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日本癌治療学会

2日前

得意を伸ばし、 できることを~国立がん研究センター東病院消化管内科 三島沙織先生~

得意を伸ばし、 できることを~国立がん研究センター東病院消化管内科 三島沙織先生~
医師のキャリアが多様化するなか、 オンコロジストとしての道をなぜ選んだのか──。 国立がん研究センター東病院消化管内科の三島沙織先生に話を聞きました。 

原点は 「目の前で人が撃たれた」 瞬間の目撃

––医師を志したきっかけを教えてください

「最大のきっかけは、 幼稚園児の頃、 人が銃で撃たれる瞬間を偶然目撃したことです。 この衝撃的な経験が契機となり、 『困っている人を助けられる人になりたい』と医療従事者への道を志すようになりました。 さまざまな進路を考える中で、 中高生時代には明確に医師への道を志しました」

消化器がん専門の道へ──「不慮の病を治したい」

––専門領域の中で消化器がんを選択した理由

「国立国際医療研究センター病院で消化器一般診療に従事していた頃、 健康診断を受けていたにもかかわらず突然がんが発見された方を何人も診察しました。 そうした患者さんを診るうち、 不慮の病であるがんの治療を専門的に学び、 患者さんに貢献したいという思いが強くなったことから、 その後に国立がん研究センター東病院消化管内科に移り、 現在に至ります」

消化器診療の魅力── 「食べる喜びを支える」

––日々のやりがいや消化器がん診療の魅力は

「消化器は『食べること』に直結する領域です。 食事が摂れないと、 人間の三大欲求のひとつ、 すなわち人生の生きがいが奪われてしまいます。 『食べる』という生きがいを失った患者さんに対して、 少しでもご飯が食べられるように手助けができることは、 消化器がん領域の魅力であり、 やりがいに感じます。 治療中にすべての機能を取り戻すことは難しいとしても、 少しでも消化器の機能を元に戻すサポートができれば、 と考えています」

希少疾患の臨床・研究にも従事── 「少しでもできることを」

––希少疾患の診療にも積極的に取り組まれていると聞きました

「現在は、 消化管間質腫瘍 (GIST)、 小腸がん、 肛門がんなど、 希少がん患者さんの診療に携わる機会を多くいただいています。 敢えて希少がんに取り組んでいるのは、 ガイドラインすら存在しない疾患でも、 治療方法が確立していなくても、 消化器内科医として何かできることがあるのではないかと考えているからです」

「消化器がんに関する新薬は毎年のように開発されていますが、 実臨床で使用しても、 想定通りの効果が出ないこともあるのが実情です。 こうしたギャップを克服し、 希少がん患者さんに対してもよりよい治療を提供するー。 これが私たちの使命であると考えています」

「現在最も注力している領域はGISTです。 当院の院長である土井俊彦先生は本領域の第一人者であり、 直々にご指導いただきながら私も数々の患者さんに関わらせていただいています。 GISTでは少しずつ新薬も開発されてきているものの、 日本と海外では薬剤の承認状況が異なります。 現在海外で承認されている薬剤を日本でも使えるようにする取り組みも、 今後携わっていきたいです」

自分らしいキャリア形成を── 「得意を伸ばすこと」 が大切

––女性医師として、 働き方で普段意識されていることはありますか

「これから腫瘍内科や消化器内科を目指す若手医師は、 ワークライフバランスを気にする方もいらっしゃると思いますが、 "ライフ"に関しては、 自分の工夫次第でどのようにもできます。 一方で"ワーク"については、 自分の得意分野を活かして患者さんと向き合い、 研究につなげ、 患者さんに還元するという一連の流れの中にやりがいを見出せるかどうかが肝になると思います。 ですから、 自分の得意分野を積極的に探し、 伸ばしていくことが大切です」

「なお、 女性医師は、 結婚・出産とキャリア形成について一度は考える日が来ると思います。 私の場合、 夫は大阪で消化器外科のアカデミアにキャリアがあり、 平日は別々に暮らしています。 双方のキャリアを尊重した結果、 週末婚を選択しました。 ライフイベントで悩んでいる女性医師には、 こうした選択肢もあることを知ってもらえたら嬉しいです」

JSCOを介してガイドライン策定に参画──学会の意義

––日本癌治療学会 (JSCO) ではどのようなご活動をされてきましたか

「JSCOには幅広い分野の医師が参加されているため、 必然的に、 他診療科の医師との交流機会も増えました。 同じ内科でも、 たとえば泌尿器科や婦人科の医師とも話せるため、 自然と知見を広げられます。 特にオンコロジーはさまざまな診療科が関わる領域であるため、 そうした交流は非常に有意義だと感じています」

「JSCOに関する活動で最も印象に残っているのは、 『成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療のガイドライン』の策定に関わらせていただいたことです。 ガイドラインを作ること自体、 知識の整理にもなりますし、 薬物療法の展望も自ずと見えてきます。 こうした大きな仕事に関われるのも、 JSCOという学会の特色だと思います」

「臨床、 研究、 学会活動などのあらゆる場面において、 『自分は患者さんのために何ができるか』を常に考えて行動しています。 消化器がん領域において女性医師の数はまだまだ少ないものの、 そのような環境でもさまざまな専門分野の先生方と一緒に研究していけるよう、 今後も『自分にできること』を見つけていきたいです」

プロフィール

得意を伸ばし、 できることを~国立がん研究センター東病院消化管内科 三島沙織先生~

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日本癌治療学会に入会を希望される方は、下記より入会手順をご確認ください。

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学会入会のメリットは?

以下のような学会入会特典がございます。

①学術集会での研究発表

本学会学術集会に演題の応募ができ研究成果を発表することができます。

※筆頭演者は会員である必要がございますが、 共同演者は会員である必要はございません。 ただし、 会長により招請された方、 また、 海外からの応募者、 医師・歯科医師以外のメディカルスタッフ、 学生の方は、 この限りではありませんので非会員の方であってもご登録可能です。

②学術集会への参加

会員は学術集会へは会員価格で参加することができます。

③機関誌の無料閲覧

IJCOおよびICCJの全文を無料で閲覧可能です。

④会員限定の情報提供

会員専用ページ 「myがんち」に登録したメールアドレスにお送りするメルマガを通じてがん治療についての最新情報が得られます。 また、 会員専用ページ 「myがんち」にてオンライン版会員名簿サービスで会員の検索ができます。

⑤学会提携クレジットカードの発行

このカードを利用することにより、 本学会年会費をカード決済口座から、 手数料無料で引き落とすことができます。

⑥ネットワークの構築

国内外の専門家との交流を深め、 臨床や研究の発展につなげる機会を提供いたします。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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