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HOKUTO編集部

1時間前

【必修】バーキットリンパ腫の診断と治療戦略

【必修】バーキットリンパ腫の診断と治療戦略

Diagnosis and treatment of Burkitt lymphoma in adults:clinical practice guidelines from ERN-EuroBloodNet

Lancet Haematol. 2025 Feb;12(2):e138-e150.

バーキットリンパ腫 (BL) は、 最も増殖速度が速いB細胞性リンパ腫の一つであり、 診断の遅れが致命的となる。 特に中枢神経系 (CNS) 浸潤のリスクが高く、 迅速な治療開始が予後改善の鍵となる。 診断の正確性を高めるためには、 組織診・免疫組織化学・遺伝子検査を総合的に評価し、 適切な治療レジメンを選択することが重要である。 本稿では、 ERN-EuroBloodNet*が提示した診療ガイドラインをもとに、 BLの早期診断・早期治療の重要性を強調する。 
*ERN-EuroBloodNet: 欧州委員会公認の権威ある希少血液疾患ネットワークであり、 欧州全体の診療や研究の標準化を推進する重要な組織

診断のための臨床的・病理学的検査

BLは数日~数週間で急速に進行するため、 疑われた時点で迅速な診断手順を踏むことが不可欠である。 

BLを疑う臨床所見

以下の特徴を満たす場合は、 直ちに確定診断のための検査を実施する。

- 急速に進行する腫瘍病変

  • 腹部腫瘤 (腸管、 腎、 卵巣など)
  • 頭頸部リンパ節腫脹
  • CNS症状 (頭痛、 意識障害、 神経麻痺) 

- 血液検査異常

  • 血清LDH上昇 (>ULN)
  • 尿酸上昇 (腫瘍崩壊リスク) 
  • 白血球増加・減少、 貧血、 血小板減少 (骨髄浸潤を示唆) 

- その他のリスク因子

  • ECOG PS>1
  • Ann Arbor分類 III/IV
  • 腫瘍径≧7cm

BLの診断・治療フローチャート

BL診断~治療開始までのフローは以下の通り。

【必修】バーキットリンパ腫の診断と治療戦略
参考文献¹⁾を基に編集部作成

BLの鑑別診断

BLと、 MYC再構成を伴う他のアグレッシブリンパ腫の鑑別は以下の通り。

【必修】バーキットリンパ腫の診断と治療戦略
参考文献¹⁾を基に編集部作成。 原著には上記疾患の他に、 その他のHGBL (MYC再構成あり)、 MYC再構成を伴うDLBCL、 MYC再構成を伴うBリンパ芽球性リンパ腫/白血病、 MYC再構成を伴うマントル細胞リンパ腫blastoid variantの特徴も記載されている。

早期治療のためのリスク評価

BLの治療戦略を決定するためには、 予後予測とリスク評価が重要である。 

BL-IPIで予後予測

以下のBL-IPIスコアを用いて、 低リスク群 (0項目)、 中間リスク群 (1項目)、 高リスク群 (2項目以上) に分類し、 予後予測を行う。

  • 年齢 ≧40歳
  • ECOG PS ≧2
  • LDH>3xULN
  • CNS浸潤あり

🔢 BL-IPI

治療選択のためのリスク評価

- 低リスク (以下の全てを満たす)

  • WHO PS 0-1
  • Ann Arbor分類 I/II(E)
  • LDH正常
  • 腫瘍径 <7cm

- 高リスク (以下のいずれかを満たす)

  • WHO PS >1
  • Ann Arbor分類 III/IV
  • LDH上昇
  • 腫瘍径 ≧7cm

CNS浸潤有無を確認

BLはCNSへの浸潤が多いため、 CNS評価 (腰椎穿刺やMRI/CT) を必ず行う。 高リスク全例に予防的髄腔内化学療法を実施する。

治療指針

BLは化学療法への感受性が高く、 迅速な治療導入が鍵となる。 

低リスクBLの治療

  • R-CODOX-M x3サイクル
  • DA-EPOCH-R (PET-CTガイド下) x3-6サイクル
  • LMB-R group B²⁾

高リスクBLの治療

  • R-CODOX-M/R-IVAC x2サイクル
  • LMB-R group C²⁾
  • GMALL-B-ALL/NHL 2002
  • DA-EPOCH-R (CNS病変なし例) x6サイクル

まとめ

BLは極めて増殖が速いため、 迅速かつ正確な診断と早期治療の開始が予後改善の鍵となる。 本稿で示した診断フローチャートやリスク評価を活用し、 標準的な化学療法に加えてCNS浸潤リスクを考慮した治療戦略を適切に選択することが重要である。

出典

  1. Lancet Haematol. 2025 Feb;12(2):e138-e150.
  2. Lancet. 2016 Jun 11;387(10036):2402-11.
  3. Haematologica. 2013 Nov;98(11):1718-25.

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📝レジメン

CODOX-M/IVAC

DA-EPOCH-R

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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