Songらは、 多発性大腸癌肝転移 (CRLM) 患者を対象に、 腹腔鏡下に行う肝切除術+焼灼術の併用療法 (腹腔鏡下CARe) の有効性を、 腹腔鏡下肝切除術単独と比較検討した。 その結果、 両者の治療成績に有意差は認められなかった。 本研究はSurg Endosc誌において発表された。
本研究の限界として,①後ろ向きデザイン、 ②生存追跡期間の短さ、 ③術者の技量の影響、 ④アブレーション適応病変の基準の不統一性が挙げられます。
CRLMに対して、 腹腔鏡下切除は標準治療とされている。 CRLM治療におけるCAReは安全性が報告されているものの、 腹腔鏡下に行うCAReの有効性を、 切除単独と比較した検討は不足していた。 本研究は、 腹腔鏡下CAReが臨床的に有用な治療選択肢となり得るかを明らかにすることを目的とした。
対象は2018~23年に3施設で腹腔鏡下切除を受けた多発CRLM患者だった。 患者は腹腔鏡下CARe群 (以下、 CARe群) と腹腔鏡下切除単独群 (以下、 切除単独群) の2群に分類され、 傾向スコアマッチング (PSM) を実施した。 評価項目は無再発生存期間 (RFS)、 全生存期間 (OS) などだった。
対象となった218例のうち、 67例が腹腔鏡下CARe、 151例が腹腔鏡下肝切除術を単独で受けており、 傾向スコアマッチング (PSM) 後各群49例が解析対象となった。 術後合併症発生率は両群で同等だった (p=0.964)。 RFS中央値とOS中央値は下記の通りであり、 有意差を認めなかった。
RFS中央値
p=0.759
OS中央値
p=0.656
多変量解析の結果、 再発時期 (p=0.666)、 再発部位 (p=0.279)、 再発後治療 (p=0.641) は両群間に有意差は認められなかった。 一方で、 以下が独立した予後因子として関連していた。
RFSに関連する因子
OSに関連する因子
著者らは、 「腹腔鏡下CAReは多発性大腸癌肝転移に対する有用な治療戦略と考えられる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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