の患者では逆の結果となった (87.1% vs 92.2%、 交互作用のp=0.01)。

10年OS率も同様に、 TIL<20%の患者では、 1年投与群の転帰が9週投与群と比べて良好であったが (91.3% vs 86.9%、 HR 1.36 [95%CI 0.82-2.23]、 交互作用のp=0.06)、 TIL≥20%では9週投与群の方が良好な傾向にあった (89.3% vs 93.1%、 HR 0.36 [95%CI 0.10-1.36] )。

結論

TILはde-escalationのバイオマーカー

著者らは、 「これは我々が知る限り、 TILが、 OSを損なうことなく術後療法のde-escalationを検討できるERBB2陽性早期乳癌患者を特定するのに有用であることが示された初めての研究である」 と報告している。


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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