Pyneらは、 透析を受けている腎不全患者を対象に、 ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬 (MRA) の有効性および安全性を無作為化比較試験 (RCT) のシステマティックレビューおよびメタ解析で評価した。 その結果、 ステロイド型MRAが心血管死亡リスクにほとんど、 あるいは全く影響を及ぼさない可能性が示唆された。 本研究はLancet誌において発表された。
バイアスリスクの高いRCTのみでは、 死亡リスクは0.33 (0.17-0.67) ですので、 バイアスリスクの評価が重要であることがわかります。
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海外ジャーナル
ステロイド型MRAは、 心不全および非重症慢性腎臓病 (CKD) における心血管イベントを予防できる可能性が示されているが、 透析を受けている腎不全患者に対する予防効果は不明である。
そこで本研究では、 同集団におけるステロイド型MRAの有効性および安全性を評価した。
MEDLINE、 Embase、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literatureのデータベースを基に、 システマティックレビューおよびメタ解析で、 透析を受けている18歳以上の腎不全患者を対象としてMRAとプラセボまたは標準治療を比較評価し、 関心のあるアウトカム (心血管死亡、 心不全による入院、 全死因死亡、 全原因による入院、 高カリウム血症、 女性化乳房または乳房痛、 低血圧) を報告しているRCT19件、 患者4,675例を抽出・評価した。
バイアスリスクをCochrane Risk of Bias Toolを用いて評価した。 主な評価項目は、 バイアスリスクで層別化された経験的ベイズランダム効果モデルを用いて評価した心血管死亡であった。
バイアスリスクの低いRCTと高いRCTで効果推定値は異なっていた。
バイアスリスクの低い4件のRCT (3,562例) では、 心血管死亡がMRA群 (1,785例) で264例、 対照群 (1,777例) で276例で認められた (OR 0.98 [95%CI 0.80-1.20]、 I²*=0.0%、 τ²**=0.0、 中等度の確実性)。
結果として、 絶対リスク減少が1,000人年あたり年間で1件 (95%CI -14~11件) で認められた。
著者らは 「本研究の結果より、 末期腎不全患者においてステロイド性MRAが心血管死亡リスクにほとんど、 あるいは全く影響を及ぼさない可能性が示唆された。 一方で、 サブグループにおけるステロイド型MRAの予防効果に関する情報は不十分であり、 非ステロイド型MRAに関する情報はない。 今後の試験では、 アルドステロンが病態生理により明確に関与している患者や、 特定のイベントに限定された効果、 あるいは効果そのものが小さい可能性を考慮したデザイン設計が必要となる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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