Sharmanらは、 共有結合型BTK阻害薬による治療歴のある再発・難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者を対象に、 非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブの有効性および安全性を国際多施設共同第III相非盲検無作為化比較試験BRUIN CLL-321で評価した。 その結果、 ピルトブルチニブの無増悪生存期間は、 担当医が選択した治療と比べて有意に改善し、 次の治療開始または死亡までの期間でも改善傾向が示された。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
テキストの結論にあるように 「This study demonstrated a significant, clinically meaningful improvement in PFS~」 という形で 「clinically meaningful」 という表現が結論に加わることが多くなりました。
非共有結合性BTK阻害薬pirtobrutinibがBTK阻害薬不応CLL、 SLLで奏効
非共有結合型BTK阻害薬 (ncBTKi) であるピルトブルチニブは、 これまで臨床的有効性と良好な安全性プロファイルが示されている。
一方で、 共有結合型BTK阻害薬 (cBTKi) による治療歴のある慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫 (CLL/SLL) 患者に対する治療法を評価する無作為化比較試験 (RCT) は、 現在に至るまで実施されていない。
BRUIN CLL-321試験はncBTKiによる治療歴のある再発・難治性のCLL/SLL患者のみを対象として初めて実施された第III相RCTであり、 ピルトブルチニブの有効性および安全性が評価された。
cBTKiによる治療歴のある再発・難治性CLL/SLL患者238例が以下の2群に1 : 1で割り付けられた。
BCL-2阻害薬ベネトクラクスによる治療歴および17p欠失の有無で層別化された。
主要評価項目は独立中央判定による無増悪生存期間 (PFS)、 副次評価項目は次の治療開始または死亡までの期間 (TTNT)、 全生存期間 (OS)、 安全性などであった。
主要評価項目のPFSは、 主要解析における2023年8月29日時点で統計的有意差をもって達成され、 最終OS解析時点 (2024年8月29日) においてアップデートされた結果が示された。
PFS中央値は、 ピルトブルチニブ群が14ヵ月 (95%CI 11.2-16.6ヵ月) であり、 IC群の8.7ヵ月 (95%CI 8.1-10.4ヵ月) と比べて有意な改善を示した (HR 0.54 [95%CI 0.39-0.75]、 p=0.0002)。
18ヵ月OS率は、 ピルトブルチニブ群が73.4% (95%CI 63.9-80.7%)、 IC群が70.8% (95%CI 60.9-78.7%) であった (未調整HR 1.09 (95%CI 0.68-1.75)、 p=0.7202)。
TTNT中央値は、 ピルトブルチニブ群が24ヵ月 (95%CI 17.8-29.7ヵ月)、 IC群が10.9ヵ月 (95%CI 8.7-12.5ヵ月) であった (HR 0.37 [95%CI 0.25-0.52])。
追跡期間中央値17.2ヵ月時点において、 Grade3以上の治療関連有害事象 (TEAE) 発現率はピルトブルチニブ群が57.7%であり、 IC群の73.4%と比べて低かった。 有害事象 (AE) による治療中止はピルトブルチニブ群の17.2%、 IC群の34.9%で報告された。
著者らは 「ピルトブルチニブは担当医が選択した治療 (IdelaR/BR) と比べて、 cBTKiによる治療歴のあるCLL/SLLのPFSとTTNTを改善し、 忍容性も良好であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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