McDonnellらは、 慢性腎臓病 (CKD) コホートにおける血漿・尿中KIM-1の、 腎不全や全死亡などとの関連性と予測性能を検証した。 その結果、 血漿KIM-1は腎不全、 尿中KIM-1は腎不全前の死亡とそれぞれ関連することが示され、 血漿・尿中KIM-1を組み合わせることで腎不全予測モデルは精度が24%改善した。 また、 CKD初期段階で、 両バイオマーカーがCKD進行と関連していることも示された。 試験結果はAm J Nephrol誌に発表された。
本研究の限界は、 観察研究であるため因果関係が証明できず、 英国の二次医療施設に限定された集団で実施されたことから、 結果の一般化に制約がある点です。
Kidney Injury Molecule 1 (KIM-1) は近位尿細管の損傷を反映する。 しかし、 CKDコホートにおいて血漿・尿中KIM-1について検証した研究はない。
NURTuRE-CKDコホート (多施設共同の非透析CKDコホート) の成人2,581例を対象に、 血漿・尿中KIM-1を測定した。 生存解析、 C統計量、 純再分類改善指数を用いて、 血漿・尿中KIM-1と、 腎不全、 全死亡率、 副次的評価項目のCKD進行複合エンドポイント (腎不全またはeGFRの40%以上の低下) との関連性と予測性能を評価した。
評価は、 コホート全体、 KDIGOアルブミン尿カテゴリー、 早期CKD (eGFR > 45mL / min / 1.73m²)、 血漿/尿中KIM-1中央値前後の4グループで行った。
血漿・尿中KIM-1濃度は、 eGFR低下、 uACR上昇、 糖尿病によって増加した。
血漿KIM-1は腎不全と独立して関連しており、 尿中KIM-1は腎不全前の死亡と関連していた。 さらに、 血漿・尿中KIM-1の両方が高値である場合、 腎不全および全死亡率のリスクが最も高くなった。 血漿・尿中KIM-1を組み合わせることで、 腎不全の純再分類指数が24.1%改善した。
なお、 CKD初期段階では両バイオマーカーがCKD進行と関連しており、 特に血漿KIM-1単独でリスク予測精度が大きく改善した。
また、 アルブミン尿が増加するほど、 血漿および尿中KIM-1と腎不全リスクとの関係は強まった。
著者らは、 「本研究は、 CKDにおける血漿・尿中KIM-1の予後への異なる関連性を明らかにした。 両バイオマーカーを測定することで、 CKD患者のリスク層別化の改善に役立つ可能性がある。 なおCKD初期段階では、 腎不全に至る患者が少ないため、 eGFR低下を含むCKD進行複合エンドポイントを用いることが重要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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