Ramaswamiらは、 カポジ肉腫ヘルペスウイルス (KSHV) 関連炎症性サイトカイン症候群 (KICS) を有する患者を対象に、 その臨床的特徴と予後を自然史研究で検討した。 その結果、 KICSは原発性滲出性リンパ腫 (PEL)、 多中心性キャッスルマン病 (MCD) などの他のKSHV関連疾患 (KAD) を除外診断する必要がある疾患であり、 進行したカポジ肉腫を高頻度で合併し、 高い罹患率および死亡率と関連する一方、 一部の患者でリツキシマブ+カポジ肉腫に対する治療薬の併用療法が有益である可能性が示された。 本研究はBlood Adv誌において発表された。
対象は成人のみでKICSの重症度に幅があり一般化可能性が制限される点、 一部解析は後ろ向きであり、 追加検査により他疾患が同定された例が含まれる点などのlimitationが記載されています。
KICSは、 KSHV感染と重度の炎症症状および所見 (サイトカイン上昇、 C反応性タンパク質上昇、 KSHVウイルス血症) を特徴とし、 他の原因が認められない状態である。
本研究の主要目的は、 MCDなどの他の炎症性疾患を除外した後のKICSの自然経過を評価することであった。 研究で用いられる定義が更新され、 PELも除外対象に含まれた。
KICSを有する患者は、 合併するカポジ肉腫の治療を受けたほか、 KICSに対して、 他のKADで用いられる薬剤 (リツキシマブ、 トシリズマブ、 高用量バルガンシクロビルやアジドチミジンなど) による治療を受けた。
KICSへの有効性は、 臨床的利益反応基準 (KICS-CBR) を用いて評価された。 ベースライン時の炎症性サイトカインは、 KICSを有する患者と、 他のKAD (PEL、 MCDを伴うKS、 またはKS単独) を有する患者間で比較された。
本研究の参加者73例から他の炎症性疾患を除外した後、 35例 (うち34例がHIV陽性) がKICSと診断され、 そのうち1例を除く全員が併発するステージT1のカポジ肉腫を有していた。
KICS患者のうち11例 (43%) がリツキシマブを投与され、 そのうち8例でカポジ肉腫に対する治療薬としてリポソームドキソルビシン、 3例でパクリタキセルを併用投与された結果、 55% (95%CI 23-83%) でKICS-CBRに基づく有効性が認められた。
インターロイキン (IL) -10、 IL-6およびIL-1βのレベルは、 KICS患者がKS単独患者と比べて高かった。
KICS患者の全生存期間 (OS) 中央値は5.7年 (95%CI 5.7年-NR) であった。
著者らは 「KICSは、 PELおよびMCDなどの他のKADを除外診断する必要がある疾患であり、 進行したカポジ肉腫を高頻度で合併し、 高い罹患率および死亡率と関連する。 一方で、 一部の患者でリツキシマブ+カポジ肉腫に対する治療薬の併用療法が有益である可能性が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
あなたは医師もしくは医療関係者ですか?
HOKUTOへようこそ。当サイトでは、医師の方を対象に株式会社HOKUTOの臨床支援コンテンツを提供しています。