
Powlesらは、 全摘除術後の筋層浸潤性膀胱癌患者に対しctDNA検査を1年間実施したうえで、 陽性患者をアテゾリズマブまたはプラセボに割り付けし、 ctDNAガイド下の術後免疫療法の有効性を検証した。 その結果、 陽性患者において、 アテゾリズマブはプラセボに対し無病生存期間 (DFS) および全生存期間 (OS) を有意に延長させた。 試験結果はNEJM誌に発表された。
持続的なctDNA陰性ステータスの患者のうち,15例 (4%) が早期に疾患再発したことで、 全生存期間の評価において情報的な打ち切りが発生したのはlimitationrとなります。
【IMvigor011】高リスク筋層浸潤性膀胱癌、 連続ctDNA陰性例では術後治療は不要?
筋層浸潤性膀胱癌患者での全摘除術後の予後は多様である。 循環腫瘍DNA (ctDNA) を用いた分子残存病変の検出は、 術後の再発ハイリスク患者を特定することで、 それらの患者での術後免疫療法の恩恵の可能性を高める。 また、 低リスク患者には不要な治療負担を回避する手段となり得る。
第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験(IMvigor011)において、 筋層浸潤性膀胱癌で術後に画像上病変のない患者を対象に、 最大1年間ctDNA検査を定期的に実施した。 ctDNA陽性と判定された患者は、 2:1でアテゾリズマブまたはプラセボを4週間ごとに最大1年間投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は治験医師によるDFSであり、 OSも評価した。
ctDNA陽性の250例が無作為化された。 DFSおよびOS (いずれも中央値) はアテゾリズマブ群で有意に延長した。
初回再発または死亡に対するHR 0.64 (95%CI 0.47–0.87、 p=0.005)
OS
死亡に対するHR 0.59 (95%CI 0.39–0.90、 p=0.01)
グレード3/4の有害事象は、 アテゾリズマブ群で28%、 プラセボ群で22%に発現し、 薬剤関連の有害事象はそれぞれ7%および4%であった。 致死的有害事象はアテゾリズマブ群で3%、 プラセボ群で2%に発現し、 薬剤関連のものはそれぞれ2%および0%であった。
ctDNA陰性が持続した357例での、 1年後の無病生存率は95%、 2年後では88%であった。
著者らは、 「筋層浸潤性膀胱癌患者において、 ctDNAガイド下術後療法でのアテゾリズマブは、 プラセボと比較して無病生存期間およびOSを有意に延長させた」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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