Choiらは、 乳癌患者を対象に、 ロボット支援乳房温存手術の安全性と実行可能性を多施設後方視的に検討した。 その結果、 本術式は安全かつ実行可能であることが明らかとなった。 本研究はSurg Endosc誌において発表された。
本研究は多施設共同によるロボット支援乳房温存手術 (RABCS) 症例の初報告という意義がある一方で、 術者や腫瘍局在化法の違い、 術者の習熟度や迅速病理診断の影響、 患者報告アウトカムの欠如、 従来手技との比較がなされていない点などのlimitationがあります。
従来の乳房温存手術に比べ、 ロボット支援手術は乳房に瘢痕を残さない点で整容的利点を有する可能性がある。 しかし、 その有効性や安全性に関する報告は限られており、 エビデンスの蓄積が求められている。
対象は、 2019年8月~23年10月に、 韓国7施設10人の乳腺外科医によってロボット支援乳房温存手術を受けた女性だった。 主要評価項目は術中・術後合併症発生率で、 副次評価項目は手術時間などだった。
対象となったのは150例で、 浸潤性乳癌が121例、 非浸潤性乳管癌が29例だった。
手術内容として、 Da Vinci SPシステムを使用したのが60%と最も多く、 ガス注入は97.33%で実施された。 腋窩手術としては、 センチネルリンパ節生検が89.3%で行われた。 切開部位は腋窩中央線で、 切開線の長さの中央値は37.1mmだった。 手術時間の中央値は133.8分で、 在院日数の中央値は5.4日だった。
術中迅速病理診断で断端陽性は11例 (7.3%) に認められたが、 永久標本で断端陽性のため再手術を要したのは1例 (0.7%) のみだった。 手術合併症は6例 (4%) で報告され、 術後出血が1例、 皮膚熱傷が5例 (3.3%) だった。 開放手術への移行例や死亡例はなく、 再発は2例 (1.3%) に認められた。
著者らは、 「本研究は世界初の多施設共同によるロボット支援乳房温存手術の報告であり、 安全かつ実行可能であることを示した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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