2025年9月6~9日にスペイン・バルセロナで世界肺癌学会 (IASLC/WCLC 2025) が開催されました。 本稿では和歌山県立医科大学附属病院呼吸器内科・腫瘍内科准教授の赤松弘朗先生に、 同会における注目演題と、 発表内容から感じられた印象についてご解説いただきました。
今年の大きな発表は第Ⅲ相FLAURA2試験くらいであったものの、 今後期待できる薬剤に関する早期データの発表も相次ぎ、 それなりに充実していた会でした。 本稿ではいくつか目についた試験を紹介します。
未治療EGFR変異陽性進行非小細胞肺癌 (NSCLC) に対する第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬オシメルチニブ+化学療法の有効性および安全性を評価した第III相FLAURA2試験。 最終解析の結果、 全生存期間 (OS) において統計学的にも有意な改善が認められたことが発表されました。 目を引いたのは以下の点です。
オシメルチニブに耐性のNSCLCに対する化学療法±EGFR/VEGF標的二重特異性抗体ivonescimabの有効性と安全性をプラセボ群を対照に評価した第Ⅲ相HARMONI試験。 その結果、 OSは両群間で統計学的な有意差を示せませんでした。
高齢者の未治療進行NSCLCに対する化学療法±抗PD-L1抗体アテゾリズマブの有効性と安全性を評価した第Ⅲ相IFCT 1805試験。 主要評価項目のOSはnegativeであったものの、 OS中央値はアテゾリズマブ併用群18.6ヵ月 vs 化学療法群15.0ヵ月と、 アテゾリズマブ併用群でやや延長していました (HR 0.87、 p=0.20)。
登録者の年齢中央値が76-77歳と高く、 化学療法群の76%で後治療が実施されるなど、 我々の臨床にも近い印象です。 高齢者には化学療法+免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 投与は不要と解釈すべきなのでしょうか?同試験の試験デザインでは、 統計設定における閾値が10.7ヵ月と短いことも、 OSがnegativeになった一因であるように思いました。
上記のほか、 KRAS阻害薬+化学療法+ICIの併用、 EGFR/HER3標的の二重特異性抗体izalontamab brengitecan (Iza-Bren)、 抗SEZ6抗体薬物複合体ABBV-706や抗B7-H3抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan (I-Dxd) などのデータが報告されています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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