Engらはがん患者を対象に、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の治療を開始した65歳以上の患者を対象に、 ICI開始前の抗菌薬への曝露が全生存期間 (OS) に与える影響を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 特にフルオロキノロンへの曝露が、 高齢のがん患者のOS悪化と関連することが明らかとなった。 本研究はJ Clin Oncol誌において発表された。
後ろ向き研究の調整できない因子である臨床医の判断、 本研究であれば抗菌薬の選択と投与した理由がはっきりしません。 キノロン系抗菌薬が投与された、 と考えるか、 キノロン系抗菌薬が必要なくらい状態が悪くなっていたと捉えるか、 難しいです。 がんのステージでの調整もされていませんので、 仮説の提唱にとどめるのが無難です。
ICI治療前の抗菌薬への曝露は、 腸内細菌叢の変化を通じて転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、 大規模な評価は不足している。
カナダ・オンタリオ州で2012年6月〜2018年10月にICI治療を開始した65歳以上のがん患者
ICI治療の開始前1年間と60日間における抗菌薬の曝露状況を調査
OSと抗菌薬曝露との関連
ICI治療を受けた2,737例のがん患者のうち、 59%が1年前、 19%が60日前に抗菌薬を使用していた。
OS中央値は306日であった。
ICI前1年以内のあらゆる抗菌薬への曝露は、 OS悪化と関連していた (P=0.03)。
抗菌薬クラス解析では、 フルオロキノロン系薬のICI前の1年以内 (aHR 1.26、 95%CI 1.13-1.40、 P<0.001) または60日以内の曝露 (aHR 1.20、 95%CI 0.99-1.45、 P=0.06) がOS悪化と関連しており、 1年間 (aHR 1.07/週、 95%CI 1.03-1.11、 P<0.001) および60日 (aHR 1.12/週、 95%CI 1.03-1.23、 P=0.01) の総被曝週数に基づいて用量効果がみられた。
この研究では、 ICI治療前の抗菌薬、 特にフルオロキノロン系薬への曝露が、 癌の高齢者におけるOS悪化と関連することが観察された。 免疫原性を高めるために腸内細菌叢を変化させることを目的とした介入は、 抗菌薬への曝露歴があるICIを受ける患者の転帰を改善するのに役立つかもしれない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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